
- 米民泊大手のAirbnbはウクライナ難民に無料で宿泊場所を提供
- イーロン・マスク氏は衛星ネットサービスを提供しウクライナを支援
- ウクライナ支援のため約38億円の寄付が暗号資産で集まる
- Facebook・Twitterはロシア国営メディアへのリンクに警告ラベルを表示
- Appleはロシアで全商品の販売を停止
衛星ネットサービスを開始、難民に民泊場所を提供──ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、さまざまなテック企業が支援に乗り出した。また、大手SNSはロシアの政府系メディアによるコンテンツの露出を制限するなど、ロシアへの対抗措置も取られている。
ウクライナ情勢が緊迫化する中で、テック企業はどう動いたのか。特に注目すべき取り組みをピックアップし、お伝えする。
米民泊大手のAirbnbはウクライナ難民に無料で宿泊場所を提供
米民泊大手のAirbnb(エアービーアンドビー)はロシアの侵攻から国外に逃れようとしているウクライナの難民に対して無料で宿泊場所を提供する計画だ。
この計画はAirbnb CEOのブライアン・チェスキー氏が2月28日にTwitter上で発表。同氏は「Airbnbと(同社が運営する非営利団体の)Airbnb.orgは民泊を提供するホストと協力し、ウクライナを逃れようとしている、最大で10万人の難民のみなさまに無料で宿泊場所を提供する計画です。そのためには、ポーランド、ドイツ、ハンガリー、ルーマニアなど、ウクライナに近い国々に住むホストの方々の協力が欠かせません」と投稿した。
2. We need help to meet this goal. The greatest need we have is for more people who can offer their homes in nearby countries, including Poland, Germany, Hungary and Romania. If you can host a refugee, go here: https://t.co/oCtjjcU6Ll
— Brian Chesky 🇺🇦 (@bchesky) February 28, 2022
Airbnbは2020年にAirbnb.orgを設立。2021年にタリバンがアフガニスタンで政権を奪還した際にも、最大で2万人の難民に対して無料で宿泊場所を提供した。
Starting today, Airbnb will begin housing 20,000 Afghan refugees globally for free.
— Brian Chesky 🇺🇦 (@bchesky) August 24, 2021
イーロン・マスク氏は衛星ネットサービスを提供しウクライナを支援
米電気自動車メーカーTesla(テスラ)のCEOで宇宙開発を手がけるSpaceXのCEOも務めるイーロン・マスク氏は2月26日、「ウクライナの支援に乗り出す」と表明した。
ウクライナではロシアからのサイバー攻撃によって、インターネットが利用できなくなるのではないかとの懸念が高まっていた。そこでマスク氏はSpaceXが展開する小型衛星を利用した高速インターネット接続サービス「Starlink」をウクライナで提供し、専用の送受信機も供与するとTwitter上で発表した。
Starlink service is now active in Ukraine. More terminals en route.
— Elon Musk (@elonmusk) February 26, 2022
ウクライナ支援のため約38億円の寄付が暗号資産で集まる
英国の暗号資産分析企業・Elliptic(エリプティック)は3月1日、ウクライナの政府とウクライナ軍を支援するNGO(非政府組織)はこれまでに3380万ドル(約38億円)相当の寄付を暗号資産で受け取ったと明かした。

内訳は、Bitcoinが31.5%、Ethereumが28.2%、Polcadotが23.4%、ステーブルコインが15.9%、その他が1.0%。Ellipticでは、多くの寄付が集まる一方で「ウクライナの状況を利用した詐欺も横行している」として注意喚起もしている。

Facebook・Twitterはロシア国営メディアへのリンクに警告ラベルを表示
Facebookを展開する米Metaは3月1日、ロシアの国営メディアが運営するFacebookとInstagramのアカウントによる投稿の表示順位を世界で引き下げていると明かした。ロシア国営メディアへのリンクを含む投稿にも同様の措置が取られている。
その目的について、Facebookのセキュリティポリシー責任者、ナサニエル・グライチャー氏はTwitterへの投稿で「我々のプラットフォーム上でロシア政府系メディアによるコンテンツを探しにくくするため」と説明。
2/ FB Pages/IG accounts: Over the past several days, we began demoting content from Facebook pages and Instagram accounts from Russian state-controlled media outlets, and we are making them harder to find across our platforms.
— Nathaniel Gleicher (@ngleicher) March 1, 2022
また、数日以内にはロシアの国営メディアへのリンクを含む投稿には警告ラベルを追加する計画だ。
3/ Links: We have also begun to demote posts with links to Russian state-controlled media websites on Facebook. In the days ahead, we will label these links so people who do see them will have context before clicking or sharing. We plan to take similar steps on Instagram as well. pic.twitter.com/CPgVLy1dP0
— Nathaniel Gleicher (@ngleicher) March 1, 2022
Twitterでも同様の対応をしており、2月28日からはロシア政府との繋がりを持つメディアのコンテンツをシェアする投稿には警告ラベルが表示されている。
Today, we’re adding labels to Tweets that share links to Russian state-affiliated media websites and are taking steps to significantly reduce the circulation of this content on Twitter.
— Yoel Roth (@yoyoel) February 28, 2022
We’ll roll out these labels to other state-affiliated media outlets in the coming weeks. pic.twitter.com/57Dycmn8lx
なお、米Googleも3月1日、ウクライナにおけるGoogleとGoogle Mapsでの検索結果に、緊急時情報を表示すサービス「SOS alert」を追加したことを発表。また、ウクライナ国民の安全に配慮し、Google Mapsで渋滞情報などの表示を停止している。
Appleはロシアで全商品の販売を停止
米Appleは3月1日、ロシアでMacBookやiPhoneを含むすべての商品の販売を一時的に停止すると発表した。
ロシアへの製品輸出を停止するほか、モバイル決済サービス「Apple Pay」などのサービス利用も制限。また、ロシア国外のApp Storeからはロシア政府系メディアのアプリをダウンロードできなくする措置も取っている。
他にも多数の企業がAppleと同様の対応を講じている。米The Walt Disney Companyは2月28日、ロシアでの新作映画の公開を中止すると表明。Netflixは3月1日よりロシア国内で国営放送の配信が義務付けられていたが、現在の状況では追加する計画がないことを、米ニュースサイト「Politico」との取材で明らかにした。