Photo: Malte Mueller / gettyimages
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  • ポイント1 ヘルメット着用などのルールを守ろう
  • ポイント2 電動キックボードはタイヤが小さいので要注意
  • ポイント3 歩道走行はNG

道路交通法の改正案が成立し、運転免許やヘルメットが不要となる電動キックボード。新ルールの適用は最大で2年ほど先となるが、現在のルールで安全利用するためにはどのような注意が必要なのだろうか。大型連休をきっかけに、初めてシェアリングサービスを利用する人も多いだろう。特に注意すべき3つのポイントを軸に解説するので、本記事を参考に、安全なライドを楽しんでいただきたい。

ポイント1 ヘルメット着用などのルールを守ろう

新たな道交法では、電動キックボードを「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」という新設の車両区分に分類する。最高速度は時速20キロメートルで、運転免許は不要。年齢制限は16歳以上で、ヘルメット着用は努力義務となっている。

だが、電動キックボードは現在「原動機付自転車(原付)」に分類されているため、運転免許の携帯、そしてヘルメットの着用は必須となっている。ネットや家電量販店で購入した電動キックボードで公道を走るのであれば、ウィンカーなど、必要な保安部品を取り付けられているかも要確認だ。

少しややこしいのだが、東京都内で展開するシェアリングサービス「LUUP」や福岡の「mobby」などは政府との実証実験として展開しているため、機体は原付ではなく、フォークリフトやターレットトラック同様の「小型特殊自動車」に分類される。そのため、ヘルメットの着用は任意となっている。

自分が所有する電動キックボードに乗る場合はヘルメットが必要、LUUPなど政府との実証実験として展開するシェアリングサービスはヘルメットが不要といった具合にルールが異なるので、要注意だ。

ポイント2 電動キックボードはタイヤが小さいので要注意

自転車のタイヤは直径16インチ以上のものが多く、国内で多く流通するいわゆる“ママチャリ”のタイヤは直径24〜27インチ程度だ。一方で、電動キックボードのタイヤは8インチ程度と小さい。自転車などと比較すると段差や障害物に弱いことを理解しよう。

前述のLUUPでは2021年4月にサービスを開始した際に、タイヤのサイズを従来の8インチから10インチにまで拡大した新機体を導入した。シンガポール発のシェアリングサービスで、2022年中の日本参入を目指す「Beam」でも、今年の後半には12インチのタイヤを実装する新機体を市場に投入する予定だ。

とは言うものの、電動キックボードのタイヤは他の車両と比べて小さいケースがほとんどだ。そのため、繰り返しにはなるが、段差や障害物にはくれぐれも注意していただきたい。

ポイント3 歩道走行はNG

新たな道交法では、電動キックボードの走行エリアを基本的には車道と自転車レーンとしている。最高時速が6キロメートル以下の場合は歩道走行も可能となる。

だが現状、電動キックボードは歩道走行がNGとなっている。警察庁によると、2021年9月から22年2月の期間、電動キックボードによる道交法違反容疑での摘発件数は全国で168件。そのうち86件は、歩道を走行するといった「通行区分」違反だった。東京在住であれば電動キックボードの歩道走行を見かけるかもしれないが、歩道走行はNGだ。交通ルールは必ず守っていただきたい。

日本では、歩道を走行する自転車ユーザーも多い。一般社団法人の自転車産業振興協会がまとめた「自転車の交通ルールに関する意識調査」によると、調査に協力した約45%の自転車ユーザーが主に歩道を走行しているそうだ。だが実は、自転車でさえ歩道と車道の区別がある場合は原則、車道を走行することがルールとなっている。

電動キックボードに乗る際、自転車感覚で歩道を走行するのは絶対にNGだ。自転車でさえ、歩道走行はNGであることも、併せてご理解いただきたい。

ルールさえ守れば、電動キックボードは短距離移動に適した便利な乗り物だ。大型連休を機に、利用してみてはいかがだろうか。