
- レベル4水準の自動運転機能の社会実装を目指す、ティアフォー
- その他のスタートアップニュース
“名古屋大学発のスタートアップの雄”として知られている、ティアフォー。自動運転ソフトウェアの開発に取り組む同社は、大型の資金調達を実施し、総額400億円規模のプロジェクトを新たに立ち上げることを発表した。今週(7/16〜7/22)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、ティアフォーの資金調達を取り上げる。
レベル4水準の自動運転機能の社会実装を目指す、ティアフォー
先日、自動車メーカー大手の本田技研工業(ホンダ)が都内の公道でレベル4の実証実験を本格的に実施することを発表したのは記憶に新しい。自動運転のレベル4とは、特定条件下、つまり高速道路などにおいてシステムがすべての運転タスクを実施するというもの。2015年設立のティアフォーは、このレベル4の実現を目指している。
同社は「自動運転技術の民主化」を掲げており、開発したオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」は国内外で数百社の企業に導入されている。
これまで、施設内物流や限定地域交通分野の顧客となる車両製造者や運行事業者が参照可能な、自動運転システムの設計(リファレンスデザイン)を提供するなど、顧客の要求に合った自動運転システムを、顧客とともに共同開発してきたティアフォー。今後、リファレンスデザインにもとづいたプラットフォーム事業の展開を加速させるべく、7月19日に既存株主であるSOMPOホールディングス、ヤマハ発動機に加え、新たにブリヂストンを加えた3社からシリーズBラウンドで121億円を調達したことを発表した。
今後、SOMPOホールディングスとは保険、リスクアセスメント、サポートセンターを包括したアフターサービスパッケージの提供などでの協業、ヤマハ発動機とは施設内物流向けの専用小型EVの増産での協業、ブリヂストンとは車両走行性能の試験および解析での協業に取り組んでいく予定だという。
また、ティアフォーは政府が策定したグリーン成長戦略の一環として、2050年カーボンニュートラル目標に向けて総額2兆円の基金をNEDOに造成した「グリーンイノベーション基金事業(以下、GI基金)」に採択されたことも発表した。同社が採択されたのは、自動運転ソフトウェアに関する研究開発項目だ。
具体的には、市場に流通するオープンな技術コンポーネントを組み合わせることで、さまざまな環境に対してレベル4水準の自動運転機能を実現する基盤ソフトウェア構想「Microautonomy~集合的にスケーラブルな自動運転システムの創出」というもの。走れば走るほど賢くなることで運行設計領域(ODD)を安全にスケーリングできるという。
GI基金の事業規模は2022年度から2030年度までの9年間で254億円を予定しており、ティアフォーは今後GI基金も活用し、総額400億円規模の自動運転ソフトウェア技術の開発プロジェクトも立ち上げる予定とのこと。最終的には、Microautonomyの基盤ソフトウェア上で構築されるレベル4水準の自動運転機能に対し、現行技術比で100倍以上の電力効率を達成することを目標としている。
その他のスタートアップニュース
AnyMind Group、総額約50億円の資金調達を実施
顧客体験価値(CX)最大化を実現するチャットコマースプラットフォーム「AnyChat」などを展開するAnyMind Groupは7月19日、既存投資家の三菱UFJキャピタルに加え、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、JPインベストメント、日本グロースキャピタル、プロトベンチャーズなどの新規投資家を主な引受先とした約40億円の第三者割当増資のほか、みずほ銀行から10億円の当座貸越枠を確保したことで総額約50億円を調達したことを発表した。
Buzzreach、総額6.6億円の資金調達を実施
治験実施医療機関向けに開発された治験業務管理システム「Study Works」を展開するBuzzreachは7月21日、グロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家として、既存のモバイル・インターネットキャピタル、ANOBAKAを引受先とした第三者割当増資によって、シリーズAラウンドで総額6.6億円の資金調達を実施したことを発表した。
Bulls、総額1億円の資金調達を実施
セラピスト向けレンタルサロンプラットフォーム「minoriba」を展開するBullsは、リード投資家のKUSABIに加え、ドーガン・ベータを引受先とした第三者割当増資により、総額1億円の資金調達をシードラウンドにて実施したことを発表した。
イノバセル、総額27億円の資金調達を実施
切迫性あるいは漏出性便失禁、および腹圧性尿失禁を治療するための細胞治療薬の研究開発・事業化に取り組むイノバセルは7月21日、コーエーテクモキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資によって、シリーズCラウンドで総額27億円の資金調達を実施したことを発表した。
ファンファーレ、総額約6億3000万円の資金調達を実施
産業廃棄物業界に特化した配車管理SaaS「配車頭(ハイシャガシラ)」を展開するファンファーレは7月20日、既存株主であるALL STAR SAAS FUND、Coral Capitalに加え、新たにENEOSイノベーションパートナーズ、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資によって総額約6億3000万円の資金調達を実施したことを発表した。
miive、総額5億8000万円の資金調達を実施
EX(従業員体験)プラットフォーム「miive(ミーブ)」を提供するmiiveは7月20日、ジャフコグループ、Z Venture Capitalなどを引受先とした第三者割当増資および融資をあわせて総額5億8000万円の資金調達を実施したことを発表した。
shiftbase、総額3億1000万円の資金調達を実施
Web3エンジニアコミュニティ「UNCHAIN(アンチェーン)」を主催するshiftbaseは7月19日、カルチュア・コンビニエンス・クラブを引受先とした第三者割当増資と、金融機関からの借入によって総額3億1000万円の資金調達を実施したことを発表した。
GMO VenturePartners、7号ファンドを設立
「FinTech×クロスボーダー」を軸に投資活動をしてきたGMO VenturePartnersは7月19日、新たにGMO FinTech Fund 7を設立したことを発表した。同ファンドは中間クローズの段階で、GMOインターネットグループや大手金融機関などから113億円を集めているという。
Recustomer、新サービス「Recustomer Checkout」の提供を開始
ECサイトにおける“返品”や“交換”の課題を解決する事業を展開するRecustomerは7月19日、ECサイトにワンクリック決済を実装できるサービス「Recustomer Checkout」の提供を開始した。
ANRI、5号ファンドの設立を発表
独立系ベンチャーキャピタルのANRIは7月20日、ANRI5号ファンドの設立を発表した。同ファンドは産業革新機構やみずほ銀行、グリー、その他国内大手機関投資などが出資。約140億円で一次募集を完了し、最終的には400億円規模を目指すという。
datagusto、1億9000万円の資金調達を実施
AIによる未来の予測ができるデータ分析AIツールが「datagusto(データグスト)」を展開するdatagustoは7月20日、さらなる機能開発と人材採用、組織基盤の強化を目的にサイバーエージェント(藤田ファンド)、DEEPCORE、ゼロワンブースター、HAKOBUNEからシリーズAラウンドで1億9000万円の資金調達を発表した。
Unlace、2億1000万円の資金調達を実施
チャット形式のオンラインカウンセリングサービス「Unlace」を展開するUnlaceは7月20日、Z Venture Capital、デライト・ベンチャーズ、Scrum Venturesから2億1000万円の資金調達を実施したことを発表した。
ハイウェイ、1億2000万円の資金調達を実施
代理店などパートナー企業との共同営業を支援するSaaS「Hiway(ハイウェイ)」を展開するハイウェイは7月21日、DNX Ventures、Archetype Ventures、East Venturesを引受先とするJ-KISS型新株予約権の発行により、1億2000万円の資金調達を実施したことを発表した。