ケップルが立ち上げたセカンダリー特化ファンドの運営メンバー
ケップルが立ち上げたセカンダリー特化ファンドの運営メンバー

スタートアップの株式を既存の株主から買い取ることに特化した、“セカンダリー取引特化型ファンド”が日本国内で始動する。

ベンチャーキャピタルや事業会社向けの未上場株式管理ツール「FUNDBOARD」、スタートアップメディア「KEPPLE」などを展開するケップルが6月1日に専用のファンドを立ち上げた。

グローバルでは未上場株式を現金化する上で、IPOやM&Aに次ぐ選択肢としてセカンダリーマーケットが発達している。投資家の視点ではIPOやM&A以外にも投資回収の手段が存在するという点で意義があり、スタートアップにとってもIPOまでの期間を伸ばし、未上場の状態でより大きな成長を目指す上で有効な手段になりうる。

特に国内においては事業会社がCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を立ち上げ、スタートアップへ投資をする動きが目立つ。CVCでは戦略的なリターンを重視して投資を実行するケースも多いが、事業戦略の見直しなどにより、当初想定していたシナジーを生み出せない場合もある。ケップルとしてはセカンダリーファンドを通じて事業会社で発生した売却ニーズの受け皿となることで、投資の流動化を促進していく狙いだ。

また長期間にわたって未上場の状態で事業を拡大するスタートアップが増えれば、投資先が上場する前に満期を迎えるファンドが増えることも考えられる。実際にグローバルでは、そのタイミングで株式を売却して現金化するための仕組みとしてセカンダリーマーケットが機能しており、ケップルとしては日本でも同様の仕組みを作っていきたいという。

同社のファンドでは主にミドル〜レイターステージのスタートアップの発行済株式を投資対象とし、最大で50億円規模を目指す計画だ。

米国では未上場株を対象としたセカンダリー取引を支える仕組みとして、特化型のファンドだけでなく、ナスダックやEquityZen、Cartaなど複数のプレーヤーが「未上場株を取引できるマーケットプレイス」を展開している。

日本はまだ事例は少ないものの、日本クラウドキャピタルは2021年12月に未上場企業の株式取引ができる「FUNDINNO MARKET」の提供を始めた。今回ケップルが立ち上げた特化型ファンドやFUNDINNO MARKETのようなアプローチも含め、国内でもセカンダリーマーケットが発展していく余地はありそうだ。