
- 東大発スタートアップなど8チームが新たな支援先に決定
- 次回からは8大学に拡張、大学の垣根を超えた起業支援目指す
東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)が起業を目指す東大関係者や東大関連のシードベンチャーを支援する目的で、2019年より運営してきたインキュベーションプログラム「東大IPC 1st Round(前身となる取り組みは2017年開始)」。
2021年の第5回目からは新たに筑波大学、東京医科⻭科大学、東京工業大学が参画。名称も「1st Round」へと一新し、大学の枠を超えた“4大学共催の起業支援プログラム”へと生まれ変わった。
過去5年に累計52チームが参加し、支援後1年以内の資金調達成功率は約90%を誇る同プログラム。4月11日に発表された第6回の支援先企業を紹介する。
東大発スタートアップなど8チームが新たな支援先に決定
reverSASP Therapeutics : 細胞老化分野の研究を基に健康寿命の延伸目指す
細胞老化分野で先進的な研究に取り組む東京大学・中西研究室の研究成果を基に、健康寿命の延伸を目指すバイオテックスタートアップ。老化バイオロジー解明に基づく疾患治療薬の創出を進めていくという。
Ememe : 3Dモーションキャプチャー機能備えたNFTマーケット
3Dモーションキャプチャー機能を備えたNFTマーケットサービスを開発。スマホでユーザー独自のモーションを作成しNFT化する。作成したモーションはチャットでスタンプとして利用できるほか、メタバース空間上でアバターの感情表現に使える。
Octa Robotics : サービスロボット普及に向けたインターフェースサービス
サービスロボットを普及させていく上での障壁を取り除く技術を開発するスタートアップ。具体的にはロボットとエレベーターなどの建物設備の連携を可能にするインターフェースサービスを開発する。防火扉やセキュリティゲートなど連携対象を拡大することで、建物全体をロボットの移動範囲にすることを目指す。
LearnWiz : オンライン事業で参加者の意見交換・集約を促すWebサービス
オンライン授業で参加者間の意見交換・集約を促すWebサービス「LearnWiz One」を開発。東京大学4年生の創業者が教育工学を研究する吉田塁研究室における活動からスピンオフするようなかたちで事業をスタート。現在は授業やイベントのみならず、企業におけるブレストや会議の場面でも活用が広がっているという。
GIG-A : 在日外国人労働者の課題を解決する金融サービス
バンキングを中心とした外国人が日本で働く際の課題を包括的に解決するサービス「GIG-A」を開発。“日本版WeChat”のようなかたちで様々な機関と連携し、個別に存在していた外国人向けサービスを包括的に代行。銀行口座開設から生活サービスに至るまでの課題解決を目指す。CEOは元エストニア経済通信省局次長でもある連続起業家。
ヘッジホッグ・メドテック : 頭痛領域における治療用アプリ
頭痛領域において治療用アプリの開発に取り組むスタートアップ。片頭痛の治療として一般的な薬物療法に加え、医療機器アプリを介した認知行動療法(日常行動のパターンを含めた認知を改善する治療法)を組み合わせることで治療効果の向上を目指す。
エルシオ : 視力問題を解決するオートフォーカスグラスの実現へ
老眼、強度近視、弱視などの視力問題解決に向けてオートフォーカスグラスの実現に取り組むスタートアップ。±6度以上の超広範な度数可変範囲と直径30mm以上の大口径を実現したフレネル型液晶レンズを開発。軽量で安価な度数可変レンズでのオートフォーカス(視力矯正機能)の実現によって、幅広い場所や機器への実装を目指していく。
Meshbase : 保険・保証のデジタル販売プラットフォーム
主にECサイトや実店舗を対象とした保険・保証のデジタル販売プラットフォーム「WarrantUp」を開発。販売から運用までの全プロセスをカバーすることで事業者が手軽に保険・保証の販売体制を構築し、コストを抑えて運用できるような仕組みを提供する。海外ではEC事業者向けの延長保証サービスを手掛けるExtendなどがユニコーンになっている。
次回からは8大学に拡張、大学の垣根を超えた起業支援目指す
現在東大IPCと東京大学、筑波大学、東京医科⻭科大学、東京工業大学の4大学で共催している1st Roundだが、今後はここに神戸大学、名古屋大学、一橋大学、北海道大学が加わり8大学共催のプログラムとして展開していく計画だという。
大学内には社会課題解決のタネとなる技術シーズがいくつも存在する一方で、事業化における支援サポートが十分ではない面もある。1st Roundではコーポレートパートナーの大手事業会社などともタッグを組みながら、資金支援や人材の育成支援、事業サポートなどを通じて大学の垣根を超えたスタートアップの創出・育成を目指す。