後払い決済のカギとなる「与信精度」と「ユーザーの利便性」──世界を取り巻くBNPLの現状と未来 #3
 

日本や世界を取り巻くBNPL(Buy Now, Pay Laterの略:後払い決済)の現在について、ネットプロテクションズのネットプロテクションズ 代表取締役社長の柴田紳氏が解説する本連載。

前回の記事では海外の市場を中心にBNPLの導入状況を紹介してきた。最終回となる本稿では、BNPLサービスを提供する上で重要となる与信精度の仕組み、そしてBNPLのビジネスを取り巻く課題と、今後の展望について、柴田氏が考察する。

与信精度の向上など、BNPLの運用面における高いハードル

すでに国内のBNPL市場でも、ネットプロテクションズが提供する「NP後払い」をはじめ、7、8社からサービスが提供されています。サービス導入の決め手には手数料の安さや運用の柔軟性などいくつかの要素がありますが、最終的なサービス選択では、利用者に対する与信の精度が重要なポイントとなります。

たとえば、BNPLの与信の通過率が10%下がれば、その分、本来なら支払ってくれる顧客までを取り逃がしてしまう可能性が高まり、ECショップは販売機会を損失するリスクを負うことになります。後払い決済の利用者が増えれば、このリスクはどんどん大きく膨らむため、手数料に大きな差がなければ、与信精度の高い後払いサービスが選ばれることになります。

ネットプロテクションズは約20年かけて与信の仕組みを作り上げており、精度の高さにはかなりの自信を持っています。すでに20年間の決済実績があり、蓄積されたデータを与信に生かすことができています。そして現在は蓄積されたデータに機械学習技術を適用し、それにより与信精度のさらなる向上も図っているところです。