
さまざまなフィールドで社会に変革を起こしている、あるいは起こそうとしている挑戦者たちを讃え、表彰する「SIGNAL AWARD 2022」。4月26日に開催予定の表彰式イベントでは、120社以上の応募から選ばれた注目スタートアップ20社の中から、審査員が選んだグランプリ、準グランプリ、そして編集部特別賞を発表する予定だ。
最終審査の審査員を務めるのは以下の4名。革新性・成長性・持続性・市場規模とシェアの4項目で採点を行い、最も優れた企業を決定する。
- グロービス・キャピタル・パートナーズ ジェネラルパートナー 高宮慎一氏
- シニフィアン共同代表 朝倉祐介氏
- マクアケ共同創業者・取締役 坊垣佳奈氏
- 早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏
来週火曜日の表彰式イベントを控え、今週は一次審査を通過した20社を5回にわけて紹介している。本日、紹介するのはカラダノート、Hakali、Beatrust、ヒューマンライフコードの4社だ(掲載は五十音順)。
“家族”を軸にアプリやマーケティング事業を展開する「カラダノート」

「家族の健康を支え笑顔をふやす」をビジョンに掲げる2008年創業のカラダノートは、“家族のつながり”を起点としたヘルスケア事業を展開する。アプリなどによる家族サポート事業、データベース活用によるマーケティング事業などを営む同社は、2020年10月東証マザーズに上場している(新市場区分の開始により2022年4月4日からはグロース市場)。
家族サポート事業では、妊娠中・育児中に役立つ情報を提供する「ママびより」「ステップ離乳食」といったサイトやアプリの運営、血圧や服薬管理などが行える健康管理・ヘルスケア関連サービス、無料でフィナンシャルアドバイザーに家計を相談できる「かぞくの保険」などを提供。
データベースマーケティング事業では、保有する80万世帯以上のデータを通じて、ユーザーのライフイベントに合わせた適切なタイミングでサービスをアプローチできる「かぞくアシスタント」、子育て世代のキャリアサポートを行う「かぞくとキャリア」などのサービスを提供する。

また、かぞくアシスタントの機能をOEMで提供する「かぞくアシスタントOEM」や、柔軟に働きたい子育て世代の在宅ワーカーを活用する組織コンサルティング「かぞくとキャリアfor Biz」といった事業会社向けのサービスも展開する。
カラダノート代表取締役の佐藤竜也氏は「少子高齢化の解決は日本の未来における最重要課題です。子育てしやすい社会作りと共に、心身ともに健康な人を増やすことで日本がより豊かな社会になると信じています。今後も、『家族の健康を支え 笑顔をふやす』を実現すべく邁進してまいります」と述べている。
認知行動療法がベースのメンタルケアアプリを提供する「Hakali」

健康経営への関心が高まる中で、身体だけでなく心の健康、メンタルウェルネスは社会的にも重視されるようになっている。Hakali(ハカリ)が提供するのは、「感情を見える化して、自分をもっと理解する」をコンセプトにした、心のセルフケアアプリ「Awarefy(アウェアファイ)」だ。
2020年にリリースされたAwarefyは、認知行動療法をベースに設計されたスマートフォンアプリ。ユーザーがアプリを通じて毎日のコンディションを振り返り、モニタリングするための機能を備え、自分の思考や感情と上手に付き合えるようにサポートする。
具体的には、日々の感情を記録して見える化する「感情メモ」や、ありたい姿に近づくための習慣化を支援する「マイクレド&ToBeリスト」、音声ガイドで自分に合ったマインドフルネスに取り組める「マインドフル瞑想」といった機能を備える。

Hakali代表取締役 CEOの小川晋一郎氏は「心の問題は、誰もが当事者となりうる、有史以来ずっと存在し続ける人類共通の問題であり、どんなにテクノロジーが進化しても、人がいる限り無くならないテーマだと考えています。Awarefyでは、デジタル認知行動療法アプリとして、人がより良く生きるための考え方や行動習慣を身につけるための、この時代にフィットした方法論を磨いていきたいと考えています」とコメントしている。
2021年7月、HakaliはVCのANRIからシードラウンドで約1億円の資金調達を実施している。
多様なチームメンバーをつないで協業・共創を促す「Beatrust」

労働人口減少への対応やイノベーション創出などが求められる企業にとって、多様な従業員を確保し、活用することは、今や経営戦略上の重要事項だ。2020年3月、Google出身の原邦雄氏、久米雅人氏によって設立されたBeatrust(ビートラスト)は、個人の経験やスキルを可視化して、多様化するチームの協業・共創を活性化する検索プラットフォーム「Beatrust」を展開している。
Beatrustでは各メンバーの業務内容、スキル、経験、経歴といった情報や、連絡先をプロフィールページに一元化。それぞれの特技やスキル、趣味、背景などの情報を、互いにタグで追加して評価し合う機能も持つ。これらのプロフィール情報と、ニーズに合致するメンバーを探すための高速な検索機能との組み合わせにより、枠組みを超えてチームメンバーを見つけて協業・共創できるよう、サポートする。

Beatrust代表取締役CEOの原邦雄氏は、次のようにコメントしている。
「企業の社員の皆さまがより自律的に、ワクワクを感じながら働いていただくためのデファクト・スタンダードなツールになっていきたいと思っています。さらにその先には企業同士、そして個人同士が企業の枠、国境をも超えて自由につながりあえるような協業プラットフォームを作っていきたいです。よろしくお願いいたします!」
Beatrustは2020年8月、シードラウンドで総額約3億円の資金調達を発表している。
へその緒の細胞から難治疾患治療に挑む「ヒューマンライフコード」

2017年4月設立のヒューマンライフコードは、確立した治療法がいまだ見つかっていない難治疾患に焦点を当て、臍帯(さいたい、へその緒のこと)由来の細胞を活用した細胞医薬品を開発する医療スタートアップだ。
直近では3月に、造血幹細胞移植後の合併症に対し、臍帯由来の「間葉系細胞」を用いた治療薬の治験届を提出・受理され、第2相の臨床試験実施を進めるところだ。
治験の対象となる造血幹細胞移植後の非感染性肺合併症は、現在も有効な治療の手段がないため致死率が高い。また患者数が世界でも3500名ほどの希少・難治性疾患である。治験では、標準治療のステロイド治療では回復がみられない「特発性肺炎症候群」に対して、同社が開発する細胞医薬品を点滴で投与。過活動な免疫や過剰な炎症を抑制すると同時に、炎症や損傷を起こした肺組織の修復を促すことを目指す。

ヒューマンライフコード創業者 兼 代表取締役社長の原田雅充氏からは、以下のコメントが寄せられている。
「へその緒からの細胞で歳を重ねるごとに楽しみな社会を実現する! へその緒に豊富に含まれる間葉系細胞は、健康維持に必要な炎症と免疫を調節するキープレーヤーです。これまでの医薬品では救えなかった難治疾患から老齢疾患に至るまで、新たな治療の選択肢が必要な患者さんのために、このへその緒の間葉系細胞を1日でも早く、そして世界に先駆けて製品化し、ヒューマンライフコードだからこそできる社会貢献を形にします」
ヒューマンライフコードは4月5日、シリーズBラウンドで数社の事業会社などを引受先とする第三者割当増資により、総額8.54億円の資金調達を実施している。
4月26日に開催するSIGNAL AWARD 2022のオンラインイベントでは、表彰式に加えて、メルカリ創業者・代表の山田進太郎氏らが登壇するセッションなども実施する。イベントへの参加は無料で、Peatixにて参加登録を受け付けている。