
- 7人の日本人起業家がWeb3・クリプト領域特化のファンド設立
- 完全栄養食を手がけるBASE FOODが20億円の資金調達
- ハリウッドの重鎮とタッグを組む、NFTメタバース企業が日本進出
- その他のスタートアップニュース
資金調達やプロダクトのリリース、ファンド組成、人事異動──日々、さまざまな動きがあるスタートアップ業界。今週(2月21日から2月25日)はどんな動きがあったのだろうか。
いま、押さえておくべき「スタートアップ業界のニュース」をDIAMOND SIGNAL編集部が独自の視点からピックアップしてお伝えする。今週はWeb3、クリプト領域特化のファンド設立、BASE FOODの20億円の資金調達などがあった。
7人の日本人起業家がWeb3・クリプト領域特化のファンド設立
ブロックチェーン技術を活用した、分散型の新しいインターネットのことを指す「Web3」。2021年後半から、世界的に大きな盛り上がりを見せている。
日本では、暗号資産の取引や保管、税制などにおいて比較的厳しい規制があり、これがWeb3ビジネスの発展には足かせになるという見方もある。だが、インターネット黎明期の1990年代に起業家が多く生まれたように、今のWeb3に新しい可能性を見出し、その領域で起業する人たちも生まれ始めている。
Web3領域に挑戦する起業家たちを支援すべく、立ち上がったのがシンガポールに拠点を構える「Next Web Capital(NeW)」だ。同社は2月22日、ベンチャーキャピタルのWiL、暗号資産取引所のビットバンクなどから1000万ドル(日本円で約11億円)の資金調達を実施したことを発表した。

NeWを立ち上げたのは、Web3領域で事業を展開する7人の日本人起業家。日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network」を手がけるStake Technologies CEOの渡邉創太氏、COOの石川駿氏、ファンドマネージャーの関慶氏、Web3領域のインキュベーション事業を展開するFracton Venturesの鈴木雄大氏、亀井聡彦氏、赤澤直樹氏、Web3 Foundationの大日方祐介氏が名を連ねる。
同社はWeb3領域の起業家に対して、メンタリングや自身が創業して事業拡大してきたノウハウの共有、さらにはその起業家が構築するDAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)などのエコシステムに対して積極的に参加するなど、ファイナンス面でのサポートも実施する予定だという。
Web3領域で事業を立ち上げてきた人たちが一体となって、グローバルなWeb3プロトコルを支援するアクセラレーター事業を行い、起業家視点からWeb3の未来を担う人材を育成・発掘することで、日本から海外で活躍するWeb3起業家を輩出する狙いだ。
完全栄養食を手がけるBASE FOODが20億円の資金調達
培養肉や植物由来の代替マグロなど、ここ数年フードテック領域のスタートアップが数多く立ち上がり、盛り上がりを見せつつある。
日本発でフードテック領域に取り組んでいるスタートアップがBASE FOODだ。同社は完全栄養食パン「BASE BREAD」、完全栄養食クッキー「BASE Cookies」などを展開している。BASE FOODによれば、BASE BREADとBASE Cookiesは1食(BASE Cookiesは4袋、BASE BREADは2袋)で1日に必要な栄養素の3分の1がとれるという。
現在、オンラインサイトでの販売に加えて、首都圏にあるファミリーマートとナチュラルローソン合わせて約1450店舗でBASE Cookiesを展開。ファミリーマートではBASE BREADも販売されており、オリジナルの販売棚もある。
こうしたコンビニでの商品販売が、オンラインでの定期購入のきっかけにもなっているそうで、2020年2月から約2年で月間定期購入者数は約10倍にまで伸びているという。また、2021年11月末には累計販売食数は1500万食を突破している。

BASE FOODは成長のスピードを加速させるべく、2月23日にシニフィアンとみずほキャピタルが共同で運営するグロース・キャピタル「THE FUND」を引受人とする第三者割当増資で10億円、三菱UFJ銀行、商工組合中央金庫、りそな銀行、三井住友銀行と総額10億円の融資契約を締結し、総額20億円の資金調達を実施したことを発表した。
今回調達した資金をもとに、今後は既存商品のアップデートならびに新商品開発の加速、それに伴う人材の採用を強化していくという。
ハリウッドの重鎮とタッグを組む、NFTメタバース企業が日本進出
Facebookが社名を「Meta」に変更、Microsoftがゲーム会社大手・Activision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)を7.8兆円で買収したことも「メタバースへの布石」とも目されており、メタバース市場は急速な盛り上がりを見せている。
また、メタバースと同時に語られることの多い「NFT(非代替性トークン)」に関しても、国内ではGMOインターネットグループや楽天、メルカリといったIT企業が続々と参入。こちらも市場が拡大しつつある。
そんなNFTとメタバースを軸に事業を展開しているのが、米カリフォルニア州に拠点を構えるAnifieだ。同社はコンテンツを保有するブランド企業に対して、ホワイトレーベル(ある企業が独自で開発した製品やサービスを他の会社が自分のブランドとして販売すること)などの形でNFTやメタバースを用いた新しいマネタイズの機会を提供する。
創業者である岩﨑洋平氏は、クリーンテック企業のmOasisを創業(後に米Carbon Neutral Ag Sciencesに技術資産を売却)した経験を持つ連続起業家だ。

もともとは、ロボット向けの共通OSの開発に取り組んでいたAnfieだが、著名音楽プロデューサーのパトリック・ウッドランド氏と出会い、彼の知人を通じて米国セレブタレントのメタバースコンサートの空間を試験的に開発。これをきっかけに、メタバース上で使われるデジタル・アセットの共通規格の実現を目指す現在の事業にピボットした。
そのAnifieが2月24日、DGベンチャーズ、PKSHA SPARX アルゴリズムファンド、サイバーエージェント・キャピタル、パーソルベンチャーパートナーズ、 ブイキューブ、「Droptokyo」「The Fashion Post」を手がけていた沼澤裕太氏の独立系投資ファンド・KIM.Zと、個人投資家およびセレブ・タレントのラリーン・シャー氏から資金調達を実施したことを発表した。同社はこれを機に日本市場に本格進出する。
現在、「ポケモン言えるかな」でアルバム200万枚を販売したマルチアーティストのレイモンド・ジョンソン氏がパートナーシップを開拓し、元トラノテックCTOの杉原洋介氏が技術開発面で顧客をサポート。日本市場の大手ブランド企業やアーティストを開拓しているという。
その他のスタートアップニュース
小嶋陽菜氏の会社、新経営体制へ
D2Cブランド「Her lip to(ハーリップトゥ)」を手がける、小嶋陽菜氏の会社・heart relationが2月22日、新経営体制を発表した。創業者の小嶋氏が代表取締役CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)に就任し。代表取締役CEOには、東証マザーズ上場のITベンチャー・フリークアウト(現:フリークアウト・ホールディングス)の取締役、インドネシア法人代表などを務めた安倉知弘氏が就任した。
SUPWAT、約1.5億円の資金調達を実施
製造業の研究開発領域において、誰でも簡単に定量的な判断ができるようになるサービス「WALL」などを展開するSUPWATは2月24日、Scrum Ventures、DEEPCOREなどを引受先として約1.5億円の資金調達を実施したことを発表した。
五常・アンド・カンパニー、Fundsで個人投資家から資金調達を開始
途上国において中小零細事業向け小口金融サービス(マイクロファイナンス)を展開する五常・アンド・カンパニーは2月22日、ファンズが運営する貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds(ファンズ)」上で「五常・アンド・カンパニー マイクロファイナンス事業ファンド」を公開した。第1回目となる同ファンドを通じて総額2億円、2022年度末までに累計数10億円規模の資金調達を目指すという。
Casy、東証マザーズ上場
家事代行のマッチングプラットフォーム「CaSy(カジー)」を運営するCaSyは2月22日、東京証券取引所マザーズ市場に上場した。初値は2001円で、公開価格1320円を48.2%上回る金額となった。
KINS、総額9.5億円の資金調達を実施
総合的な菌ケアサービスを展開するKINSは2月22日、ジャフコグループ、エースタート、Abies Venturesを引受先とした第三者割当増資、および複数の金融機関からの融資によって、総額9.5億円の資金調達を実施したことを発表した。
Bonds Investment Group、「ひょうご神戸スタートアップファンド」を約11億円でファイナルクローズ
独立系ベンチャーキャピタルのBonds Investment Groupは2月22日、神戸市や民間企業などと連携し、スタートアップへの投資を行う「ひょうご神戸スタートアップファンド」を約11億円でファイナルクローズしたことを発表した。同ファンドでは、カスタムオーダーアパレルのFABRIC TOKYO、出張手配・管理サービスのAIトラベル、幼児食D2CのMiLの3社への新規投資も明らかにしている。
noco、総額1.3億円の資金調達を実施
マニュアル&ナレッジ管理アプリ「toaster team トースターチーム」を運営するnocoは2月22日、、Coral Capital、Headline Asia、アプリコット・ベンチャーズを引受先としたJ-KISS型新株予約権の発行により、総額1.3億円の資金調達を実施したことを発表した。
tacoms、3億円の資金調達を実施
注文一元管理サービス「Camel」を手がけるtacomsは2月22日、XTech VenturesとANRIを引受先として3億円の資金調達を実施したことを発表した。