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  • 治療用アプリ開発のCureApp、カーライル・グループから約70億円を調達
  • ガートナージャパン、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」を発表
  • その他のスタートアップニュース

米国大手のPEファンドであるカーライル・グループ。同社が大型出資を決めたのは、日本初の保険適用の治療用アプリを開発するスタートアップ・CureAppだった。同社はシリーズGラウンドで約70億円の資金調達を実施した。

今週(8/13〜8/19)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」ではそんなCureAppの手がける治療用アプリの紹介やその資金調達の内容、そしてガートナーの2022年版ハイプ・サイクルの発表について取り上げる。

治療用アプリ開発のCureApp、カーライル・グループから約70億円を調達

デジタル技術を医療に用いて患者の行動変容を促すなどの治療をすることを、「デジタル治療(デジタルセラピューティクス:以下、DTx)」と言う。2021年には世界の市場規模は42億ドルに到達。2030年には325億1000万ドルへ拡大すると推計されている(GRAND VIEW RESEARCH「Digital Therapeutics Market Size Report, 2022-2030」より)。

日本のDTx領域において、治療用アプリの開発で先行するのがCureAppだ。2014年設立の同社では、高血圧症治療、ニコチン依存症治療を支援するアプリを開発。2020年には日本で初めて医療機器として薬事承認を受けた「ニコチン依存症治療アプリ」を保険適用で販売開始。今年4月には高血圧症治療アプリでも薬事承認を取得しており、年内の販売開始を目指している。

CureAppはまた、アプリ開発で得た知見をもとに、従業員の健康増進を目的とした法人向けのプログラムを提供。現在、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)やアルコール依存症、がんや慢性心不全のDTxについても、企業や医療法人とパートナーを組み、研究開発を進めている。

カーライル・グループは今回、CureAppへ約70億円を投資。2021年に人工タンパク質素材開発のSpiberへ投資したのに続く日本のスタートアップへの投資となる。グローバルなヘルスケア分野での実績をもとに、CureAppの開発するDTxについて、国内および海外への事業展開を支援するとしている。

ガートナージャパン、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」を発表

16日、リサーチ・アドバイザリー企業のガートナージャパンは、8月10日に米国法人が発表した「Hype Cycle for Emerging Technologies 2022」の日本語版、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」を発表した。これは先進的なテクノロジーがその普及までにどれだけの時間を要するかを黎明期、「過度な期待」のピーク期、幻滅期、啓発期、生産性の安定期の5つの期間に区分し図示したもので、毎年発表されている。

ガートナージャパンの公式HPより

2022年版のハイプ・サイクルには、大きく次の3つのテーマのテクノロジーが並んだ。1つ目は「没入体験の進化と拡大」に関するテクノロジー。メタバース、NFT(非代替性トークン)、Web3やデジタル・ヒューマンが該当する。2つ目は「AI自動化の加速」に関するテクノロジーで、オートノミックシステムやコーザルAI(要因データの分析AI)、ジェネレーティブデザインAIなど。3つ目が「技術者によるデリバリーの最適化」に関連する、拡張FinOpsやクラウド・データ・エコシステム、クラウドサステナビリティといったテクノロジーだ。

その他のスタートアップニュース

カルディオインテリジェンス、総額4.3億円の資金調達を実施

心電図のAI自動解析支援システムを開発、長時間心電図ソフトウェア「SmartRobin AIシリーズ」を提供するカルディオインテリジェンス。同社は8月15日、既存投資家の大和企業投資、ANRI、SMBCベンチャーキャピタル、Gemsekiに加えて新しく静岡キャピタルを引受先とした第三者割当増資で、シリーズAラウンドのファーストクローズとして総額4.3億円の資金調達を実施したことを発表した。

ストリーモ、総額2億円の資金調達を実施

電動マイクロモビリティを開発するストリーモは8月17日、みらい創造二号投資事業有限責任組合、本田技研工業、SOSV Investments LLC.を引受先とする第三者割当増資により、シードラウンドで総額2億円の資金調達を実施したことを発表した。

Mined、総額1億円の資金調達を実施

専門領域をもつ社会人や大学生の授業を受けられる、小学生向けの少人数制オンラインライブ学習サービス「スコラボ」を運営するMined。同社は8月17日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とした第三者割当増資によって、プレシリーズAラウンドで総額1億円の資金調達を実施したことを発表した。

スマートショッピング、総額10億円の資金調達を実施

IoTで在庫・発注管理を自動化するBtoBサービスのSmartMat Cloud、BtoCサービスのSmartMat Liteを提供するスマートショッピング。同社は8月17日、医薬品卸大手のスズケンを引受先とする第三者割当増資で、総額10億円の資金調達を実施したことを発表した。

Dioseve、総額4億円の資金調達を実施

不妊治療向けの再生医療技術を研究開発するDioseveは8月18日、既存投資家のANRIに加えて新しくCoral Capitalを引受先とした第三者割当増資により、シードラウンドで総額4億円の資金調達を実施したことを発表した。

ギフトパッド、総額10億円の資金調達を実施

オンラインギフトプラットフォームを軸に複数の事業を展開するギフトパッド。同社は8月17日、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、関西テレビ放送、ダイレクトマーケティングミックスを引受先とした第三者割当増資と金融機関からの融資により総額10億円を調達した。