
- 電子レンジで温めるだけ、トップシェフ監修のフローズンミール
- 「nonpi foodbox」は約5000社が活用、累計で35万食以上を提供
オンライン飲み会用のフードボックス「nonpi foodbox」などを展開するフードテック企業のノンピが、トップシェフとタッグを組みフローズンミール(冷凍食)の定期配送サービスを始める。
特徴は「ミシュランシェフを始めとした、トップシェフが監修した料理を自宅でいつでも食べられる」こと。電子レンジで数分温めるだけで調理が完了する手軽さもウリで「忙しい中でも美味しい食事を楽しみたい」というニーズに応える。今後は共働き世帯での夕食の一品やリモートワーク中のランチなどの用途を中心に、利用者を広げていく計画だ。
電子レンジで温めるだけ、トップシェフ監修のフローズンミール
新型コロナウイルスの拡大の影響もあり、ライフスタイルの多様化が進む中で中食市場が拡大している。中でもフローズンミールは今後さらなる市場の拡大が見込まれている領域だ。調理が簡単な上、長期保存ができるためフードロス削減の観点からも注目を集める。
ノンピが6月30日より販売を開始した「nonpi A.R.U.」は人気シェフのメニューを冷凍で再現することを目指したサービスだ。
3食セット・月額3834円、6食セット・月額7398円、9食セット・月額1万746円(いずれも税込み/送料別)の3つのプランがあり、1食あたりの料金は1200円程度。配送頻度やメニューは好みに合わせて変更できる。健康面にも配慮し、各メニューは1食あたり500kcal以下で保存料や合成着色料も使用していないという。

ローンチの段階では現役ミシュランシェフの田村亮介氏や三ツ星フレンチ出身の米澤文雄氏などが参画しており、合計で11種類のメニューを提供する。今後は予約困難と言われる東京都内のベトナム料理店のシェフや人気イタリアンレストランのオーナーシェフなどともコラボし、メニューを拡充していく計画だ。
ノンピ取締役副社長の上形秀一郎氏によると、正式ローンチに先がけて実施したユーザーテストでは、特に共働き世帯の母親や1人暮らしの社会人などの反応が良かったという。
「冷凍のものを出すことに対して、日本ではまだ『なんとなくの気まずさ』が残っている部分があるので、そのような考え方を変えられるようなサービスにしたいと考えています。忙しいお母さんが『何か食べるものある?』と聞かれたときに、『nonpiがあるよ』と胸を張って答えられるような料理を届けていきたい。そのような背景からnonpi A.R.U.というサービス名にしました。時短の文脈だけでなく、美味しい食事によってコミュニケーションや食事の時間の質を上げていくという考えはこれまでのサービスにも共通するものです」(上形氏)
都市部ではUber Eatsを筆頭にフードデリバリーなどの選択肢も充実してきているが、nonpi A.R.U.は電子レンジで数分間温めるだけで食べられるため、“リモートワークの合間のランチ”としても使いやすい。
また「ミシュランシェフの料理は基本的にフードデリバリーでは注文できないことが多かったため、その料理を全国や世界中に届けられるのがフローズンミールのメリット 」(上形氏)だという。
「これまでトップシェフは冷凍に対して懐疑的な人が多かったのですが、今回参画してくれたシェフはこの取り組みに可能性を感じてくれている人ばかりです。コロナがきっかけでお店が閉まったことで時間ができ、試しに冷凍にも挑戦してみたことで『これはいける』と思ってくれました。加えて日本はフードロス大国ということもあり、サステナブルな観点から冷凍に興味を持ってもらえる方も多いです」(上形氏)
「nonpi foodbox」は約5000社が活用、累計で35万食以上を提供
ノンピはもともとカフェテリアや社食の運営・プロデュースなどのフードソリューション事業と法人向けのケータリングECを主軸に展開していたが、コロナ禍でケータリングECの需要が消滅。そこで新たな事業の柱を確立するべく、2020年8月に宅配フードボックスのnonpi foodboxを立ち上げた。
同サービスはオンライン飲み会を中心に利用が広がり、これまでに約5000社が活用。累計で35万食以上を届けてきた。

nonpi foodboxではさまざまなシェフと共同でメニューを開発し、それをOEM先で製造した上でユーザーのもとに冷蔵で配送している。サービスを拡大する中で一連の開発ノウハウが蓄積され「このプロセス自体が自分たちの強みになった」(上形氏)。
今回のnonpi A.R.U.では冷蔵ではなく冷凍の状態で配送するという違いはあるものの、基本的な製造フローはfoodboxと同様で、そこで培ってきたノウハウも活用できる。
上述したとおりフローズンミールは今後の成長が見込まれる分野であり、日本でもナッシュやMuscle Deliなど関連するサービスを手掛けるスタートアップが増え始めている。
ノンピとしてはこれまで中心にしてきた法人向けのサービスだけでなく、nonpi A.R.U.を通じて個人向けのフードECにも本格的に挑戦する方針。同社では3月に3.4億円を調達しており、その資金も活用しながら事業の拡大を目指す。
日本食はコンテンツとしても魅力がある一方で「まだまだ十分には輸出できていない」(上形氏)側面もあるため、東南アジアなど海外でのサービス展開にも取り組んでいきたいという。