Photo: Luis Alvarez/gettyimages
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明確なビジョンのもとチームを束ね、経営者として自社の成長を牽引する立場にある、スタートアップのCEO。設立から間もない頃は自身で多くの意思決定を下せるが、それは組織の拡大とともに難しくなっていく。では、スタートアップのCEOの役割は、自社の成長に伴いどのように変化していくのか。

今回は、米名門アクセラレーター・Y Combinatorが米国で急成長中のユニコーン企業・Faire(フェアー)のCEO、マックス・ローズ氏に実施したインタビューを、許可を得た上で翻訳し、紹介する。

Faireは2017年の創業で、セレクトショップ向けの卸売マーケットプレイス「Faire」を展開する。2021年11月にはシリーズGラウンドで4億ドル(約456億円。当時のおおよその為替レート、1ドル=114円で換算)の資金調達を実施。企業価値が12億4000万ドル(約1414億円。同上)のユニコーン企業となった。ローズ氏の役割は創業当時から現在までに、どのように変化したのか。意思決定の分散を可能にする組織や文化の育み方について、同氏が説明する。

──シードステージからシリーズGラウンドまでに、CEOとしての役割はどのように変化しましたか。

私は多くの時間を、Faireのビジョンと戦略の策定と、戦略の実行に費やしています。シードステージのスタートアップを率いる際によく表現するのが、「スピードボートの操縦」と「航空母艦の操縦」の対比です。初期の頃は6週間のプロダクト・サイクルで動いていました。そのため、意思決定を一元化し、全員が毎日スタンドアップ・ミーティングに集まり、目標に対して足並みをそろえていました。現在はプロダクト・サイクルが6カ月となり、意思決定は分散化され、従業員に責任を持たせるためのシステムを構築しています。