Photo:Anna Fedorenko/Getty Images
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  • ウクライナ支援に乗り出す国内企業
  • VRゲーム開発のMyDearestが、モバイルゲーム開発のcolyから資金調達
  • その他のスタートアップニュース

2022年2月24日に始まった、ロシアによるウクライナへの侵攻。約1週間が経ち、ここ数日でロシアからの事業撤退や事業停止を決断し、ウクライナの支援に乗り出す企業が増えてきている。それは欧米の企業だけでなく、日本でもだ。

ウクライナ情勢をめぐるニュースが連日報道される中、今週(2月26日から3月4日)のスタートアップ業界はどんな動きがあったのだろうか。

いま、押さえておくべき「スタートアップ業界のニュース」をDIAMOND SIGNAL編集部が独自の視点からピックアップしてお伝えする連載「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」。今週は、ウクライナの支援に乗り出した国内企業の取り組みのほか、VRゲーム開発のMyDearestの資金調達などを取り上げた。

ウクライナ支援に乗り出す国内企業

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、海外のテック企業が支援に乗り出している。そちらは別記事で伝えた通りだが、国内でもウクライナ支援に乗り出すテック企業が出てきている。

楽天の三木谷氏が10億円寄付、楽天グループで緊急支援募金を実施

ロシアの侵攻を受けているウクライナを支援するため、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長はウクライナ政府に10億円を寄付する方針を明かした。2月27日、Twitterに「家族と相談し10億円を寄付することにしました」と投稿した。

また、楽天グループは2月28日にインターネット募金「楽天クラッチ募金」で「ウクライナ人道危機 緊急支援募金」への寄付受付を開始。3月3日時点で支援金は4億円を超えている。

楽天グループは無料通話アプリ「Viber(バイバー)」をウクライナ、ロシアで提供。ウクライナのフョードロフ副首相兼デジタル転換相から通信の遮断を要請されたが、ロシアでのサービスを継続する方針を示している。なお、プロパガンダ(政治宣伝)などに悪用されることを防ぐため、ウクライナとロシアにおいてViber上からすべての広告を削除していることを明らかにしている。

ナッジ、カード利用額の一部を寄付へ

スマホ連動型のクレジットカード「Nudge(ナッジ)」を提供するナッジは3月2日、ロシアのウクライナ侵攻に伴う難民を支援するため、「ウクライナ人道支援」クラブの受付を開始した。

普段の買い物などでNudgeのクレジットカードを利用すると、利用金額の一部が、特定非営利活動法人「国連UNHCR協会」を通じて寄付される。

ZOZO、チャリティーTシャツを製作

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは3月1日、ウクライナの支援を目的にチャリティーTシャツを製作し、売上金の全額を寄付することを発表した。売上金はYahoo!ネット募金の登録団体である、特定非営利活動法人「ADRA Japan(アドラ・ジャパン)」を通じて。ウクライナの人々の水や衣料、生活必需品の購入などの支援に充てられる予定だという。

VRゲーム開発のMyDearestが、モバイルゲーム開発のcolyから資金調達

VR空間に集まって遊ぶことのできるプラットフォーム「cluster」を手がける
クラスターや、VRイベント「バーチャルマーケット」、VRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」を手がけるHIKKYなど、ここ1〜2年ほどVR系スタートアップの躍進が目立つようになっている。

「東京クロノス」「ALTDEUS: Beyond Chronos(以下、アルトデウス: BC)』などオリジナルIPを軸にVRゲームを開発するMyDearestもその1社だ。

代表取締役の岸上健人氏がライトノベル編集者として有名な三木一馬氏のかばん持ちをしていたこともあり、同社が開発するVRゲームは「物語×VR」を強みとしている。一般的なVRゲームはFPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)やリズムアクションゲームなど短時間で楽しむものが多い中、MyDearestが開発するVRゲームはクリアまでのプレイ時間が約20時間と長く楽しめるものになっている。

また、キャラクターのセリフはフルボイスにするなど、ノベルゲームのようなクオリティの高さがユーザーからの評価につながっている。アルトデウス: BCはVRヘッドセットOculus Quest2(現:Meta Quest2)のローンチタイトルに選出され、ユーザー評価世界一(Road to VR調査)を獲得した。

2021年6月にグロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家として9億円の資金調達を実施したMyDearest。そのエクステンションラウンド(追加投資)として、2月28日に女性向けスマホゲームアプリを開発するcolyから資金調達を実施したことを発表した。

colyは恋愛ゲーム「スタンドマイヒーローズ」や育成ゲーム「魔法使いの約束」など、自社IPゲームを軸に、グッズ販売やメディアミックスを展開する企業。双子の姉妹である中島瑞木氏と中島杏奈氏が2014年に設立した。外部資本を入れず、2021年2月に東証マザーズに上場したことは話題を集めた。

オリジナルIPを軸にしたゲーム開発に強みを持つcolyからの資金調達は、MyDearestのゲーム開発にどのような影響を与えるのだろうか。

その他のスタートアップニュース

グリラス、約2.9億円の資金調達を実施

食用コオロギの品種改良、生産、原料加工、商品開発、販売を一貫して行う徳島大学発のスタートアップ・グリラスは2月28日、Beyond Next Ventures、HOXIN、産学連携キャピタル、いよぎんキャピタル、近鉄ベンチャーパートナーズ、食の未来ファンド、地域とトモニファンドから約2.9億円の資金調達を実施したことを発表した。

無印良品が展開する昆虫食「コオロギせんべい」「コオロギチョコ」には、グラリスが生産する食用コオロギが使用されている。

トリドリ、総額12億円の資金調達を実施

インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「toridori marketing/base(トリドリマーケティング/トリドリベース)」などを展開するトリドリは2月28日、Global Catalyst Partners Japan、三菱UFJキャピタル、セレス、イノベーションエンジン、XTech Ventures、スリーエスキャピタル、ファーストアドバイザーズ、HIRAC FUNDから総額12億円の資金調達を実施したことを発表した。

エーテンラボ、3.7億円の資金調達を実施

習慣化アプリ「みんチャレ」を開発するエーテンラボは2月28日、ファストトラックイニシアティブ、みずほキャピタルなどから3.7億円の資金調達を実施したことを発表した。

AMI、1.5億円の資金調達を実施

心疾患診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器「超聴診器」を提供するAMIは2月28日、日清紡ホールディングスと資本業務提携を締結し、1.5億円の資金調達を実施したことを発表した。

LIFEHUB、約1億円の資金調達を実施

二輪起立構造を実装した次世代型電動車いす「TRANSELLA(トランセラ)」(仮称)の開発を行うLIFEHUBは3月1日、サイバーエージェント・キャピタル、インキュベイトファンドから約1億円の資金調達を実施したことを発表した。

スカイマティクス、総額13億円の資金調達を実施

あらゆる地理空間情報×時系列情報を処理解析する「時空間解析プラットフォーム」を提供するスカイマティクスは3月1日、フェムトグロースファンド、ミライトロン、ジャパン・コインベスト、農林中央金庫から総額13億円の資金調達を実施したことを発表した。

モジュラス、総額23.4億円の資金調達を実施

最先端の計算科学技術を用いた創薬プラットフォームを駆使し、新薬の候補となる低分子化合物の設計・評価を行うモジュラスは3月1日、グリーンコインベスト、SBIグループ、Heights Capital Management.、東京大学協創プラットフォーム開発、ジャフコ グループ、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)、ファストトラックイニシアティブから総額23.4億円の資金調達を実施したことを発表した。

hacomono、総額20億円の資金調達を実施

フィットネスクラブ・公共運動施設・スクールなどウェルネス産業向けの会員管理・予約・決済システムを提供するhacomonoは3月2日、THE FUND、Coral Capital、ALL STAR SAAS FUNDから総額20億円の資金調達を実施したことを発表した。

Meety、総額1.9億円の資金調達を実施

カジュアル面談プラットフォーム「Meety」を運営するMeetyは3月2日、HIRAC FUND、ANOBAKA、XTech Venturesから総額1.9億円の資金調達を実施したことを発表した。

uzumaki creative、約3000万円の資金調達を実施

Z世代向けマーケティング事業を展開するuzumaki creativeは3月2日、East Venturesなどから、約3000万円の資金調達を実施したことを発表した。