Photo by Alessio Soggetti on Unsplash
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  • リアルタイムでの高精細風況情報の提供するメトロウェザー
  • バンダイナムコがスタートアップ投資ファンドを設立
  • その他のスタートアップニュース

スタートアップ創出を成長戦略のひとつとする、岸田内閣。6月までにスタートアップ育成の5カ年計画を作成し、省庁横断的な司令塔機能を強化する方針を先日、明らかにした。今後、官民が一体となったスタートアップ支援はさらに手厚くなっていきそうだ。

いま、押さえておくべき「スタートアップ業界のニュース」をDIAMOND SIGNAL編集部が独自の視点からピックアップしてお伝えする連載「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」。今週は風を3次元で可視化するメトロウェザーの資金調達、バンダイナムコエンターテインメント(以下、バンダイナムコ)のファンド設立を取り上げる。

リアルタイムでの高精細風況情報の提供するメトロウェザー

“BIGBOSS”こと、日本ハムの新庄剛志監督が札幌ドームで行われた本拠地開幕戦でA.L.I.Technologiesが開発する「空飛ぶバイク」に乗って登場したことは大きな注目を集めた。この空飛ぶバイクは2022年上半期を目処に納車を予定しており、こうしたエアモビリティが自由に飛び交う社会は数年後には実現しそうだ。

来るべきエアモビリティ社会に向けて、風況をリアルタイムかつ3次元で把握・可視化するドップラー・ライダーを開発し、高度なオペレーションが要求される「レベル4」飛行の実現を目指しているのがメトロウェザーだ。

現在、ドローンなどの無人航空機は飛行レベルが4段階に定められている。具体的には、レベル1は「目視内における操縦飛行」、レベル2は「目視内における操縦無しの飛行」、レベル3は「無人地帯における目視外飛行(補助者の配置なし)」、レベル4は「有人地帯における目視外飛行(補助者の配置なし)」となっている。

人が生活する空間の上空などにおいて、自動運転技術によってオペレーターの目が届かない範囲まで無人航空機を飛行させるレベル4を実現するとなると、高度なオペレーションによる安全性の確保が必要不可欠となる。

メトロウェザーは赤外線を用いて、風に舞った大気中の塵や微粒子などの散乱体の反射光を受信し、ドップラー効果を利用した解析を実行することで、風況を把握できるドップラー・ライダーの開発を手がける。現在、国内外で複数の企業・研究機関との共同研究や実証を進めており、2021年からはNASAの研究開発プロジェクトにも参画している。

同社は海外展開を視野に入れた組織体制の構築と、さらなる事業展開を加速させるべく、4月11日にリアルテックファンド、DRONE FUNDおよび新たにグローバル・ブレインが運営するCVCファンドなど、VCや事業会社12社からシリーズAラウンドにおいて総額約7億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

バンダイナムコがスタートアップ投資ファンドを設立

先日、ANAグループでメタバース事業を手がけるANA NEOが45億円の資金調達を実施したことをお伝えしたが、大手ゲーム会社として知られるバンダイナムコもメタバースに注目しているようだ。

バンダイナムコホールディングスは4月12日、「IP(キャラクターなどの知的財産)メタバース」の構築および新たなエンターテインメントの創出を目的にスタートアップ投資ファンド「Bandai Namco Entertainment 021 Fund(バンダイナムコエンターテインメント ゼロトゥワン ファンド)」を立ち上げたことを発表した。

主な投資対象は、国内外のブロックチェーン、VR/AR/xR、AIなどの技術を活用したエンターテインメントに関連するプロダクトやサービスの提供、また、メタバース、Web3関連の事業を行うスタートアップ。ステージはプレシードからレイターまで幅広く、投資規模は年間10億円(3年間で30億円)程度の出資を想定しているという。1社あたりの投資額は数千万円~5億円を見込む。

先日、ソニーグループは人気ゲーム「Fortnite」やゲームエンジン「Unreal Engine」などで知られるEpic gamesに10億ドル(約1254億円)の追加出資を行うための確定契約を締結したことを発表している。今後、ゲーム会社をはじめとする大手企業が、メタバース時代をにらんでスタートアップに出資をする事例はどんどん増えていきそうだ。

その他のスタートアップニュース

Coral Capital、「J-KISS 2.0」を公開

ベンチャーキャピタルのCoral Capitalは4月13日、スタートアップ向けの投資契約書のひな形「J-KISS」をメジャーアップデートし、「J-KISS 2.0」として公開したことを発表した。2016年4月に公開されたバージョン1からの変更点は下記の2点だ。

・バリュエーションキャップをプレマネーからポストマネーに変更し、資金調達ラウンドごとの希薄化率が分かりやすくなったこと

・ひな形として公開されている契約書の条項について、その内容に変更が加えられていないことがひと目で分かるよう表明する文を加えたこと

グランドグリーン、総額5億円の資金調達を実施

独自開発した作物のゲノム編集プラットフォーム技術(汎用的デリバリー技術「gene App」、ゲノム編集kit「3GE(triple GE)」、ゲノミクス等を含む)を用いて、種苗会社や食品会社などを含む5社とそれぞれ共同開発を行っているグランドグリーン。同社は4月13日、東京大学協創プラットフォーム、Beyond Next Ventures、静岡キャピタル、その他個人投資家1名からシリーズBラウンドで約5億円の資金調達を実施したことを発表した。同社の累計調達額は約8.3億円となる。

DATAFLUCT、総額11億円の資金調達を実施

データサイエンスに関わるSaaS/PaaSを提供するDATAFLUCTは4月13日、事業会社を中心とする投資家グループ7社を引受先とした第三者割当増資およびりそな銀行からの融資により、シリーズBラウンドで総額11億円の資金調達を実施したことを発表した。

Zip Infrastructure、1.9億円の資金調達を実施

⾃⾛型ロープウェイ「Zippar」の設計・開発をするZip Infrastructureは4月12日、リアルテックファンド、ANRIを引受先とする第三者割当増資および補助金により、ポストシードラウンドで1.9億円の資金調達を実施したことを発表した。

スマートスキャン、総額13.7億円の資金調達を実施

病院やクリニックのDX推進をサポートするスマートスキャンは4月11日、日本ベンチャーキャピタル、クレディセゾン、DGベンチャーズ、キヤノンメディカルシステムズ、山口キャピタル、出光興産、Aflac Ventures Japan、個人投資家からシリーズBラウンドにおいて総額13.7億円の資金調達を実施したことを発表した。

インターステラテクノロジズ、2.2億円の追加の資金調達を実施

観測ロケット「MOMO」と超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」を独自開発・製造しているインターステラテクノロジズは4月11日、IMV、KADOKAWAなどから、シリーズDラウンドで2.2億円の追加の資金調達を実施したことを発表した。シリーズDラウンドの累計調達額は総額18.7億円となった。

Craif、資金調達を実施

尿を利用したがんの早期発見の実現を目指すCraifは4月12日、Saisei Ventures、博報堂DYベンチャーズ、KIRIN HEALTH INNOVATION FUND、NOBUNAGAキャピタルビレッジから資金調達を実施したことを発表した。今回の資金調達は、2021年11月に実施したしシリーズBのエクステンションラウンドとなっている。

インキュベイトファンド、LP出資に特化したファンド「IFLP2号ファンド」を設立

インキュベイトファンドは4月12日、独立系シードファンドへのLP出資に特化したファンド「IFLP2号ファンド」を設立したことを発表した。ファンドは2022年末にファイナルクローズを予定しており、100億円規模を目指す。

KiteRa、総額14億円の資金調達を実施

社会保険労務士(社労士)の業務を支援するSaaS「KiteRa Pro」を提供するKiteRaは4月13日、XTech Ventures、三井住友海上キャピタル、DIMENSION、Sansan、みずほキャピタルから総額14億円の資金調達を実施したことを発表した。

アスエネ、総額18億円の資金調達を実施

CO2排出量見える化・削減クラウドサービス「アスゼロ」を提供するアスエネは4月13日、Pavilion Capital(シンガポール政府傘下の投資会社)、GMO VenturePartners
、Axiom Asia(アジアのPEファンド)、インキュベイトファンド、STRIVE、環境エネルギー投資と商工組合中央金庫からの融資により総額18億円の資金調達を実施したことを発表した。

Luup、約10億円の資金調達を実施

電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP」の提供するLuupは4月14日、車両のリースや銀行融資などにより、約10億円の資金調達を実施したことを発表した。