Photo: Austin Distel / Unsplash
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  • 50%の起業家が「相手がどこに住んでいても構わない」と回答
  • 起業家の興味領域、トップは「B2B・エンタープライズ」
  • 最もニーズの高い職種は「エンジニア」

共通のビジョンのもと苦楽を共にし、互いの強みを活かして欠点を補い合う「共同創業者」は、起業家にとって重要な存在だ。もちろん1人で起業し成功している起業家もいるが、多くの著名起業家やベンチャーキャピタル(VC)は、共同創業者の重要性を説いている。例えば、米名門アクセラレーター・Y Combinator(YC)創業者のポール・グレアム氏は、2006年のブログ投稿「The 18 Mistakes that Kill Startups(スタートアップを殺す18の過ち)」において、起業における最大の過ちは「1人起業」だと綴っていた。

では、世の起業家は共同創業者にどのような条件を求めているのだろうか。今回は、共同創業者のマッチングプラットフォームも展開するYCが、2021年10月に投稿したブログ記事「What do people want in a co-founder(起業家は共同創業者に何を求めているのか)」を紹介する。2021年7月のリリースから3カ月で約3万3000組のマッチングを実現したプラットフォームのデータをもとに、起業家がどのような興味やスキルを持つ共同創業者を求めているのか、解説していく。

50%の起業家が「相手がどこに住んでいても構わない」と回答

Y Combinatorのマッチングプラットフォームでは、起業家は以下のような項目において、相手となる共同創業者に求める条件を入力しています。

・技術者であることは重要か
・職種(プロダクト開発、デザイナー、エンジニア、営業・マーケティング、事業運営)
・勤務時間(週40時間以上、週20〜40時間、週20時間以下)
・勤務地
・興味領域は共通しているか

加えて、起業家は各項目がどれほど重要か(必須か、融通がきくか)も回答しています。これらの回答からは、79%の起業家が、共同創業者に週20時間以上の労働時間を求めていること。そして74%の起業家が、共通の興味領域を持つ相手を求めていることが分かりました。そして、リモートワークが普及したため、50%の起業家が「相手がどこに住んでいても構わない」と述べています。

起業家の興味領域、トップは「B2B・エンタープライズ」

前述のとおり、多くの起業家が、共通の興味領域を持つ共同創業者を求めていることが分かりました。では、どのような事業領域が人気なのでしょうか。YCのプラットフォームにおいて、特に人気の高かった上位6つの事業領域は以下のとおりです(編集部注:以下、括弧内の数字は起業家が自らの興味領域だと回答した割合)。

1. B2B・エンタープライズ(36%)
2. B2C (34%)
3. AI (34%)
4. マーケットプレイス(32%)
5. フィンテック(29%)
6. EC(29%)

最もニーズの高い職種は「エンジニア」

我々のプラットフォームでは、起業家はプロダクト開発、デザイン、エンジニア、営業・マーケティング、事業運営という5つの職種から、自身の担当職種を選びます。最も回答の多かった職種は、プロダクト開発でした。

1. プロダクト開発(65%)
2. 事業運営(57%)
3. 営業・マーケティング(52%)
4. デザイナー(37%)
5. エンジニア(31%)

一方で、起業家が共同創業者に求める職種としては、エンジニアのニーズが最も高く、最下位は事業運営責任者でした。

1. エンジニア(62%)
2. プロダクト開発(42%)
3. デザイナー(39%)
4. 営業・マーケティング(37%)
5. 事業運営(28%)

なお、エンジニア・非エンジニアを問わず、多くの起業家がエンジニアの共同創業者を求めていることも分かりました。非エンジニア起業家の80%はエンジニア職の共同創業者を探しています。また、自身がエンジニアである起業家の44%も、共同創業者もエンジニアであることを望んでいます。

とは言うものの、非エンジニアの共同創業者を探す、エンジニア職の起業家も多くいます。エンジニア起業家のうち74%は営業・マーケティングに強い相手を、53%は事業運営を担う相手を求めています。