Photo: Roman Martyniuk/gettyimages
Photo: Roman Martyniuk/gettyimages

ここ日本でも「若者の利用者が減っている」と言われるSNS「Facebook」。本国の米国では、未成年の“Facebook離れ”がより鮮明になった。同サービスを利用する10代の米国人ユーザーが激減していることが、米シンクタンク・Pew Research Centerによる最新の調査で明らかになったのだ。

Pew Research Centerでは2014年より、13〜17歳の若者を対象に、SNSの利用動向を調査してきた。最新の調査は今年の4月から5月にかけて実施。その結果を米国時間8月10日に公表した。

Pew Research Centerによる大手SNSの利用率に関する調査結果
Pew Research Centerによる大手SNSの利用率に関する調査結果 Pew Research Centerのレポートより (拡大画像)

今回の調査で分かったのは、米国での若者のFacebook離れが深刻だということだ。2014年から2015年にかけて行った第1回の調査では、若者の71%がFacebookを利用すると回答。10代のユーザーに一番利用されるSNSという結果になっていた。だが、今回の調査では利用率は32%にまで低下している。

とはいえ若者の利用率が低いのは、何もFacebookに限った話ではない。同調査によると、ブログプラットフォーム「Tumblr」の利用率はたったの5%だった。Tumblrは今年の初旬、大手SNSに疲れたZ世代(一般的には1990年代半ばから2010年代生まれの世代)の避難場所として、利用が急増していると言われていたにも関わらずだ。日本ではアクティブユーザーの多い「Twitter」の利用率も米国では23%と低かった。

10代の若者が最も利用しているSNSは「YouTube」

では、今、米国で10代にもっとも人気のあるSNSは何なのか。調査結果によると1位はダントツで動画共有プラットフォームの「YouTube」だった。実に95%が利用していると回答。次いで2位となったのは短尺動画SNS「TikTok」で、利用率は67%だった。

写真・動画共有SNSの「Instagram」やメッセージや写真が閲覧後に消えるSNS「Snapchat」の利用率も上昇傾向にある。Instagramの利用率は2014〜2015年の調査では52%だったが、今回の調査では62%に増加。Snapchatの利用率も41%から59%に増えている。

2020年以降、FacebookやTwitterに続く次世代のSNSがいくつも登場してきている。米国では2020年にリアルタイムでの会話を楽しむ音声SNS「Clubhouse」や、撮った写真が翌朝まで“現像”できないクラシックカメラ風の写真SNS「Dispo」などが登場。また、自分ではなく友人の写真だけを投稿する“アンチ自撮り”SNSの「Poparazzi」、スマートフォンのウィジェットを介して写真を送り合うSNS「Locket」がローンチした。

PoparazziとLocketは、ユーザー基盤をグローバルで急速に拡大している。Poparazziの世界での累計ダウンロード数は6月に500万件を突破。Locketは1月にローンチしたばかりだが、世界での累計ダウンロード数は8月までに2000万件を超えている。

だが、全ての次世代SNSが成功しているわけではない。特に日本においては鳴り物入りの新規参入を果たすも、失速するケースが散見される。

Clubhouseは2021年1月、日本のApp Storeの「無料アプリ」ランキングで1位に躍り出たが、今では圏外に。Googleのキーワード検索回数の推移を調べることができる「Googleトレンド」で見ても、2021年1月末から2月初旬の盛り上がりを100とすると直近の注目度はわずか1という値になっている。Dispoに至っては米国以外の市場からは事実上、撤退している。

地域特性もあるが、すでに明暗が分かれつつある次世代SNS。躍進するPoparazziやLocketは既存の大手SNSを脅かす存在にまでなるのだろうか。