Netflixでゲーム領域を担当するバイスプレジデントのマイク・ベルデュー氏 TechCrunchが配信するYouTube動画のスクリーンショット
Netflixでゲーム領域を担当するバイスプレジデントのマイク・ベルデュー氏 TechCrunchが配信するYouTube動画のスクリーンショット

2四半期連続での会員数の減少が騒がれた米ストリーミング大手・Netflix。Z世代女性による離脱が目立つとする調査結果が出るなど先行きが危ぶまれていたが、ここにきて会員数は再びプラスへと転じた。

Netflixが米国時間10月18日に発表した2022年第3四半期決算報告(7~9月)によると、会員数は3カ月のあいだで450万人増加し、2億2309万人となった。これは同社が予想していた100万人の増加をはるかに上回っている。

地域別に見ると、米国とカナダからなる北米市場での会員数増加は10万人にとどまった。だが、日本を含むアジア太平洋地域では143万人増え、Netflixの成長をけん引する格好となった。

会員数増加の背景として、Netflixでは人気SFドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス』の新シーズンや、韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』などのヒットを挙げている。同社は株主向けの資料で「2022年上半期は苦しかったが、我々は成長への道筋をたどっていると信じている」とコメントした。

Netflixでは2022年第4四半期(10月〜12月)において、450万人の会員増加を見込んでいる。そのための施策のひとつが、広告付き低価格プランの追加だ。同社では11月より、日本を含む5カ国で広告付きプランの導入を予定している。日本での広告付きプランの価格は月額790円で、従来最安値のベーシックプラン(990円)より2割ほど安い。

加えて、Netflixではユーザー間での不正なアカウント共有も問題となっていたが、これについても具体策を講じていく。8月からは中南米5カ国で、アカウント共有に追加料金を請求する新機能をテストしてきたが、2023年初頭より、これを全世界で正式に導入する見込みだ。またこれに先駆けて、アカウントを共有してきた家族などのユーザーが自分のアカウントを新設する際に、視聴履歴などの設定を引き継ぎやすくする「プロフィールの移行」機能を10月18日に全世界に提供開始している。

Netflixではユーザーのエンゲージメントを高めることを目的に、モバイルゲームの開発・配信にも注力してきている。これまでに、ストレンジャー・シングスなど、自社配信のヒットドラマなどを題材としたゲームを配信してきた。

「プレーする会員は全体の1%未満」とする調査結果からも分かるとおり、モバイルゲーム事業はまだ日の目を見ていない段階ではある。だが、Netflixは現在配信する35タイトルに加えて、55作品を追加で開発する予定を明かしており、強気な姿勢を貫いている。

同社ではさらに一歩踏み込み、クラウドゲーム領域への参入も図っているようだ。クラウドゲームについては、Googleが9月にクラウドゲームサービス「Stadia」を2023年1月に終了すると発表したことも記憶に新しい。しかし、Netflixでゲーム領域を担当するバイスプレジデントのマイク・ベルデュー氏は「クラウドゲームの提供を真剣に検討している」と明言した。

ベルデュー氏は米国時間10月18日、米スタートアップメディア・TechCrunchが主催のカンファレンス「TechCrunch Disrupt 2022」に登壇。クラウドゲームについて「モバイルゲームの時と同じように、小さく、謙虚に、思慮深く取り組むつもりですが、これは私たちが取るべきステップだと考えています」と述べた。

ベルデュー氏はクラウドゲーム事業の詳細については多くを語らなかったが、カリフォルニア州南部に新たなスタジオを開設し、ゲーム開発体制を強化する方針を明らかにしている。