
- 「レベル4飛行」とはなにか
- 現在実現しているレベル1、レベル2、レベル3飛行
- レベル4飛行実現に向けた現状は?
3日、小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会が「空の産業革命に向けたロードマップ2022」を発表した。このロードマップは、今年中の実現が目指されている「レベル4飛行」を前提に、環境整備・技術開発・社会実装の観点からドローンをはじめとする無人航空機がビジネスや社会に役立つかたちで利活用できるよう、2023年、さらに2024年以降の道筋を示したもの。
3月にドローンや空飛ぶクルマなどのエアモビリティの運行管理システムを手がけるテラドローンが総額80億円の資金調達を実施したのは記憶に新しい。年内のレベル4飛行の実現に向けて、これからも関連スタートアップの動きが活発になっていきそうだ。このレベル4飛行とは、具体的にどういったものなのだろうか。今回はレベル4飛行について解説していく。

「空の産業革命に向けたロードマップ2022」。首相官邸HPより
「レベル4飛行」とはなにか
レベル4飛行とは、無人航空機による“有人地帯における補助者なしの目視外飛行”のことを指す。無人航空機の飛行に関しては現在、法律や条例をもとにルールが設けられている。そのルールでは、飛行を監視できる「補助者」が立ち会わず、第三者のいる上空で無人航空機を飛行させることが認められていない。
しかし、ビジネスや社会への実践的な応用にあたっては、補助者が不在の状態でも第三者のいる上空での飛行を認める必要がある。例えばドローンが都市の上空を飛行して物資を輸送する場合などだ。そのために実現が目指されているのが、レベル4飛行だ。
現在実現しているレベル1、レベル2、レベル3飛行
飛行形態のレベルについては、2016年4月に官民協議会が発表した「小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」で分類が示された。レベル4の前段階としてレベル1、レベル2、レベル3が設定されており、これらはすでに実現している。
- レベル1は、無人地帯で人の手によって操縦し、なおかつ補助者が目視可能な範囲で無人航空機を飛行させる状態のことを指す。ドローンを使用した空撮や橋りょうの点検などがこれに該当する。
- レベル2は、無人地帯で自律的に飛行可能な無人航空機を補助者の目視可能な範囲で飛行させる状態のことを指す。自動運転のドローンによる農薬散布や土木測量といった事例が、これに当たる。
- レベル3は、無人地帯で補助者が目視できる範囲外で無人航空機を飛行させる状態のことを指す。ドローンによる島しょ部への物資輸送が実証実験されている事例などは、このレベル3に該当する。
レベル4飛行実現に向けた現状は?
では現在、どのようにレベル4飛行の実現が目指されているのか。まずは、航空法などの一部を改正する法律が2021年6月に公布され、12月に施行が予定されている。この改正によって、無人航空機の機体認証制度や操縦者技能証明制度が創設された。
その施行に伴い制度を整備するため、経済産業省と国土交通省が共同で「無人航空機の目視外及び第三者上空等での飛行に関する検討会」を設立。検討会では、機体の安全性確保、操縦者・運航管理者の技能確保、運航管理システムという3つの観点から検討をすすめるべく、各ワーキンググループが設置された。有識者や関係団体などの意見をふまえ、12月の新制度施行を目指している。
インプレス総合研究所によると、国内のドローンビジネスの市場規模は2021年度の約2300億円から、2027年度には約8000億円に達するという。この成長の土台となるのがレベル4飛行の実現だ。官民一体となってその実現を推し進めた先には、空を生かした新しいビジネスが次々と生まれるのかもしれない。