Photo:kolderal / gettyimages
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  • ZEALSが米国法人を設立、海外展開に注力
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フリマアプリ運営のメルカリと、ニュースアプリのスマートニュースには共通点がある。どちらも日本から世界へ打って出たスタートアップだということだ。両社が米国版のサービスを開始し、米国事業を本格化させたのは2014年のことである。

それから約8年が経った2022年、次の世代のスタートアップが米国事業を開始する動きが目立ってきている。今週(9/3〜9/9)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、チャットコマースを手がけるZEALSの米国法人設立、そしてホバーバイクのA.L.I. TechnologiesによるNASDAQ上場を目指したDe-SPAC契約締結などを取り上げる。

ZEALSが米国法人を設立、海外展開に注力

ZEALSはさまざまな業界の企業に対して、チャットコマース「ジールス」を提供するスタートアップ。チャットコマースは、チャット(会話)ができるアプリやサービスを利用し、企業がユーザーとの会話を通じた接客体験をオンラインで提供できる、というもの。英国の調査会社・Juniper Researchによれば、世界のチャットコマース市場は2025年までに2900億米ドル(約35兆円)規模にまで成長するとも言われている。

今後、世界的に成長が予測されていることから、ZEALSはグローバル展開を進めていくため、9月5日に米国法人の設立したを発表した。米国法人には代表取締役の清水正大氏と執行役員CFO渡邉雄介氏が赴任。早期の米国での事業拡大を目指すという。

今回のZEALSに限らず、2021年12月には、カスタマーサクセスプラットフォーム「commmune(コミューン)」を展開するコミューンが米国法人を設立。2022年の春から米国でサービスの提供を開始するなど、海外展開に打って出ている。また、連続起業家・柴田陽氏が新たに立ち上げた会社・テイラーが日本に拠点を構える企業としては、15年ぶりに米国の名門アクセラレーター・Y Combinatorに採択された。

日本発から、世界へ──スタートアップ業界では幾度となく言われてきた言葉だが、なかなかメルカリやスマートニュースに続くような企業は出てこなかった。そうした中でのコミューンとZEALSによる米国法人の設立などの動き。これらをきっかけに、米国市場における日本発toBスタートアップの存在感が高まっていくかもしれない。

その他のスタートアップニュース

Nota、総額6億円の資金調達を実施

コンテンツキャプチャツール「Gyazo」や検索型FAQシステム「Helpfeel」などを手がけるNotaは9月5日、One Capitalをリード投資家とし、Salesforce Ventures、みやこキャピタルを引受先とした第三者割当増資により、シリーズCラウンドで総額6億円の資金調達を実施したことを発表した。

SOXAI、総額3億1500万円の資金調達を実施

健康管理用スマートリング「SOXAI Ring(ソクサイ リング)」を開発するSOXAIは9月5日、大正製薬、りそなキャピタル、PKSHA SPARXアルゴリズムを引受先とし、コンバーティブルノートなどにより総額3.15億円の資金調達を実施したことを発表した。

リージョナルフィッシュ、約20.4億円の資金調達を実施

ゲノム編集を軸とした品種改良技術を用いて、水産業の変革に挑むリージョナルフィッシュは9月5日、Beyond Next Ventures、荏原製作所、NTTファイナンス、三菱UFJキャピタルなど複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により、シリーズBラウンドで約20.4億円の資金調達を実施したことを発表した。

DCM、シード投資プログラム「DCM Atlas」を開催へ

米国発のVC・DCMは9月5日、3〜5社程度の創業直後のスタートアップに対して、4000万円の出資に加えて、5カ月間にわたってコーチングやプロダクトマネジメントに関する指導などを行うシード投資プログラム「DCM Atlas」の開催を発表した。

テイラー、約5.7億円の資金調達を実施

業務システム開発基盤「Tailor Platform(テイラープラットフォーム)」を提供するテイラーは9月6日、グローバル・ブレイン、Y Combinatorを引受先とした第三者割当増資により、シードラウンドで約5.7億円の資金調達を実施したことを発表した。

iSurgery、総額8,000万円の資金調達を実施

骨粗しょう症検診用AI医療機器を開発するiSurgeryは9月6日、ディープコア、ソフトバンクの子会社で、愛知県スタートアップ支援拠点「STATION Ai」の運営事業を担うSTATION Ai、ディープコアが共同で運営する「STATION Ai Central Japan」を引受先とする第三者割当増資により、総額8000万円の資金調達を実施したことを発表した。

Sasuke Financial Lab、合計11.2億円の資金調達を実施

デジタル保険代理店「コのほけん!」を展開するSasuke Financial Labは9月6日、複数社を引受先とした第三者割当増資およびみずほ銀行からの融資により、シリーズBラウンドで合計11.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

スペースリー、4億円の資金調達を実施

空間データ活用プラットフォーム「スペースリー」を提供するスペースリーは9月6日、既存投資家のDNX Ventures、DBJ Capital、Archetype Venturesおよび個人投資家を引受先とした第三者割当増資、日本政策金融公庫の資本性ローンによって4億円の資金調達を実施したことを発表した。

シコメルフードテック、総額8.2億円の資金調達を実施

飲食店の仕込み問題を解決するアプリ「シコメル」を展開するシコメルフードテックは9月7日、Headline Asiaをリード投資家とし、SIG Asia Investment、ICMG Partners、アグリビジネス投資育成、Plan・Do・Seeと個人投資家1人を引受先とした第三者割当増資により、シリーズBラウンドで総額8.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

ジョーシス、約44.2億円の資金調達を実施

ジョーシスはITデバイスとSaaSを統合管理する仕組みを軸に、情報システム部門の業務を効率化するサービスを展開するジョーシスは9月7日、グローバル・ブレイン、ANRI、Yamauchi No.10 Family Office、デジタルホールディングス、WiLを引受先とした第三者割当増資により約44.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

Leaner Technologies、6.8億円の資金調達を実施

調達・購買部門向けのクラウドサービス「Leaner」を提供するLeaner Technologiesは9月7日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、インキュベイトファンド、Coral Capitalを引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで6.8億円の資金調達を実施したことを発表した。

DIGGLE、総額約4億の資金調達を実施

経営管理プラットフォーム「DIGGLE」を提供するDIGGLEは9月7日、DNX Ventures、Archetype Ventures、三菱UFJキャピタルを引受先とする第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額約4億円の資金調達を実施したことを発表した。

Yoii、約4.8億円の資金調達を実施

レベニュー・ベースド・ファイナンスのプラットフォーム「Yoii Fuel」を展開するYoiiは9月7日、One Capital、インクルージョン・ジャパン、東京大学協創プラットフォーム開発、三菱UFJ信託銀行、農林中金イノベーション投資事業有限責任組合、Plug and Play Japanを引受先とした第三者割当増資により、約4.8億円の資金調達を実施したことを発表した。

A.L.I.Technologies、PONO CAPITALとDe-SPAC契約を締結

ホバーバイクやドローンの開発・製造を手がけるA.L.I.Technologiesは9月8日、米国法人のAERWINS Technologiesが2021年8月に上場したPONO CAPITALとDe-SPAC契約を締結したことを発表した。2022年第4四半期から2023年第1四半期をターゲットにDe-SPACを完了し、NASDAQに上場する予定だという。