「ペイトナー 請求書」は請求書の振込業務を自動化する小規模事業者向けのサービスだ
「ペイトナー 請求書」は請求書の振込業務を自動化する小規模事業者向けのサービスだ

入金前の請求書を現金化できるオンラインファクタリングサービス「ペイトナー ファクタリング」を通じて、フリーランスや中小企業の資金繰りを支援してきたペイトナー。同社が新たに小規模事業者の「請求書の処理業務」を効率化するサービスを始める。

新サービスの「ペイトナー 請求書」は、アップロードした請求書のデータ化や会計ソフトへの連携、振込の実行などを自動化する。GMOあおぞらネット銀行のAPIと為替資金預り口座(同サービスとの連携に必要な機能だけに制限した口座)を活用することで、小規模事業者の負担となっていた“振込業務”まで効率化できるようにした。

具体的な利用フローと機能の概要は次の通りだ。まずユーザーは受領した請求書をサービス上に登録する。受け取った紙の請求書の画像データやPDFデータをドラッグ&ドロップで手動で登録するほか、専用のメールアドレス宛に届いた請求書を自動でアップロードする機能もある。

格納された請求書の内容はOCR(文字認識機能)と専属のオペレーターによってデータ化される。その際に日付や合計金額などと合わせて「支払い先の口座情報」も登録されるのがポイントだ。

これらの情報は会計ソフトに連携できるだけでなく、ユーザーが内容を確認した上で支払い希望日を入力すれば、GMOあおぞらネット銀行で開設した為替資金預り口座から自動で振込手続きが実行される。

ペイトナー 請求書の利用フローと仕組み
ペイトナー 請求書の利用フローと仕組み

同サービスはフリーミアムモデルとなっており、無料プランでは請求書の一部の項目をユーザー自身が入力すれば振込まで完結する仕組み。月額1万円(税抜)を予定している有料プランの場合は、請求書をアップロードすればすべての項目が自動入力される。

なお2023年3月31日までは、有料プランも月額無料で利用が可能。月額利用料とは別に振込実行時には1件あたり300円の手数料がかかる。

冒頭でも触れた通り、ペイトナーでは2019年9月より主にフリーランスや小規模事業者を対象としたファクタリングサービスを展開してきた。

このサービスは取引先に送った入金前の請求書をアップロードすると、申請から最短10分で報酬を現金で受け取れるというもの。独自の与信モデルを軸に実現した手続きの簡単さと速さが特徴で、累計の申込件数は3万件を突破した。

ペイトナーCOOの野呂祐介氏の話では、今回のサービスはファクタリングサービスのユーザーに対して繰り返しインタビューを実施する中で生まれたものだ。

野呂氏によると、多くのユーザーが課題として挙げたのが「資金管理が難しい」こと。実際にユーザーの半数以上は月末月初にファクタリングサービスを利用しており、「お金を支払うイベントに出会った時に、『この支払いができない』と気づいて使うケースが多い」という。

「ファクタリングは対処療法的な打ち手であると思っており、予防療法的な解決策が必要だと考えました。小規模事業者の方々が資金管理を適切に行えるプロダクトを開発しようという動きが社内で立ち上がったのが、新サービスの提供に至った背景です」(野呂氏)

ペイトナー 請求書では「代表が1人で経理をしているような小規模事業者」を主要なユーザー層として想定している。そのような事業者にとっては請求書の処理業務が負担になりやすい。メールやチャット、郵送などバラバラに届いた請求書の管理や毎月の振込作業に時間を取られているほか、電子帳簿保存法など法改正についていけないという課題もある。

請求書にまつわる課題の解決策としては「バクラク請求書」や「TOKIUM(トキウム)インボイス」、「Bill One」など関連するサービスも増えてきたが、ペイトナーとしては小規模事業者に対象を絞り、振込業務も含めて“めんどうな請求書業務”を効率化することで利用者を増やしていく狙い。「請求書SaaSというよりも、銀行口座の代替品のようなものとして認知を広げていきたい」(野呂氏)という。