
スタートアップやビジネスの変革に取り組む“挑戦者”を表彰する「SIGNAL AWARD 2022」。120社以上からのエントリーを受け付けた本アワードでは4月26日、オンライン開催の表彰式イベントにて最終審査の結果を発表する。
最終審査の審査員を務めるのは以下の4名だ。革新性・成長性・持続性・市場規模とシェアの4項目で採点を行い、最も優れた企業を決定する。
- グロービス・キャピタル・パートナーズ ジェネラルパートナー 高宮慎一氏
- シニフィアン共同代表 朝倉祐介氏
- マクアケ共同創業者・取締役 坊垣佳奈氏
- 早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏
表彰式イベントの開催まで残り1週間を切った。そこで一次審査を通過した20社を、4社ずつにわけて紹介していく。今回紹介するのはTBM、Luup、ロジクラとPETOKOTOだ(掲載は五十音順)。
石灰石を主原料とする新素材「LIMEX」を開発するTBM

世界中にほぼ無尽蔵に存在し、日本だけでも約240億トンが埋蔵されている「石灰石」。TBMはそんな石灰石を主原料とし、紙やプラスチックを代替する新素材「LIMEX」を開発する。水をほぼ使用せずに紙代替製品を製造できるため、環境負荷を軽減することが可能だ。LIMEXはレジ袋やボールペン、飲料カップなどの素材として使われている。
また、TBMではLIMEX製品やプラスチック製品が適切に再生利用されるよう、再生材料を50%以上含む素材「CirculeX」も展開する。
TBMのミッションは「進みたい未来へ、橋を架ける」。脱炭素社会やサーキュラー・エコノミーの実現を目指し、LIMEXやCirculeXを提供する。

TBM代表取締役CEOの山﨑敦義氏は「グローバルで勝負が出来て100年後も継承される人類の幸せに貢献できる1兆円事業を興したい」という思いのもと、2011年にTBMを設立した。スタートアップのデータベース・STARTUP DBによると、TBMの時価総額は2022年4月1日の時点で1336億円。同社は時価総額が1000億円を超える、日本では数少ないユニコーン企業の1つだ。
電動キックボードシェア日本最大手のLuup

新たな短距離移動の手段として世界中で普及が進む、電動キックボードのシェアリングサービス。スタートアップのLuupが展開する「LUUP」は国内最大手のシェアリングサービスだ。

Luup代表取締役社長兼CEOの岡井大輝氏はロビイストとしての顔を持ち、マイクロモビリティ推進協議会の会長として、電動キックボードのルール整備に奔走してきた。ロビイングの結果として、2022年4月19日には道路交通法の改正案が可決。電動キックボードは免許やヘルメットが不要となる「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」と位置づけられた。
Luupは、2022年4月14日に複数のリース会社と電動キックボードのリース契約を締結。さらに融資で10億円を調達し、2023年中をめどとした全国展開にもアクセルを踏む。岡井氏は「道路交通法の改正案が国会にて可決され、電動キックボードが正式に法整備されました。引き続き、街中を『駅前化』するインフラをつくるべく人生をかけて取り組んで参ります」と述べた。
佐川急便とタッグを組むクラウド在庫管理のロジクラ

入荷から在庫管理、受注オーダーの自動取り込みから出荷といった物流オペレーションを一括管理できるクラウド在庫管理ソフト「ロジクラ」を提供するのが、スタートアップのロジクラだ。
ロジクラを使えば、入荷時や出荷時にスマートフォンのカメラで商品のバーコードを読み取るだけで、在庫データを登録し管理できる。従来ならば、在庫管理をする際にはハンディターミナルという専用機器、ならびにそれと連動したソフトウェアを導入する必要があったが、それをスマホ1台で完結できるようにしたことから、事業者の評価を得ている。

ロジクラは2021年5月、佐川急便のグループ企業でロジスティクス事業を展開する佐川グローバルロジスティクスとタッグを組み、最新技術を駆使したECフルフィルメントサービス「XTORM(エクストーム)」を提供開始。深夜2時までの注文を最短で同日の午前9時に届けるという驚きの出荷スピードを実現した。
ロジクラ代表取締役の長浜佑樹氏は「私たちがサポートする物流は、小売・流通の要です。ここ数年間のEC市場の成長と変化に適応する、新しいソリューションをこれからも生み出していきます。記念すべき第1回目のSIGNAL AWARDの結果を、楽しみにしています」と語った。
保護犬猫マッチングサイト「OMUSUBI」を展開するPETOKOTO

ペットの“家族化”が進む、ここ日本。だが一方で、大量繁殖や飼育放棄といった背景から、数多くの犬猫が殺処分されているのが現実だ。環境省のデータによると、2020年度には全国で約2万3700匹が命を絶たれた。そこでスタートアップのPETOKOTOでは、審査制の保護犬猫マッチングサイト「OMUSUBI」を展開する。
OMUSUBIは保護犬猫と迎えたい人を結ぶマッチングサイトだ。独自の審査を通過した団体のみが里親を募集できる。

また、PETOKOTOではフレッシュペットフードのD2Cブランド「PETOKOTO FOODS」も展開し、2020年2月の販売開始から2年で1000万食以上を販売したという。同社はその他にもペットライフメディアの「PETOKOTO」なども運営する。
PETOKOTO代表取締役の大久保泰介氏は「私たち飼い主にとってはペットが家族同然の存在となる一方で、社会では殺処分など、家族として認められていない側面もあります。これからも、お客さまをはじめとする全てのステークホルダーの皆さまとともに『ペットを家族として愛せる世界』をつくっていきます」とコメントした。
4月26日に開催するSIGNAL AWARD 2022のオンラインイベントでは、表彰式に加えて、メルカリ創業者・代表の山田進太郎氏らが登壇するセッションなども実施する。イベントへの参加は無料で、Peatixにて参加登録を受け付けている。