
デジタル化が進んだ時代に育ち、テレビよりも「YouTube」や「TikTok」といったSNSに時間を費やし、環境問題への関心も高いと言われるZ世代(一般的には1990年代半ばから2010年代生まれの世代)。“スマホネイティブ”とも呼ばれる若者たちは仕事においても、従来のあり方にとらわれない、フレキシブルな働き方を好むようだ。
では、Z世代は実際にどのような働き方をしているのか。Microsoftが6月に発表した最新調査「Small Business State of Mind(中小企業の現状)」をもとに、読み解いていこう。この調査は、4月に実施したもの。従業員数24名までの中小企業を運営する、1000名の米国の起業家を対象にしている。
“9時5時勤務”は時代遅れ
Z世代の起業家にとって、午前9時から午後5時までのオフィス勤務という従来の働き方は、もはや時代遅れのようだ。Microsoftの調査では、Z世代の回答者のうち実に91%が、いわゆる“9時5時”の勤務ではなく、よりフレキシブルな勤務形態をとっていると説明している。
ワーケーションの実施については、全体だと62%、Z世代に絞ると81%が「実施している」と回答。Z世代の64%が業務の半分以上をスマートフォンでこなしていると述べていることからも、スマホの普及やアプリの充実により、時間や場所に縛られない働き方が可能になったのだと言えるだろう。
副業に関しても、全体では34%だが、Z世代では半数に近い48%が「複数の副業に携わっている」と回答している。
経営の教科書は「TikTok」
Z世代の起業家はパーパス(企業の存在意義)を重視しており、50%が「事業を通じた社会貢献」をビジネス上の優先事項として掲げている。また、Z世代の82%が「社会貢献によって事業が成長している」と信じ、52%が「社会貢献により精神状態が安定している」と答えている。
では、Z世代の起業家は、どのように経営を学んでいるのだろうか。Z世代はトレンドやグルメ情報の検索にとどまらず、ビジネスに関する情報収集でも、短尺動画SNS「TikTok」を活用しているケースが多いようだ。全体では33%、Z世代だけで見ればその倍近くの65%が「TikTokでビジネスを学んでいる」と回答している。
Tesla CEOのイーロン・マスク氏やStarbucks CEOのハワード・シュルツ氏のように、従業員にオフィス勤務を求める経営者も少なくない。一方で、日本でもNTTグループがリモートワークを基本とする制度を開始したり、スタートアップが副業人材を活用するなど、従来のかたちにとらわれない、フレキシブルな働き方も普及しつつある。
Microsoftの調査が示したとおり、Z世代の起業家にとって、時間や場所にとらわれる働き方は、もはや時代遅れだ。今後、Z世代がキャリアを積み、ビジネスの世界でも存在感を高めていくにつれ、働き方もますます多様化していくことだろう。