
- 不動産の契約手続きがオンラインで完結可能に
- 2022年4月から保険適用範囲が拡大した不妊治療
- その他のスタートアップニュース
先日、道路交通法の改正案が可決。電動キックボードをはじめとする電動小型モビリティが、運転免許やヘルメットが不要となる「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」と位置づけられたことは記憶に新しい。こうした法改正を機に、スタートアップなどの新興プレーヤーが台頭する、といった流れが生まれつつある。
いま、押さえておくべき「スタートアップ業界のニュース」をDIAMOND SIGNAL編集部が独自の視点からピックアップしてお伝えする連載「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」。今週は宅地建物取引業の改正を取り上げる。
不動産の契約手続きがオンラインで完結可能に
コロナ禍で在宅ワークの機会が急激に増加。そうした背景から、住宅の購入に踏み切った、もしくは住宅の購入を検討している、という人は増えたのではないだろうか。
これまでの不動産取引では、重要事項説明書、契約書の書面交付、宅地建物取引士の記名・押印が義務付けられていたため、不動産の賃貸借、売買契約を締結するには、郵送や対面での契約書のやりとりが必要とされてきた。日常生活における、さまざまなやり取りがデジタル化される中、不動産の契約に関してはデジタル化が進まずにいた。
そんな状況を変えるきっかけとなったのが、2022年5月18日に施行された「改正宅地建物取引業法」だ。この改正法によって書類の電子交付が可能になり、不動産の契約手続きのオンライン完結が実現。不動産情報の検索・面談・契約など、不動産を賃貸・売買するために必要な手続きがすべてオンライン上で行えるようになった。
国内でオンライン不動産のサービスを展開する新興プレーヤーには、RENOSY(リノシー)を運営するGA technologies、「OHEYAGO(オヘヤゴー)」を運営するイタンジ、「Terass Agent」を展開するTERASSなどが挙げられる。
2022年4月から保険適用範囲が拡大した不妊治療
また、2022年4月から不妊治療の保険適用範囲も拡大した。これまで、人工授精や体外受精などの治療は患者が全額費用を負担する自由診療のもとに行われてきたが、4月からはそれらの一部が保険適用の対象となる。その結果、高額だった治療費による負担が軽減されることになり、これまで費用の面から治療の開始やステップアップに踏み切れなかった人の後押しになることが期待されている。
そうした変化を踏まえ、不妊治療専門クリニックも新たに立ち上がった。2022年5月17日に東京・恵比寿に開業した 「torch clinic(トーチクリニック)」だ。同クリニックはTRILLの代表取締役を務めた中井友紀子氏が立ち上げた会社・ARCHが運営する。
トーチクリニックは予約・問診・診察・処方・決済まで専用アプリ内で行うことで、在院時間を削減し通院の負担を軽減。仕事と両立しやすい不妊治療を提供する。また、オンライン診療を活用することで、通院が難しいパートナーと一緒にカウンセリングや説明を受けられるほか、検査結果や治療の経過を専用アプリで確認・共有できるという。
torch clinic以外には、不妊症看護認定看護師を中心に妊活の専門家がLINEを使って相談や、アドバイス、情報を提供する妊活コンシェルジュサービス「famione(ファミワン)」を手がけるファミワンといったプレーヤーなどもいる。保険適用範囲の拡大を機に、不妊治療の市場も今後盛り上がりを見せていきそうだ。
その他のスタートアップニュース
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