俳優のロバート・ダウニー・Jr.氏
俳優のロバート・ダウニー・Jr.氏 Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images

米国のセレブ俳優や大物経営者が出資するトイレットペーパー企業がある。ワシントン州・シアトルに拠点を置くスタートアップのCloud Paperだ。

米ニュースメディア「TechCrunch」によると、アイアンマン役で知られるロバート・ダウニー・Jr.氏や、2013年の映画『スティーブ・ジョブズ』でジョブズ氏を演じたアシュトン・カッチャー氏といった俳優らが、事業会社経由でCloud Paperに出資。著名経営者らも目をつけており、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏は投資会社のBezos Expeditionsから、Salesforce創業者のマーク・ベニオフ氏は投資ファンドのTIME Venturesから、同社に投資している。

Cloud Paperが展開するのは24ロールで68.99ドル(約7900円)のサブスクリプションサービス「Cloud Paper」だ。ユーザーは2カ月ごと、3カ月ごと、もしくは4カ月ごとの定期便を選べる。トイレットペーパーの原材料は主に木材だが、Cloud Paperは竹製。パッケージにはプラスチック素材を使用していない。トイレットペーパーとして考えれば挑戦的な価格設定だが、こうした環境への優しさが、セレブ俳優や大物経営者を引きつけている。

Cloud Paperが販売する竹製のトイレットペーパー
Cloud Paperが販売する竹製のトイレットペーパー Cloud Paperのウェブサイトより

Cloud Paperは「森林破壊に歯止めをかける製品を開発する」ことを目的に2019年に設立。共同創業者のオースティン・ワトキンス氏とライアン・フリッチ氏はライドシェア「Uber」を展開するUber Technologiesの出身者だが、「米国では1日にニューヨークのセントラルパークに生える木々が公園1つぶんのトイレットペーパーとして消費されている」という事実を知り、環境に優しいトイレットペーパーの開発に着手したという。

2020年3月にシードラウンドで300万ドル(約3億4000万円)を調達した際に、ワトキンス氏はプレスリリースで「Cloud Paperのような木材を使用しないトイレットペーパーを選ぶことで、人は生涯において100本以上の木を救うことができます」とコメントしていた。

ロバート・ダウニー・Jr.氏はテレビ番組「The Late Night Show with Stephen Colbert」でCloud Paperを紹介し、「サステナビリティのためにクオリティを犠牲にする必要はありません。彼らはそれを実現したのです」と評した。こうしたセレブ俳優の後押しもあり、Cloud Paperは急成長中だ。

米新聞社「The Seattle Times」によると、Cloud Paperが配送するトイレットペーパーの数は2021年、前年比で930%増加。収益も同期間で8倍規模へと拡大したという。

Cloud Paperは2022年2月3日にも約500万ドル(約5億7000万円)の資金調達を実施し、累計調達額は約960万ドル(約11億円)となった。同社は調達資金をもとに流通網の拡大を図るほか、新プロダクトの開発に着手する計画だ。

日本企業のおかえりも2021年1月より竹製トイレットペーパーのサブスクリプションサービス 「BambooRoll」を国内で展開している。植物由来素材を使った代替肉やサステナブル素材を使用したスニーカーへの注目度が高まるなど、ここ日本でもより多くのプロダクトに環境配慮が求められている。