Photo by Peter Herrmann on Unsplash
Photo by Peter Herrmann on Unsplash
  • 独自開発センサーで工場現場でのヒトによる監視リスクを減らす
  • 決済機能付きデジタル社員証アプリの開発元が資金調達
  • その他のスタートアップニュース

2022年も3カ月が経過し、4月に。新年度になったということもあり、人事発表や資金調達、プロダクトのリリースなど、さまざまなニュースが多く発表された。

いま、押さえておくべき「スタートアップ業界のニュース」をDIAMOND SIGNAL編集部が独自の視点からピックアップしてお伝えする連載「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」。今週は熊本大学発のスタートアップ・CASTの資金調達、デジタル社員証を手がけるKortValutaの資金調達を取り上げる。

独自開発センサーで工場現場でのヒトによる監視リスクを減らす

製造業の工場現場における漏洩・爆発の事故防止率を高めるべく、あらゆる場所に取り付けることが出来る“つけっぱなし”配管モニタリングセンサーを開発しているのが、熊本大学発のスタートアップ・CASTだ。

工場では老朽化や働き手の高齢化によって、機械の維持管理や監視が不十分なままとなり、漏洩事故の件数が年々増加している。これまで人が半年~1年に1回程度行っていた定期検査のみの検査状況を変えるべく、CASTは共同創業者である小林牧子技術顧問が発明したゾルゲル複合体圧電デバイスをベースに熊本大学で改良を重ね、「耐熱・フレキシブル・薄型」という特性を持った超音波センサーを開発。これにより、人ではなくセンサーによる配管の常時かつ遠隔からのモニタリングの実現を目指している。

CASTはセンサーの量産化と販売促進を目的に、4月4日にリアルテックファンドと肥銀ベンチャーファンドからJ-KISS型新株予約権の発行により、4000万円の資金調達を実施したことを発表した。今回調達した資金をもとに、センサーによる常時モニタリング実証先を確保し、モニタリングシステムの開発・設置・運用を行っていくという。

決済機能付きデジタル社員証アプリの開発元が資金調達

オフィスへの出社が当たり前だった頃、多くのビジネスパーソンが所持していた社員証。それをデジタルに置き換え、なおかつ決済の機能も持たせようとしているのが、決済機能付きデジタル社員証アプリ「TwooCa(ツウカ)」を運営するKort Valuta(コートヴァリュタ)だ。

同社が提供するTwooCaは、社員証の提示から各種支払いや給与振込、投資、福利厚生の利用、決済といった機能を併せ持つハイブリッドペイメント対応の社員証アプリ。Visaのバーチャルプリペイドカードもアプリ内で即時発行することができる。2021年10月に同アプリをリリースしている。

Kort Valutaは今後、TwooCaユーザーのみが利用できるECサイト、デジタル給与の付与などを目指して開発を進めるべく、4月5日にプレシリーズAラウンドで累計10億4500万円の資金調達が完了したことを発表した。

また、4月7日は決済機能と心拍数、睡眠などのヘルスケアデータの取得が同時に出来るスマートリング「TwooCa Ring:T-Ring(仮称)」の開発を開始したことを発表しており、今後はTwooCaとの連動も視野に開発を進めていくという。

その他のスタートアップニュース

ビットフライヤーホールディングスの買収報道

暗号資産(仮想通貨)交換業を傘下で展開するビットフライヤーホールディングスを、投資ファンドのACAグループが買収する見通し、というニュースを4月2日に日経新聞が報じた。この買収報道を巡り、創業者である加納裕三氏はTwitterで、友好的な買収者であるホワイトナイト(白馬の騎士)を募集する、と呼び掛けた。

ユビ電、総額4億円の資金調達を実施

マンションや職場、オフィスや工場、物流センター、月極や時間貸し駐車場、商業施設やホテル・旅館、空港などでの充電に対応する「WeCharge電気自動車充電サービス」の提供元であるユビ電は4月4日、SBIインベストメント、ENEOSイノベーションパートナーズから総額4億円の資金調達を実施したことを発表した。

TXP Medical、約15億円の資金調達を実施

救急医療データプラットフォーム「NEXT Stage ER」を提供するTXP Medicalは4月5日、伊藤忠商事および既存投資家である東京大学エッジキャピタルパートナーズから約15億円の資金調達を実施したことを発表した。

令和トラベル、海外旅行予約アプリの提供を開始

令和トラベルは4月5日、海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート)」の提供を開始した。まずはハワイを対象に300以上のツアーを掲載し、今後は他エリアにも広げていく計画だという。

トルビズオン、総額9600万円の資⾦調達を実施

上空シェアリングサービス「ソラシェア」を運営するトルビズオンは4月6日、NCBベンチャーキャピタル、Kips、廣田商事を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施。前年度の秋に実施した株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」での調達と合わせて、総額9600万円の資金調達を実施したことを発表した。

Fun Group、総額7.5億円の資金調達を実施

世界7都市で、112か国以上の旅行者へ日本語・英語・中国語の現地オプショナルツアーを提供するFun Groupは4月6日、個人投資家および香港取引所上場の中薇金融控股有限公司、JBCホールディングスから総額7.5億円の資金調達を実施したことを発表した。

カイテク、総額3.7億円の資金調達を実施

介護ワークシェアリング「カイスケ」を展開するカイテクは4月6日、はたらくFUND、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、プラス、他個人投資家から総額3.7億円の資金調達を実施したことを発表した。

ナナメウエ、約16億円の資金調達を実施

グループ通話やテキストチャットを通じて交流できる音声SNS「Yay!」を提供するナナメウエは4月6日、SBIインベストメント、FFGベンチャービジネスパートナーズなどの投資家および金融機関からの融資により約16億円を調達したことを発表した。

RABO、約13.2億円の資金調達を実施

猫専用の首輪型IoTデバイス「Catlog(キャトログ)」などを提供するRABOは4月6日、MPower Partners、ユニ・チャーム、DG Ventures、Headline Asiaに加え、既存投資家のSTRIVE、XTech Venturesから約13.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

HQ、総額2億円の資金調達を実施

リモートワーク環境整備プラットフォーム「リモートHQ」を提供するHQは4月6日、Coral Capitalおよび個人投資家から総額2億円の資金調達を実施したことを発表した。

mento、総額3.3億円の資金調達を実施

個人と事業者の両軸で専門のトレーニングを受けたプロコーチを紹介するコーチングサービスを展開しているmentoは4月6日、WiLから総額3.3億円の資金調達を実施したことを発表した。

ノバセル、複数の新事業を立ち上げることを発表

運用型テレビCMサービス「ノバセル」などを展開するノバセルは4月6日、競合他社のCM分析サービス「ノバセルトレンド」や定量調査サービス「ノビシロ」など複数の新事業を立ち上げることを発表した。

Hubble、総額6.5億円の資金調達を実施

契約業務クラウドサービス「Hubble」を展開するHubbleは4月7日、DNX Venturesをリード投資家として、既存投資家であるArchetype Ventures、マネーフォワードに加え、新たに米国セールスフォース・ドットコムの投資部門であるSalesforce Venturesから総額6.5億円の資金調達を実施したことを発表した。