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自動運転AIスタートアップの動きが加速している。

名古屋大学発で日本の自動運転スタートアップの代表格とも言えるティアフォー。同社がブリヂストンなど3社を引受先とした121億円の資金調達(シリーズB、第三者割当増資)の発表に加え、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」への採択を7月19日に発表した。また、将棋人工知能「Ponanza(ポナンザ)」の開発者である山本一成氏が立ち上げたスタートアップ・TURING(チューリング)は、シードラウンドで10億円という大型資金調達を7月13日に発表している。

ティアフォーはレベル4、TURINGはレベル5の自動運転機能の開発をしている。この「レベル」とは、自動化の度合いを示す指標だが、果たしてレベルごとの差異はどのようなものなのだろうか。自動運転スタートアップに注目が集まる今、自動運転のレベルについてあらためて学び直そう。

自動運転のレベル分け

この自動運転「レベル」とは、そもそも米国の自動車技術者協会(SAE:Society of Automotive Engineers)が定義をしたもので、日本では公益社団法人の自動車技術会(JSAE:Japan Society of Automotive Engineers)が日本語訳を発行しているものだ。

レベル0は自動化されてない通常の運転を指すので割愛するとして、レベル1とは、「運転支援」と呼ぶもの。車両の加速・減速、もしくは左右の制御(ハンドル操作)のいずれかをシステムが行うものだ。すでに日本でも多くの車種で導入が進んでいる自動ブレーキもレベル1の機能だ。そのほか、前の車両について走る技術であるACC(Adaptive Cruise Control)や、車線からはみ出さないLKAS(Lane Keep Assist System)といった機能を指す。いずれにしても安全運転のための監視はドライバーが担当する必要がある。

レベル2は「部分運転自動化」。つまりレベル1の加速と減速、ハンドル操作を組み合わせて自動化するもの。たとえばレベル1の機能であるACCとLKASを組み合わせて利用して「車線を維持しながら前の車両を追走する」といったことを実現したり、遅い車両の追い越しや高速道路の分岐・合流などの自動化などを実現するものだ。レベル2もレベル1同様、監視はドライバーが行う必要がある。また、運転が自動化されるのは高速道路走行など、特定の条件下に限られる。

レベル3は「条件付運転自動化」。基本的にはシステムがすべての運転タスクを行うが、システムの要求に合わせてドライバーが適切な運転タスクに介入する必要があるものを指す。レベル3から5に関しては、運転の監視主体はドライバーではなくシステムが担当することになる。つまり責任の所在がドライバーではなく、車両に移ることになる。2021年3月に本田技研工業が発売した「レジェンド」が、一般利用できる初のレベル3車両となった。

レベル4は「高度運転自動化」。特定条件下、つまり高速道路などにおいてシステムがすべての運転タスクを実施するというもの。ハンドルさえ握らずに、目的地まで自動で到着するクルマがこのレベル4になる。公道における実用レベルの車両はまだ登場していないが、東京オリンピック・パラリンピック選手村でトヨタ自動車が展開した「e-Palette(イーパレット)」などがこれに当たる。

そして最上位であるレベル5は「完全運転自動化」。文字通り、常にシステムがすべての運転タスクを行う自動運転を指す。このレベルまで達すると、すでに車両からはハンドルやアクセル、ブレーキなどはなくなり、人々が想像する「自動車」とは異なるモビリティが生まれることになるだろう。