Photo: gremlin / gettyimages
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リモートワークの普及により、求職活動においてもリモート面接の活用が進んだ。だが、求職者と対面で会わないことを不安に思う採用担当者は少なくないだろう。米国ではそんな採用担当者を悩ませるトラブルが横行しているという。「ディープフェイク」を活用して自分の見た目を変え、他人になりすまして面接を受けるというものだ。

米連邦捜査局(FBI:Federal Bureau of Investigation)は6月、盗み出した個人情報、ならびに、AI技術を使い画像や動画に登場する人物の顔を別人のものと差し替える技術「ディープフェイク」を活用し、他人のふりをして企業のリモート面接に挑む者がいると警告した。こうした悪行は、リモートで働けるエンジニアなどのIT系職種への応募で多く、中には企業が保有する個人情報や財務情報などの機密情報にアクセスできるような職種への求職者にも見られるという。

こうした問題の発生を多くの企業が報告しているが、なぜディープフェイクと分かったのか。FBIによると、求職者が面接中にせきやくしゃみをした際に、音声と唇の動きが合わなかったため、採用担当者らが違和感を覚えたのだという。また、求職者が他人の個人情報を提出していることは、バックグラウンドチェック(身元調査)により分かった。

ディープフェイクはこれまでも、政治やポルノなどのフェイク動画などに悪用され、米国では大きな社会問題となっている。

3月には、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領になりすました動画がFacebookに投稿され、運営に削除されたことが話題となった。Facebookのセキュリティポリシー責任者であるMetaのナサニエル・グライチャー氏によると、その動画では、ゼレンスキー大統領が降伏を呼びかけるという、実際には口にしていない内容だったという。