
- フォートナイトで英語を学ぶ「eスポーツ英会話」
- バーチャル空間で“擬似留学”、英語学習特化メタバース「fondi」
- 『ワンピ』『鬼滅』など集英社の人気マンガで英語を学べる「Langaku」
新しいテクノロジーやプラットフォームの登場によって英語学習の方法にも変化が訪れている。
これは何も今に始まったことではない。Skypeなどのビデオ通話システムが普及したことで「オンライン英会話」が生まれ、従来よりも安い価格で自宅にいながら英会話レッスンを受けられるようになった。スマートフォンの誕生により、今では小さなデバイス1つあればテキストや単語帳を手軽に持ち歩いて勉強することもできる。“AI”が英語学習をサポートしてくれるサービスも増えてきた。
本記事では過去にDIAMOND SIGNALで取り上げてきた「新しい英語学習の仕組み」を開発するスタートアップをまとめて紹介する。キーワードは「eスポーツ」「メタバース」「マンガ」だ。お盆休みに「学び直し」を考えている人は是非参考にして欲しい。
フォートナイトで英語を学ぶ「eスポーツ英会話」

2018年設立のゲシピが手がける「eスポーツ英会話」では、人気オンラインゲームの『フォートナイト』や『Apex Legends』をプレイしながら英語を学んでいく。
1回80分のグループレッスン形式で、基本的に生徒3人とコーチ(講師)1人の4人チームで進める。独自のカリキュラムを軸にした講師のレクチャーからスタートし、その後はゲームをプレイしながら学んだ英語を使っていく実践型のレッスンが特徴だ。ゲームをプレイしている時間は40〜50分ほどで、ゲームの合間や終了後には一般的なスクールと同じように復習の時間も設けている。
料金は月に4回実施するコースで月額8800円(税込)。自宅のゲーム機を使って参加でき、レッスンにはコミュニケーションサービス「Discord」のボイスチャットや画面共有機能などを用いる。発話に特化し、英語を話すことに自信がつくようなプログラムになっているため、「学んだ英語を実践する場所」として既存の英会話スクールなどと併用しているユーザーも存在するそうだ。
ゲシピ代表取締役CEOの真鍋拓也氏によると、現在有料アクティブ会員数は700人を超えているという。
バーチャル空間で“擬似留学”、英語学習特化メタバース「fondi」

英語を学びたい人向けに、「バーチャル空間上で擬似的に留学を体験できるような仕組み」を提供できないか──。そんなアイデアから生まれた「fondi」は英会話学習に特化したメタバースだ。
fondi内には、近くにいる人同士でフランクに立ち話ができる「パーク」やテーマに沿って1on1で落ち着いて会話を楽しめる「バー」など複数のエリアが設置されている。ユーザーはこれらのエリアを移動しながら、自身のアバターを介して他の英語学習者と音声で交流を深めていく。
レッスンをしてくれる先生やコーチがいるわけではなく、非ネイティブの英語学習者同士が集まって会話を交わすことで「英語の実践経験と英語への自信を培っていける」のが特徴。fondiで代表取締役CEOを務める野原樹斗氏によると、アバターを用いることによって「恥ずかしがらずに会話をしやすいメリットもある」という。
そのような性質もあり、日本発のサービスながら海外ユーザーの比率が高く、日本人ユーザーの割合はわずか4%のみ。ベトナムとインドネシアのユーザーが多く2カ国で40%強を占めており、モロッコ、エジプト、日本、タイ、トルコと続く。
無料プランの場合は1日15分の時間制限や散策できるエリアの制限があり、月額制の有料プラン(国ごとに異なり、日本の場合は月額1950円)であれば無制限に使える。現在はiOS版とAndroid版のアプリを提供しており、累計のインストール数は33万件を超えた。
『ワンピ』『鬼滅』など集英社の人気マンガで英語を学べる「Langaku」

マンガに特化したAI翻訳システム「Mantra Engine」を手がけるMantra(マントラ)が6月にリリースしたのが、“人気マンガで英語を学べる”アプリ「Langaku(ランガク)」だ。
英語のマンガにたくさん触れることで英語に慣れていくというシンプルな構造のサービスだが、大きな特徴が2つある。1つが集英社とタッグを組むことによって、『ONE PIECE』や『鬼滅の刃』など「週刊少年ジャンプ」作品を筆頭に、30以上の人気タイトルを集めている点。そしてもう1つがAIなどを活用した学習支援機能を搭載していることだ。
たとえば自身の英語レベルに合わせて、英語と日本語のコマの割合を調整できる“英語率”は代表的な機能だ。多読に慣れていないうちは英語率を低めに設定することで日本語のコマを多くし、無理なく継続できる。
コマをタップするだけで簡単に日本語と英語を切り替えたり、辞書を開いたりすることも可能。発音を理解するための読み上げ機能も実装した。
多くのマンガアプリと同様、各作品ごとに1日1話を無料で読める仕組み。作品ごとに単発で課金(従量課金制)するか、月額980円の有料プランに加入すればより多くのコンテンツを楽しむことも可能だ。現在はiOSアプリのみ提供されている。