
キーワードを入力すると、それに沿った日本語の文章が約6秒で生成される──。そんな“文章執筆AI”が3月28日に公開された。
開発したのは東京大学松尾研究室発AIスタートアップのELYZAだ。自然言語処理技術(NLP)の領域において研究開発に取り組んできた同社では、キーワードから約6秒で日本語の文章を生成できる大規模言語AIを開発。このモデルを活用したサービスとして「ELYZA Pencil」を公開した。
ELYZA Pencilの使い方は簡単で、複数のキーワードを用意するだけ。このキーワードを基にした文章が約6秒で完成する。文章のタイプは「ニュース記事」「ビジネス用のメール文」「職務経歴書」の3つから選ぶことが可能。今回公開されたのはデモサイトという位置付けで、無料で使える。


NLPの領域は近年急速に発展が進んでいる。2018年にGoogleが大規模言語モデル「BERT」を発表したことを1つのきっかけに、先端技術の研究やそれを活用した取り組みが加速。2020年に非営利団体のOpenAIが発表した「GPT-3」は大きな注目を集めた。
実際に海外ではコピーライティングAIの「Copy.ai」や電子メールの文章を生成する「Flowrite」のように、GPT-3のモデルを活用しながらユーザーの文章執筆を支援するプロダクトがいくつも生まれている。
ELYZAは大規模言語AIと独自の大規模データセットを活用し、日本語に特化したAIエンジン「ELYZA Brain」を2020年に開発。このエンジンを改良しつつ“要約”という用途に特化する形で作った「ELYZA DIGEST」は、2021年8月の公開後5日間で13万人が利用したという。
今後はELYZA Pencilで活用されている文章執筆AIを改良しながら、ホワイトカラーの生産性向上の支援を目指す。
ELYZAでは「全国民のホワイトカラー業務の10%以上をAIへ代替できる可能性があると想定しており、今後、ホワイトカラーが行っている『書く』業務をはじめ、『まとめる』『読む』『答える』といった業務をAIでサポートできる世の中にしていきたいと考えています」としており、テキストを大量に保有してる企業との共同研究などにも取り組む計画だ。