
送信したメッセージや写真が閲覧後に消えるSNS「Snapchat」などを展開する米Snapが苦渋の決断を迫られている。収益成長率の低下を背景に大規模のレイオフを実施し、複数のプロジェクトを終了する方針だ。
位置情報を共有するSnap傘下のSNS「zenly」は日本でも人気だが、こちらも公式がサービス終了に関する発表を出している。Snapがzenlyの売却を拒否したという声もある。
今回の「海外テックニュース-Trend Now」では、Snapによる大規模レイオフと位置情報SNS「zenly」の終了、そして米名門アクセラレーター・Y Combinatorによる世代交代を紹介する。
米Snapが大規模レイオフを実施──位置情報SNS「zenly」を終了へ
「Snapchat」などを展開する米Snapは米国時間8月31日、従業員全体の約20%をレイオフすると発表した。発表は、CEOのエヴァン・シュピーゲル氏が社員宛てに送信したメールを公開するかたちを取った。位置情報SNS「zenly」など、いくつかのプロジェクトを終了する方針についても明かした。
シュピーゲル氏はSnapの今後の方針について、「現在の収益成長率が低いことから、継続的に大きな損失を被ることを避けるために、コスト構造を削減しなければならない」とつづった。人員を大幅にカットした上で、コミュニティーの成長、収益の成長、そしてAR(拡張現実)に注力していくという。
シュピーゲル氏によると、Snapでは「イノベーションを継続しながら投資を集中させるという適切なバランス」を見つけていく方針だ。そのため、Snapchat上で展開するオリジナルの映像コンテンツやゲームなどへの投資を取りやめる。その他にも、Snapchatとは別の独立したアプリとして提供するzenlyや音楽配信アプリ「Voisey」の終了に向けたプロセスも開始したという。
zenlyはフランス発のSNSで、2017年にSnapchatが買収した。 あるzenlyの従業員によると、少なくとも1社がSnapにzenlyの買収を持ちかけたが、交渉は破談となったようだと語る。 今後Snapはzenlyに関わる全従業員をレイオフし、日本を含むすべての市場で、zenlyのサービス提供を終了する可能性もあるという。
日本版のzenly公式Twitterアカウントは日本時間9月1日、「親会社の事業の再構築と再集中化にともない、数カ月後に提供を終了いたします」とツイートしたが、今は削除されているようだ。
米名門アクセラレーター・Y Combinatorが世代交代へ
米国の名門アクセラレーター・Y Combinator(以下、YC)が来年、世代交代を実施すると発表した。同社のプレジデントを2011年より務めてきたジェフ・ラルストン氏が退任し、元パートナーでベンチャーキャピタリストのギャリー・タン氏が後任を務める。タン氏はCEOも兼任することとなる。
タン氏は2008年、ブログプラットフォーム「Posterous」を展開するPosterousを共同創業し、YCのアクセラレータープログラムに参加。2010年からはYCでデザイナーやパートナーを務め、2015年に退任した。2012年にはPosterousをTwitterに売却している。
それと並行して、タン氏は2011年にベンチャーキャピタル(VC)のInitialized Capitalを共同創業している。暗号資産取引所「Coinbase」を運営するCoinbaseや、食品のデリバリーサービス「Instacart」を展開するInstacartなどに出資するなど、Initialized Capitalは米国の有力VCの1社だ。
YCでは来週、米国時間9月7日と8日にデモデイを開催する。通常、冒頭でラルストン氏が同社の方針を説明するが、今回はタン氏によるYCの未来図が示されるのだろうか。