
- ロシアがウクライナに侵攻、大手SNSの対応は
- “体験型店舗”の「b8ta」が米国全店舗閉店、日本法人は独立
- 主な資金調達
Google、Amazon、Meta (旧Facebook)、Appleをはじめとするビッグテックが繰り広げる買収劇や、気鋭スタートアップによる巨額の資金調達──海外のテクノロジー業界では日々、さまざまなビッグニュースが飛び交っている。
先週(2月20日から2月26日)はどんな動きがあったのか。特に注目すべきニュースを編集部が独自にピックアップし、お伝えする。
ロシアがウクライナに侵攻、大手SNSの対応は
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって、世界は混乱に包まれた。
影響は日本経済にもおよび、日経平均株価は2月24日に年初来安値を記録。同日には暗号資産のビットコインやイーサリアムも大幅安となった。
SNS上ではさまざまな情報が錯綜。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2月24日に軍事作戦の開始を表明し、ロシアの報道機関はこの演説をYouTube上で配信した。Twitter上では真偽不明の情報も拡散されたが、一方でライブ音声配信機能の「Spaces」は報道機関や識者らが意見や情報を持ち合い、広く世間に伝えるための場として活用された。
だがSNSにとっての最重要事項は、情報の流動性ではなく、ユーザーの安全性だ。SNSアカウントや投稿にはユーザーの個人情報や位置情報が紐づくこともあるからだ。そこでFacebookを展開するMetaではウクライナのユーザーを保護するためのロック機能を導入した。
Facebookのセキュリティポリシー責任者、ナサニエル・グライチャー氏は2月24日、Twitter上でロック機能の追加を発表。Facebookのプロフィール設定画面から「Lock Profile(プロフィールをロック)」をクリックすることで、友達以外のユーザーはプロフィール写真やタイムラインの投稿を閲覧できなくなる。Facebookでは2021年8月、タリバンがアフガニスタンで政権を奪還した際にもこの機能を提供した。
1/ In response to the unfolding military conflict in Ukraine, we have established a Special Operations Center to respond in real time. It is staffed by experts (including native speakers) so we can closely monitor the situation and act as fast as possible.
— Nathaniel Gleicher (@ngleicher) February 24, 2022
Twitterも2月24日、紛争地帯でTwitterを使用する場合には多要素認証や位置情報の無効化でアカウントを保護するよう、公式アカウントで警告していた。
When using Twitter in conflict zones or other high-risk areas, it’s important to be aware of how to control your account and digital information.
— Twitter Safety (@TwitterSafety) February 24, 2022
Every situation is different, so here are some things to consider:
“体験型店舗”の「b8ta」が米国全店舗閉店、日本法人は独立
最新ガジェットなどを展示する“体験型店舗”の「b8ta」を展開する米スタートアップb8taは2月18日、米国の全店舗を閉店したことを明かした。現在ホームページには「素晴らしい7年間でした。社員、投資家、パートナー、そして顧客のみなさまに、心から感謝しています」というメッセージが残されている。
b8taは2015年に創業したスタートアップだ。出店企業からの月額費でマネタイズし、接客から在庫管理、データ収集までをトータルでサポートする「RaaS(Retail as a Service:サービスとしての小売)」というビジネスモデルを提唱し、業界を牽引してきた。だが2020年以降はコロナ禍で来客数が激減し、ついには米国全店舗の閉店にまで追い込まれた。
b8taは2020年8月、日本に上陸し、東京の新宿と有楽町に2店舗をオープンした。運営のb8ta Japanは米b8taとサンフランシスコのベンチャーキャピタル・Evolution Venturesとの合弁会社として設立。2020年9月には米b8taとの資本関係を解消し、以降はb8taの商標とソフトウェア利用のライセンス料を支払うことで日本展開を進めてきた。
2021年11月には3店舗目となる渋谷店をオープンしたb8ta Japan。同社は2月24日、米b8taから日本での事業展開に必要な商標権やソフトウェアのライセンスを独占的に取得し、米国事業に左右されず、独自に事業を展開していく方針を発表した。
b8ta Japan代表の北川卓司氏はプレスリリースで「日本とは比べ物にならないほど新型コロナの影響を受けたアメリカ事業が、昨年より体験型ストアの運営からライブコマースを中心とした非接触型のビジネスモデルへとシフトする中で、資本関係の解消、そして今回のライセンス取得の合意に致りました」とコメント。
b8ta Japanでは現在、合同会社から株式会社への移行準備を進めている。今後は第三者割当増資による資金調達で「日本のb8ta 事業を一気に加速させていく」(北川氏)ほか、アジア地域への拡大も進めていく計画だ。
主な資金調達
培養サーモンのWildtypeが約115億円の資金調達

米サンフランシスコに拠点を置き、細胞培養技術を活用して培養サーモンを開発するWildtypeは2022年2月23日、シリーズBラウンドで1億ドル(約115億円)の資金調達を実施したと明かした。
主な引受先は、プライベート・エクイティのL Catterton、穀物メジャーのCargill、ハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオ氏や、Amazon創業者、ジェフ・ベゾス氏の投資会社・Bezos Expeditions。ディカプリオ氏は2021年9月にも、培養肉を開発する2社のスタートアップへ出資している。
Wildtypeは「地球上で最もクリーンで持続可能なシーフードを作る」ことを目的に2016年に設立。2021年には培養サーモンの生産施設をオープンしたほか、大手寿司レストランとの提携も発表している。今後は調達した資金をもとに生産キャパシティを拡大し、本格的なローンチに向けて準備を進めていく。
スウェーデンのEVスタートアップ・Volta Trucksが約300億円の資金調達を実施
EV(Electric Vehicle:電気自動車)トラックを開発するスウェーデンのスタートアップ・Volta Trucksは2022年2月22日、シリーズCラウンドで2億3000万ユーロ(約300億円)の資金調達を実施したと明かした。リード投資家は米ニューヨークに拠点を置くヘッジファンドのLuxor Capital。スウェーデンの不動産投資会社・Byggmästare Anders J Ahlströmやサプライチェーンサービス大手のAgilityなどもラウンドに参加した。
Volta Trucksは2019年に設立。2020年には都市部での配送向けに設計された、16トンのEVトラック「Volta Zero」のプロトタイプを発表した。同社は2022年中にVolta Zeroの生産を開始し、2025年までに120万トンのCO2を削減することを目指している。
Volta Trucksでは現在、オーストリアに生産拠点を建設している。今後は調達した資金をもとに、2023年には5000台、2024年には1万4000台、2025年には最大で2万7000台のトラックを生産する計画だ。