
- 6000名以上の法人営業メンバーを活用し、企業・組織におけるビデオコミュニケーションを拡大
- コロナ禍において誕生し、コロナ禍の中で成長
- 対面によるコミュニケーション機会を頂点に、同期・非同期のビデオ会議を使いこなす
mmhmm(ンーフー)は、米Evernoteの創業者フィル・リービン氏が設立した、All Turtlesのグループ会社mmhmmが手がけるビデオコミュニケーションサービスだ。Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどのビデオ会議サービスと接続し、プレゼンテーションも可能なカメラアプリとして利用できるほか、動画の作成・視聴や配布などを行える。動画視聴では、再生速度を調整して短時間で見終えることもできる。

6000名以上の法人営業メンバーを活用し、企業・組織におけるビデオコミュニケーションを拡大
そのmmhmmが6月9日、同社法人向けサービス「mmhmm for Teams」の販売代理店契約をドコモ・システムズと締結したと発表した。
ドコモ・システムズは、mmhmmの世界初の販売代理店となり、日本市場におけるパートナーとして、6000名以上の法人営業メンバーを活用し企業・組織におけるビデオコミュニケーションの拡大を進める。同社による営業活動自体は数カ月前から着手しており、ドコモグループにおける展開以外にも、mmhmm for Teamsではすでに6社との契約が実現している、と明らかにした。

mmhmm for Teamsは、業務報告や提案ビデオをクラウドにアップロードし、チームのノウハウを共有する場所として構築可能。ビデオにタグを付ける形でフィードを作成すると、検索・閲覧などができるという。また、社内で行われているビデオ通話を一覧でき、その動画を基に会話に参加できるとしている。
ドコモ・システムズは、企業向けクラウドソリューションの開発・販売や、NTTドコモグループ情報システムの開発・保守・運用、NTTドコモのサービス開発支援、法人ビジネス支援などを担うドコモグループの機能分担子会社にあたる。
ドコモ・システムズ 取締役 クラウド事業部長の松木彰氏は、昨今の働き方改革において、セキュリティ、コミュニケーション、テレワーク(リモートワーク)の3点を重視しており、mmhmmはコミュニケーション、テレワークに関わる課題を解決するものという。「mmhmm for Teamsは、仕事はオフィスでするものという概念を覆し、業務プロセスを根本的に変えるインパクトを備えたツール」(松木氏)と評した。

他企業ともパートナーシップの立ち上げを推進
またmmhmmは、日本でパートナーシッププログラムを計画しており、今回のドコモ・システムズを皮切りに、他企業ともパートナーシップの立ち上げを進めているという。今後も、特定分野や特定地域に強いといった独自の強みを持つ企業と連携し、広く全国をカバーするプログラムを構築する。
このほか、mmhmmのエバンジェリストにあたる「mmhmmヒーロー」の第1期5名が発表された。mmhmmは、さらなるヒーローの養成・発掘も推進していくとのことだ。
コロナ禍において誕生し、コロナ禍の中で成長
フィル・リービン氏は、世界が抱える重要課題の解決をミッションとする分散型プロダクトスタジオとしてAll Turtlesを2017年に設立。また同社のグループ会社として、mmhmmを2020年5月に創設した。OOO(Out of Office。オフィス外)ワーク・ライフスタイルを実現するための製品とサービスを構築する、完全に「分散型」の企業と位置付けている。
mmhmmは、2020年7月のシードラウンドで460万ドル(約6億万円)、2020年10月のシリーズAラウンドで3100万ドル(約41億円)の資金調達を実施。さらに2021年7月、1億ドル(約134億円)のシリーズBラウンドでの資金調達を実施している。これらの調達では、セコイア・キャピタル(Sequoia Capital)やソフトバンク・ビジョン・ファンド(SoftBank Vision Fund)などの投資家の出資を受けた。

サービスとしてのmmhmmは、日本語を含む13カ国語にローカライズを行い世界各地のユーザーを抱える。従来のMac版やWindows版に加えて、Webブラウザ版「mmhmm for web」を2022年5月に公開し、7月には現在試験的に展開しているiOS版「mmhmm OOO」について大きな動きがあるという。
対面によるコミュニケーション機会を頂点に、同期・非同期のビデオ会議を使いこなす
リービン氏によると、同社のミッションは、生活の質と仕事の質を向上させ、仕事の成功や高い報酬につながる「OOOループ」による好循環を多くの人が実践できる環境を提供することにあるという。その実現方法としては、個人やチームのコミュニケーションを強化するツールを用いた、どこからでも働ける分散型組織の構築を挙げている。そしてそのツールこそが、mmhmmというわけだ。

同社は、コミュニケーション機会の重要度を分類した「コミュニケーション・ヒエラルキー」を掲げており、同じ場所・同じ時間を共有する対面でのコミュニケーションを最上位レイヤーとし、その下位に時間を共有するライブビデオや同期型のオンライン会議、さらに最下位に非同期型のビデオ会議を位置付けている。
対面でのコミュニケーションは現在特に貴重で、多くの時間を割くことができず、スケールできない。リービン氏は、そのような機会につまらない会議を行うことは悲劇だと指摘。信頼の構築や人脈を広げたりなど、実際に会わないとできないことを行うべきとしている。

対面に比べて重要度は落ちるものの、次のレイヤーにあたるライブビデオや同期型のオンライン会議も貴重という。参加者全員が同時刻に集まるなどスケジュールの調整を行い時間の共有を行うため、参加者それぞれが発言し会話・議論・質疑応答などのインタラクティブ性を必須としている。
報告会、情報の共有が目的など、一方的に誰かが話し、他の参加者は聞いているだけなら、最下位レイヤーの非同期型のビデオ会議が最適という。
事前に録画、あるいは実施済み会議の録画を配布するといった体裁で共有するだけでいいと指摘。視聴者側は、録画を早送りで見れば効率的だ。リービン氏は、ほとんどの会議が最下位レイヤーに該当すると気が付き、社内でもコミュニケーション・ヒエラルキーに準じた使い分けを実践しているそうだ。
同氏は、ツール・サービスとしてのmmhmmは、同期・非同期のビデオ会議のどちらも難なく行えるとしていた。