
- 上場延期、申請取り下げを経て、50億円の資金調達
- 2002年スタートの絵本ナビ、運営元が11億円の資金調達
- その他のスタートアップニュース
最大10連休だったGW(ゴールデンウィーク)も終了。大型連休が明けたということもあり、今週(5/7〜5/13)はニュースの発表が相次いだ。
いま、押さえておくべき「スタートアップ業界のニュース」をDIAMOND SIGNAL編集部が独自の視点からピックアップしてお伝えする連載「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」。今週はチャットコマースを手がけるZEALSの50億円の資金調達、絵本の情報・通販サイトを手がける絵本ナビの11億円の資金調達を取り上げる。
上場延期、申請取り下げを経て、50億円の資金調達
東証マザーズ(現:グロース)市場に上場承認された──チャットコマース「ジールス」を手がけるZEALSが、そう発表したのは2021年11月17日のこと。
だが、約1カ月後の2021年12⽉15⽇開催には、株式市場の動向など諸般の事情から株式発⾏を中⽌し上場⼿続きを延期することを発表。2022年3月には、ウクライナ情勢や株式市場の動向など、さまざまな環境変化から上場申請の取り下げを発表した。
想定外の事態に見舞われたZEALSだったが、さらなる事業の拡大に向け、次の一手に動いたようだ。同社は5月12日、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、Z Venture Capital、日本郵政キャピタル、Salesforce Venturesを引受先とした第三者割当増資による35億円の調達、みずほ銀行、三菱UFJ銀行から15億円の当座貸越枠を確保し、総額50億円の資金調達を実施したことを発表した。
今回調達した資金は、プロダクト開発・販売体制の強化に加え、チャットコマースの海外展開やNLG(自然言語生成)分野に投資していくという。
英国の調査会社・Juniper Researchによれば、世界のチャットコマース市場は2025年までに2900億米ドル(約35兆円)規模にまで成長し、アジア地域がその90%を占めると予想されている。今後、ZEALSは国内チャットコマース市場における売上を伸ばしていくことに取り組んでいくとのことだ。
2002年スタートの絵本ナビ、運営元が11億円の資金調達
子育て層ユーザーを中心に年間約2000万人が利用する、絵本の情報・通販サイト「絵本ナビ」。2002年4月のオープンから、約20年。100社を超える絵本出版社の協力のもと、2200作品以上が全ページ試し読みできるほか、1万作品以上が一部試し読みできることから、子育て中の母親を中心に人気を博してきたという。
運営元である絵本ナビは5月10日、既存株主であるSIG Asia Investmentのほか、新規株主となる日本テレビ放送網、KADOKAWA、講談社、ポプラ社、Spotlightを引受先として、約11億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。
今回の調達により、プラットフォームのサービス機能開発に投資するとともに、大手出版社各社との提携によってコンテンツの大幅拡充を図るほか、日本テレビとの提携によって映像化や絵本制作を含めたさまざまな取り組みを行っていくという。
今後、絵本ナビは月額580円(税込)で絵本・児童書・学習まんがなどが読める月額サブスクサービス「絵本ナビプレミアム」、英語の絵本を楽しみながら音声AIで発音練習できる英語学習アプリ「絵本ナビえいご」を中心に事業規模を拡大していくとのこと。また、デジタルでの絵本制作(絵本ナビオリジナルレーベル)を予定しており、既存作品も含めて、海外展開の取り組みを進めていくそうだ。
その他のスタートアップニュース
セルファイバ、総額約4億円の資金調達を実施
細胞ファイバ技術を利用した細胞量産技術の開発に取り組むセルファイバは5月12日、リアルテックファンド、大和企業投資を引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額約4億円の資金調達を実施したことを発表した。
プレカル、億円の資金調達を実施
オンライン事務員による薬局向けの処方箋入力代行サービスを行うプレカルは、Angel Bridgeを引受先とした第三者割当増資により1億円の資金調達を実施したことを発表した。
Helical Fusion、6500万円の資金調達を実施
らせん構造の超伝導コイルを用いて高温のプラズマを安定に閉じ込めるヘリカル型核融合炉の開発を目指すHelical Fusionは、日本マイクロソフト元社長の成毛眞氏、レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長の藤野英人氏、医学博士・メディアデザイン学博士の浅田一憲氏、Sony Innovation Fund、Plug and Play Japan、BIOTOPを引受先とした第三者割当増資により、プレシードラウンドで6500万円の資金調達を実施したことを発表した。
イノバセル、総額7億円の資金調達を実施
便失禁・尿失禁の治療を目的とした細胞治療により、人々の健康とQOL向上を目指すイノバセルは、Fiducia、きぼうファンドなどを引受先とした第三者割当増資により、総額7億円の資金調達を実施したことを発表した。
BALLAS、約1億円の資金調達を実施
建設業に特化した部材調達サービス「BALLAS」を手がけるBALLASは5月10日、ANOBAKA、mint、SBIインベストメントなどを引受先とした第三者割当増資により、約1億円の資金調達を実施したことを発表した。
UPSIDER、総額約150億円の資金調達の実施へ
法人カード「UPSIDER」を提供するUPSIDERは5月10日、シリーズCラウンドで4月末までに約49億円を調達したことを発表した。5月末前後を予定しているファイナルクローズの段階では、DST Global Partners、Arena Holdings、Tybourne Capital Management、三菱UFJキャピタル、セゾン・ベンチャーズ、WiL、ANRI、グローバル・ブレインを引受先として合計約54億円の第三者割当増資を実施。併せて、大手金融機関から約100億円の追加融資枠を確保する見通しだという。全体では総額約150億円の資金調達となり、創業からの累計調達額も約200億円になるとのこと。
Azit、総額3.5億円の資金調達を実施
ラストワンマイル配送プラットフォーム「CREW Express(クルーエクスプレス)」を手がけるAzitは5月11日、プロダクト開発と組織体制の強化を目的にLogistics Innovation Fund、coconala Skill Partners、90sを引受先とした第三者割当増資により、3.5億円の資金調達を実施したことを発表した。
DIMENSION、2号ファンドを組成
DIMENSIONは5月11日、国内スタートアップを出資対象とした2号ファンドを組成したことを発表した。同ファンドは産業革新投資機構(JIC)のほか複数の事業会社や11名の上場企業創業者、個人投資家らが出資しており、最終的には総額100億円規模を予定しているという。