Photo: Glenn Carstens-Peters/Unsplash
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  • 累計会員数6万人超のSHEが18億円の資金調達
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岸田内閣が「新しい資本主義」の“第1の柱”と位置づけ、「人への投資」に5年間で1兆円の資金を投じる方針を掲げたほか、米グーグルの日本法人など49団体が2022年6月に「日本リスキリングコンソーシアム」を発足させるなど、リスキリング(学び直し)が注目を集めている。先行きが見通しづらくなっている時代において、新たなスキルを身につけるためにキャリアスクールに通う人も増えているようだ。

今週(10/22〜10/28)の「スタートアップ最新動向-Weekly SIGNAL」では、キャリアスクール「SHElikes(シーライクス)」を運営するSHEの資金調達を取り上げる。

累計会員数6万人超のSHEが18億円の資金調達

働きながら新しいスキルを身につける、いわゆるリスキリングの重要性が叫ばれ始めてから、キャリアスクール系の事業を展開する新興企業が台頭してきている。

国内では社会人向けオンライン学習コミュニティ「Schoo(スクー)」を運営するSchoo、プロジェクト型スクール「NewsPicks NewSchool」を運営するNewsPicksがいるほか、人材サービスを手がけるWarisと東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)が再就職支援プログラム「東大IPC キャリアスクール」を開催している。

プレーヤーが増えつつある中で注目を集めるのが“ミレニアル世代の女性向け“を軸に2017年からキャリアスクール・SHElikesを運営しているのがSHEだ。

SHElikesはWEBデザインやWEBマーケティングといったクリエイティブスキルレッスンやコーチングプログラムなど32種類のコースをオンラインとオフラインの両方で提供しており、サービス開始から5年間で累計6万人が受講しているという。価格は入会金が14.8万円、月額費用は約1.4万円と決して安くない金額だが、2022年3月末時点で有料会員数は6000人となっている。

SHEはSHElikesのほかに、マネースクール「SHEmoney」や、業務斡旋・人材紹介サービス「SHEcreators」などを手がけており、すべてのサービスを合わせた2022年度の売上は16億円となっており、同社公表の資料によれば前年度比150%で成長しているという。

さまざまなサービスがある中、SHEが強みとしているのは熱量の高いユーザーが属するコミュニティだ。同社は入会後に会員同士でつながる場を提供するためにコミュニティサービス「SHEstation」を提供するほか、定期的にイベントを開催するなど、“横のつながり”を生み出すための施策を展開している。

それにより、会員のSHEやSHElikesに対する帰属意識が高まり、SNSではSHEやSHElikesに関する投稿が月間9000件生まれている。ミレニアル世代の女性たちの中でSHElikesに入会することがステータスになるようなブランドを作り上げているのが、他サービスとの違いと言っていいだろう。スクールの退会率は5%以下となっており、顧客あたりのLTVは31万円、平均継続期間は15カ月となっている。

SHEはさらなる成長のため、人材採用やプロダクト開発を目的にMPower Partners FundとSIG Asia Investmentをリード投資家とし、マイナビ、ANRI 、BRICKS FUND TOKYO、千葉道場ファンド、KDDI Open Innovation Fundからの第三者割当増資および金融機関からのデットファイナンスを合わせて、シリーズBラウンドで総額約18億円の資金調達を実施したことを10月26日に発表した。

今後、同社は「学ぶ」だけでなく、学んだスキルを生かして仕事を獲得する「働く」の部分にも力を入れていき、学ぶと働くが循環するキャリアプラットフォームを目指していくという。なお、SHEによれば2025年までに売上100億円、営業利益35億円を目標とし、事業を成長させていく予定とのことだ。

その他のスタートアップニュース

バックテック、総額4億円の資金調達を実施

従業員のフィジカル・メンタルのオンラインサポートを行う法人向けサービス「ポケットセラピスト」を展開するバックテックは10月24日、ジャフコ グループをリード投資家し、KIRIN HEALTH INNOVATION FUND、大室産業医事務所および既存投資家のMTG Venturesを引受先とした第三者割当増資により、シリーズBラウンドで総額4億円の資金調達を実施したことを発表した。

自然電力、ケベック州貯蓄投資公庫から200億円の資金調達を実施

地上・屋根設置型太陽光発電、営農型太陽光発電、陸上・洋上風力発電、小水力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギー電源の開発を手がける自然電力は10月24日、カナダの年金大手・ケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)が同社の転換社債型新株予約権付社債を全額引き受けるかたちで200億円を調達したことを発表した。

また、再エネ開発事業向けの投資枠としてCDPQが500億円を出資することを想定した共同投資の枠組みについても合意しているという。

Willbox、総額約7億円の資金調達を実施

国際物流プラットフォーム「Giho」を運営するWillboxは10月24日、既存投資家のSMBCベンチャーキャピタルをリード投資家とし、既存投資家の三菱UFJキャピタル、丸紅ベンチャーズ、ANOBAKAに加え、 新規投資家としてSalesforce Ventures、Golden Asia Fund、みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額約7億円の資金調達を実施したことを発表した。

セレイドセラピューティクス、総額約5億円の資金調達を実施

白血病などの血液がんを含む、難治性の血液疾患の治療に役立てる再生医療等製品の研究開発を手がけるセレイドセラピューティクスは10月25日、東京大学エッジキャピタルパートナーズ、筑波SBI地域活性化ファンド、テクノサイエンスを引受先とする第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額約5億円の資金調達を実施したことを発表した。

400F、総額12億円の資金調達を実施

お金の相談マッチングプラットフォーム「お金の健康診断」を運営する400F(フォーハンドレッド・エフ)は10月25日、SBIインベストメントをリード投資家とし、既存投資家のSkyland Venturesに加え、新たにAflac Ventures、三井住友海上キャピタル、T&D Innovation Fundを引受先とする第三者割当増資および従業員持株会への普通株式の第三者割当増資により、シリーズBラウンドで総額12億円の資金調達を実施したことを発表した。

aifie、総額7000万円の資金調達を実施

AI・機械学習を活用し、ノーコードでウェブサイトの制作・運用・改善ができる「smartLP」を運営するaifieは10月25日、B Dash Ventures、Skyland Ventures、および個人投資家を引受先とするJ-KISS型新株予約権の発行により、総額7000万円の資金調達を実施したことを発表した。

oVice、モバイルアプリ「oVice Go」の提供を開始

バーチャルオフィス「oVice」を提供するoViceは10月25日、oViceとのシームレスなコミュニケーションを実現するモバイルアプリ「oVice Go」の提供を開始したことを発表した。oVice Goは、同じスペース(バーチャルオフィス)内にいるユーザーと手軽にコミュニケーションを取れるアプリだ。メンバーを選び、「呼びかけ」「メンションチャット」を送信できる。

フレームダブルオー、2.5億円の資金調達を実施

ノーコードでDAOを生成できるツール「Clubs」などを展開するフレームダブルオーは10月26日、gmjpをリード投資家とし、B Dash Ventures、スカパーJSAT、rikka、01Booster Capitalを引受先とした第三者割当増資により、8月末にプレシリーズAのファイナルクローズを完了し、2.5億円の資金調達を実施したことを発表した。

aipass、総額2億円の資金調達を実施

接触型のチェックイン機能をベースにした基幹システム「aiPass(アイパス)」を提供するaipassは10月26日、Coral Capitalおよび栖峰投資ワークスを引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズAのファイナルラウンドで総額2億円の資金調達を実施したことを発表した。今回の調達により、プレシリーズAラウンドでの累計調達額は5.1億円になった。

Flint、総額約7200万円の資⾦調達を実施

従業員のメンタルをアバターカウンセリングで整える「MentaRest(メンタレスト)」を提供するFlintは10月26日、 ユナイテッドなどを引受先とする第三者割当増資により、総額約7200万円の資⾦調達を実施したことを発表した。

ワアク、プレシリーズAラウンドで資金調達を実施

オフィス家具D2Cブランド「WAAK°(ワアク)」を展開するワアクは10月26日、Earthshotファンド、朝日メディアラボベンチャーズ、九州オープンイノベーションファンドを引受先とした第三者割当増資により、プレシリーズAラウンドで資金調達を実施したことを発表した。金額は非公表。今回の調達により、同社の累計調達金額は1億3500万円となった。

EmbodyMe、カメラオフでもコミュニケーションが楽しめる機能を提供開始

バーチャルカメラアプリ「xpression camera」を展開するEmbodyMeは10月26日、音声情報だけを参照してリアルタイムに映像を生成し、カメラをオフにした状態でも豊かなコミュニケーションが楽しめる機能を提供したことを発表した。