Photo by Jeremy Bezanger on Unsplash
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イーロン・マスク氏がTwitterの取締役に就任するなど、海外のテクノロジー業界では先週(4月3日〜4月9日)も、さまざまなビッグニュースが飛び交った。

「海外テックニュース-Trend Now」では、毎週、特に注目すべきニュースを編集部が独自にピックアップし、お伝えする。今回は、イーロン・マスク氏のTwitter取締役就任と新しい編集機能、そして米国を代表するベンチャーキャピタル(VC)Sequoia Capitalのパートナー陣の世代交代を紹介する。

イーロン・マスク氏がTwitterの取締役に就任、編集機能の実現なるか

Twitterは4月5日、TeslaのCEOでSpaceXの創業者でもあるイーロン・マスク氏が同社の取締役に就任したことを発表した。前日の4月4日にはマスク氏がTwitter株の9.2%を取得して筆頭株主となったことが明らかとなり、株価は27%値上がりした。Twitterが米証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、マスク氏の任期は2年後の2024年までとなっている。

Twitter CEOのパラグ・アグラワル氏は4月5日にTwitterで「ここ数週間、マスク氏との会話を重ね、彼がTwitterの取締役会に大きな価値をもたらしてくれると確信しました。彼はTwitterの熱心な信者、かつ強烈な批評家でもあるため、我々にとって欠かせない存在だと言えるでしょう」とコメントした。

マスク氏は同日、Twitterの投票機能を使って、長年ユーザーより切望されてきた「編集ボタン」を望むかとフォロワーに問いかけた。アグラワル氏はその投稿を引用し、「この投票結果は重要となるため、慎重に投票してください」と説明。結果として約440万件の投票が集まり、73.6%が「賛成」、26.4%が「反対」と回答。賛成が反対を大きく上回る結果となった。

そしてTwitterは翌日の4月6日、公式アカウントを通じて、「編集機能については昨年より準備を進めています」と明かした。だが、喜ぶのはまだ早いかもしれない。Twitterは多くの機能を試験的に提供するが、そのすべてを実装するわけではない。編集機能が正式に提供開始されるかどうかについては、今後予定されているテストの状況を見守る必要がある。

Sequoia Capitalが世代交代を発表、過去にPayPalをIPOへと導いたロエロフ・ボタ氏がトップに就任

米国を代表するVCのSequoia Capitalは4月5日、パートナー陣の世代交代を明らかにした。同社のトップの座(編集部注:同社はトップの座をSenior Stewardと呼ぶ)は6月5日、マネージング・パートナーのダグラス・レオン氏から同じくマネージング・パートナーのロエロフ・ボタ氏へと渡される。その前日の6月4日はレオン氏の65歳の誕生日だ。

レオン氏がSequoia Capitalにジョインしたのは1988年のこと。その後、1996年にマネージング・パートナー、2012年にはグローバルのマネージング・パートナーに就任した。ポートフォリオにはクラウドベースの業務プラットフォームのServiceNow、顧客体験管理プラットフォームのMedallia、ブラジルのネオバンク・Nubankなどが含まれる。

新たにトップとなるボタ氏は2001年にPayPalのCFOに就任し、同社を2002年2月の上場、同年10月のeBayによる買収へと導いた人物だ。同氏は2003年にPayPalを離れ、Sequoia Capitalにジョイン。Sequoia Capitalでは、YouTube、Square(現Block)、Instagram、Unityなどに投資してきた。

Sequoiaは2021年10月に、10年というファンドの運用期限を取り払うと発表。その発表はボタ氏の署名によるものだったため、数年以内に世代交代がなされるのではないかと噂されていた。

世代交代が進んでいるのは何もSequoia Capitalに限った話ではない。2021年には、Lightspeed Venture Partners創業者でマネージング・パートナーのジェレミー・リュー氏や、Spark Capital共同創業者でジェネラル・パートナーのビジャン・サベット氏も引退を発表した。

米国のVC業界ではTiger Global Managementといったヘッジファンドや、個人で投資を実施するソロキャピタリスト、小規模なマイクロVCなどの存在感が増してきている。競争が激化する中、Sequoiaがファンド運用期限を取り払ったように、どのVCも既成概念にとらわれない施策を打ち出す、次世代のリーダーを必要としているのではないだろうか。

2021年以降は、非中央集権のインターネット「Web3」がますます注目を集めている。インターネットが新時代への移行フェーズにある今だからこそ、最新技術に明るい次世代がトップに就任することは重要だと言えるだろう。