左から、LVC代表取締役社長CEOの林仁奎(イム ・インギュ)氏、ブロックチェーン事業部 事業部長の上遠野大輔(かどおの・だいすけ)氏
左から、LVC代表取締役社長CEOの林仁奎(イム ・インギュ)氏、ブロックチェーン事業部 事業部長の上遠野大輔(かどおの・だいすけ)氏

メッセンジャーアプリ「LINE」などを展開するLINEが新たにNFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)事業を開始する。同社の子会社で暗号資産・ブロックチェーン事業を手がけるLVCは3月22日、NFT総合のマーケットプレイス「LINE NFT」を4月13日から提供開始すると発表した。

ローンチ時には吉本興業やジェイアール東日本企画のほか、キャラクターを軸に事業を展開するMintoやGIFプラットフォーム「GIFMAGAZINE」を展開するGIFMAGAZINEといったスタートアップと連携し、第1弾のコンテンツとして、100種類以上のNFTを販売する。LINE NFTで購入したNFTはLINEのデジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」で管理される。LINEユーザーはNFTを購入するだけでなく、友達に送ったり、交換したりすることも可能だ。

「LINE NFT」のローンチラインナップ
「LINE NFT」のローンチラインアップ 画像提供:LVC

LVCは2021年6月から、NFTの二次流通マーケット「NFTマーケットβ」を提供しており、LINE NFTはNFTマーケットβの正式版という位置付けだ。NFTマーケットβではLINEが発行する暗号資産の「LINK」でしか取引できなかったが、LINE NFTではLINE Payを介した日本円での取引に対応している。イーサリアムといったパブリックチェーンとの相互運用性の実現も視野にある。

当日開催された記者会見で、LVCのブロックチェーン事業部 事業部長の上遠野大輔(かどおの・だいすけ)氏は「昨年、NFTは日本でも大きな盛り上がりを見せました。しかし、その盛り上がりは一部のユーザーによる偏った盛り上がりにすぎません」と課題感を口にした。上遠野氏いわく、日本では暗号資産による高額な手数料や複雑なウォレットの設定などが、NFTの本格的な普及の足かせになっている。そのため、LINE NFTでは「誰もがNFTを楽しめるサービス」を目指すという。

「LINE NFTでは簡単な操作でNFTを購入でき、ユーザー間での取引はもちろん、NFTを持つことによる楽しさも提供していきます」(上遠野氏)

LINE NFTでは今後、ソフトバンクやZホールディングスとの提携を強め、グループ企業が保有するコンテンツやテクノロジーを活用していく。例えば、ネットオークション「ヤフオク!」でのNFT取引や、NFT購入時の決済手段として「PayPay」の導入を検討しているという。

LINE NFTは日本のみでの展開となるが、LINEでは海外ユーザーの獲得も視野に入れる。LVC代表取締役社長CEOの林仁奎(イム ・インギュ)氏は当日開催された記者会見で、「(2022年)上半期には、日本をのぞく180カ国・8言語に対応したNFTプラットフォーム『DOSI』の提供を開始します」と説明。DOSIに先駆けてローンチするLINE NFTは、LINEにとって「Web3(ブロックチェーンを基盤とした新しいウェブ)展開に向けた第一歩」と語った。

日本では、昨年から大手IT企業によるNFT事業への参入が相次いでいる。GMOは2021年8月にNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」のβ版をリリースしたほか、楽天は2022年2月に「Rakuten NFT」をリリースしている。

また、メルカリは2021年12月にパ・リーグ6球団ならびにパシフィックリーグマーケティングと共同で「パ・リーグ Exciting Moments β」を提供開始した。LINEの参入により、日本でもさらなる盛り上がりが期待されるNFT市場。覇権を握るのはどのプラットフォームになるのだろうか。