シェアリングエコノミー 領域マップ(2020年3月版) 提供:シェアリングエコノミー協会シェアリングエコノミー 領域マップ(2020年3月版) 提供:シェアリングエコノミー協会
  • コロナ影響は「リアル・対面」か 「オンライン」サービスかで明暗
  • 移動減による影響を受けつつも リニューアル進める「アイカサ」
  • 車通勤で需要増「akippa」では 徹底したコスト見直しも実施
  • 対面からオンライン化への動きが 一気に加速した「ビザスク」
  • アプリで24時間医師に相談できる「LEBER」は ユーザー数が増加
  • シェアエコノミーは「新たな共助モデル」 柔軟な生き方の受け皿に

環境にやさしい、利便性が高いといった面から、拡大してきたモノ・場所・ヒトのシェアリングサービスだが、新型コロナウイルス感染拡大により、Airbnbのように世界的に大きなダメージを受けた事業者も出ている。一方で、新たな機会を見出した事業者もある。シェアリングエコノミー協会と協会会員4社への取材から、コロナとの共存時代におけるシェアリングサービスの可能性を探る。(編集・ライター ムコハタワカコ)

コロナ影響は「リアル・対面」か
「オンライン」サービスかで明暗

 モノ・場所・ヒトのシェアリングサービスは、環境負荷の軽減や人口減時代の労働力確保、働き方改革による副業解禁などのトレンドの中で、日本でも拡大してきた。ところが、新型コロナウイルス感染拡大のあおりを受け、事業者によっては「シェアリングに対する逆風を感じる」というところも現れている。

 こうした状況を把握するため、シェアリングサービスの業界団体であるシェアリングエコノミー協会は、新型コロナウイルス感染拡大による影響について、「新型コロナウイルス感染拡大による 影響に関するアンケート調査」を実施した。調査対象はシェアリングサービスを提供する事業者とシェアリングサービスから収入を得ている個人だ。

 発表されたアンケート結果によれば、全体としては事業者・個人ともにサービス利用の減少による影響を大きく受けている。ただしオンライン・非対面ニーズへの対応や、リスク分散を意識した副業としてのシェアワーキングへのシフトなど、ポジティブな変化への兆しも見られるという。

 事業者では、対面型でいわゆる「三密」状態が生じるサービスや、ユーザーの外出を伴うもの、自粛が要請された対象店舗に関わるサービスなどで、利用または売り上げが減少。かたや、従来からオンラインで提供されているサービスやオンラインにシフトしたサービスでは、利用が増加したケースもある。また、ユーザーの在宅時間が増えたことで、自宅の掃除・整理の機会が増え、宅配型トランクルームなどのサービスでも利用が増えているという。

 シェアリングサービスの各事業者は、新型コロナ感染症からそれぞれ異なる影響を受け、さまざまな対応を行ってきている。各社のコロナ禍への対応や、コロナとの共存時代に向けたシェアリングエコノミーの将来への見解について、シェアリングエコノミー協会の会員企業4社に話を聞いた。

移動減による影響を受けつつも
リニューアル進める「アイカサ」

アイカサ」は傘のシェアリングサービスだ。スマホで街中のスポットに設置された傘をレンタルでき、雨がやんだら最寄りのスポットに返却するアイカサは、関東・福岡・岡山でサービスを展開する。2020年5月時点でのスポット数は全国で約900カ所、約10万人がサービスに登録しており、6月には関西の一部にも進出を予定している。

 アイカサスポットは、主に繁華街の店舗や駅などにあり、特に鉄道会社との提携による駅・沿線での設置数が多い。アイカサを運営するNature Innovation Group代表取締役の丸川照司氏は、新型コロナ感染症の影響について「外出自粛により、街中での利用者が減少した」と語る。アイカサには使い放題のサブスクリプション型プランもあるが、基本プランは24時間70円(月額上限420円)で利用回数に応じた課金になるため、利用機会の減少は同社には痛手となっただろう。

 2018年12月のサービス開始当初のアイカサは、LINEの友だち登録を利用して提供されてきたが、6月8日に独自アプリを公開し、東京・横浜・大宮エリアでは貸し借りしやすい形にスポットもリニューアルされた。同時に傘自体も修理しやすく、より丈夫で撥水性の高いものに取り替えられている(福岡・水戸ではLINEを使った旧タイプのサービスを当面継続)。

Nature Innovation Group代表取締役 丸川照司氏 提供:Nature Innovation GroupNature Innovation Group代表取締役 丸川照司氏 提供:Nature Innovation Group

「リニューアルは新型コロナ感染拡大前から予定していたもので、4月に入れ替えを計画していた。緊急事態宣言の発令で作業を少し遅らせたが、プロダクト入れ替えのため、5月7日から6月7日までは対象エリアのサービスを休止したので、ちょうどタイミングが合った形だ」

 影響は受けつつも、アイカサでは新型コロナに対し、企業として何ができるかも模索している。「人の活動の一部がオンラインに移行するのは確か。ただし、オフラインで活動しなければならない人もいる。そこでやむを得ず外出する人のために、消毒用アルコールを4月16日から一部のアイカサスポットに設置することにした」(丸川氏)

「雨に濡れて風邪を引くことが感染リスクにつながる可能性を考えれば、サービスそのものも役に立っているのではないか」という丸川氏。「コロナ禍がどこまで続くか分からないが、完全にリスクゼロにすることは難しいだろう。その間、スポットを生かしながら、手の消毒や傘のレンタルで支えていければ」と語っている。

 主要都市エリアの鉄道の乗降客は以前と比べればまだ、減少が続いているが、丸川氏は「移動機会はゼロにはならない」と話す。「暮らし方が変わり、大きな街やオフィス街の人は減ったが、商店街・住宅地のスーパーなど人が増えたところもある。ニーズがある場所が変わり、集中から分散へとシフトする中で、我々もそれに合わせて展開していかなければと思っている」(丸川氏)

 コロナ共存時代のシェアリングエコノミーの未来については、「全体としては悲観していない」と丸川氏は語る。

「短期的には命を守る行動が必要となり、まだ落ち着くか落ち着かないかといった時点だが、この数カ月でインターネット界隈の状況は、2年分進んだような感覚がある。人々のライフスタイルも変化して、何が本当に大事なのかをみんなが考えている。モノやヒトのシェアで効率的に、かつ、豊かに暮らすのがシェアリングエコノミーの姿だとすれば、根本はITの目指していることと同じだ。みんなの空いた時間に合わせて、多様な生き方を促進させることができるのではないだろうか」(丸川氏)

車通勤で需要増「akippa」では
徹底したコスト見直しも実施

 駐車場予約アプリ「akippa(アキッパ)」は、契約されていない月極駐車場や個人宅の車庫、空き地、商業施設など空いているスペースを15分単位、1日単位で駐車場として貸し借りできるマッチングサービスだ。2014年にサービスを開始したakippaは6月現在、駐車場拠点数が累計3万6000、会員数は累計180万人を超えた。

 新型コロナ感染症のサービスへの影響について、サービスを運営するakippa代表取締役CEOの金谷元気氏は「通勤需要が大幅に増えた」と述べている。理由は通勤せざるを得ない人たちが、満員電車を避け、車での通勤を選択したことにある。

 東京都全体では2月に比べて、4月の緊急事態宣言発令直後の1週間で2.3倍、宣言解除後の5月末には4倍に増加。千代田区・中央区・港区の都心エリアでは、4月には2月の3.5倍だったところが、5月末には約5倍にまで増加した。大阪市北区や福岡市、名古屋市といった、東京以外の都市部でも、2月に比べて増加した地域が多かったそうだ。

akippa代表取締役CEO 金谷元気氏 提供:akippaakippa代表取締役CEO 金谷元気氏 提供:akippa

 通勤需要で「平日の売り上げに恩恵があった」と金谷氏。「今までakippaを使っていなかった人に、駐車場シェアのメリットを感じてもらえて、利用者層が拡大した」と話す。

 駐車場スペースを提供するホストの側の登録についても、「個人宅スペースなどの提供が増えている」と金谷氏は言う。

「ホストも初期費用不要で登録できるので、新しい収益基盤の確保を考えているのではないか。4月もスペースは増加したが、それ以上に5月も増えている」(金谷氏)

akippa通勤・通学予約数の推移 提供:akippaakippa通勤・通学予約数の推移 提供:akippa
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 一方で、プロスポーツなどの各種イベントが開催されなくなったため、土日の需要は減少したという。利用が減少したエリアについては、野菜直売支援を行うスタートアップ・YACYBER(ヤサイバー)との連携により野菜直売所として提携駐車場のスペースを提供したり、お弁当販売所として活用したりといった取り組みを実施。野菜直売に関しては、今後も継続実施を予定している。

 金谷氏はトータルとしては「直近で業績が上がっているわけではないが、ユーザー層の拡大やスペース増加により、今後の事業拡大につながるとみている」と語る。また一時減少しているイベント需要についても、プロスポーツイベントの開催が7月10日以降、観戦者を5000人までに制限して認められるようになる予定。8月には収容人数の半数までの観客での開催を見込む。

「座席の隙間は確保できるとして、試合前後の公共交通機関の利用に不安があることから、駐車場を増やしたいとのニーズがあり、クラブチームなどからの問い合わせ、提携も増えている」(金谷氏)

 akippaではこれまでにもJリーグやプロ野球、バスケットボールリーグなどのチームとの提携を行ってきたが、こうしたプロスポーツチームとの連携について「今後も収益源として重視している」と金谷氏は語っている。

「都心での利用増と合わせて、イベントが再開されれば以前より利用が増えるのではないかと期待している」(金谷氏)

 また、akippaではコロナ禍を機に、コストを徹底的に見直したと金谷氏は言う。

「最悪のシナリオも考え、筋肉質な体制になったと思う。おかげで営業利益ベースでは良好に推移しており、今後を見据えれば悪いことばかりではなかったと感じている。これまでに35億円の資金調達を実施し、将来に投資してきた6年間だったが、今を見ることも重要だと考えるようになった。キャッシュがとても大事になっていて、1億円の価値が以前よりずっと高くなっている。安定した基盤があるから成長できると考えるようになり、バランスを成長だけではなく、安定した事業運営にも振り向けるようになった」(金谷氏)

 シェアリングエコノミー全般の行く末については「サービスによってトレンドや手法が一つ一つ違うので、一概には言えないが」と断りながら、金谷氏は「利用によって三密を避けることができるサービスは、問題ない。オンラインで提供される教育やスキルシェアは、伸びるのではないか。オンラインにみんなが慣れたことも、後押しになっている」と分析する。

 さらに「カーシェアなどのモビリティも、今までは利用しなかった人が選択するようになった」と金谷氏。「感染予防さえすれば、カーシェアリングなどのサービスも利用が増えるのではないか」と話していた。

対面からオンライン化への動きが
一気に加速した「ビザスク」

 スポットコンサルのマッチングサービスである「ビザスク」は、さまざまなビジネス領域の経験者がアドバイザーとして登録し、1時間単位の「スポットコンサル」で知見をシェアするサービスだ。相談者は新規事業開発やマーケティング、グローバル進出などの課題について、対面・電話・オンラインで相談することができる。アドバイザー登録者は現在10万人を超え、ビジネス領域で個人の知見をマッチングするプラットフォームとしては国内最大級の規模を有する。

 サービスを運営するビザスク執行役員の宮崎雄氏は、事業への新型コロナ感染症の影響について「現状では限定的で、売上などが直近で大きくへこむということはなかった」と述べている。

 従来、アドバイザーと相談者をマッチングするスポットコンサルは、電話・オンラインでも利用できるものの、事業法人を中心とした利用者の側で「対面で話を聞きたい」というケースがどうしても多かったそうだ。しかしコロナ禍でオンラインでの打ち合わせが日常化する中で「オンライン化が一気に加速した」とのこと。宮崎氏はこれをポジティブな変化として歓迎している。

「移動の必要がなくなることで、すきま時間を活用してアドバイザーが動けるようになる。オンラインでのスポットコンサルは、今後も利用が進みそうだ」(宮崎氏)

ビザスク執行役員 宮崎雄氏 提供:ビザスクビザスク執行役員 宮崎雄氏 提供:ビザスク

 一方、10万人の登録者の知見を生かして、企業の新規事業開発をアイデア創出から事業プラン化まで支援するサービス「ビザスク project」では、「社内提案制度を通じて、社内コンテストなどを実施する形をとっており、このためのワークショップや勉強会などは集合型研修として行ってきた。こうした研修は当面見合わせることになり、多少影響が出た」と宮崎氏は述べている。

 ただしビザスクでは、5月18日には対面式のワークショップや勉強会についてもオンラインで提供できる体制を整え、オンラインパッケージの提供をスタート。インタラクティブな研修も含めて、オンライン化に対応したという。

 宮崎氏は「今後もオンライン化は継続する」とコメント。「緊急事態宣言が終わったからといって元に戻すというよりは、オンライン化でアドバイザーと参加者、相互の負担を減らしたい。研修なども最適な形を選びながら進めていく」と述べている。

「研修で東京にわざわざ来てもらっていたケースなどでは、移動をしなくても対応が可能になることで、むしろ裾野が広がる可能性もある。コロナをきっかけに、より多くの人にサービスの機会を提供していきたい」(宮崎氏)

「今回のコロナ禍をきっかけに、オフィスにずっといることが普通でなくなってきた。これまでは勤務時間としてバンドル化されていた時間の中から、すきま時間が生まれてくるようになっている」として、宮崎氏はコロナ共存時代のシェアリングエコノミーについて、以下のように語る。

「自由になった時間を使って、個人が新たに働く手段を確保したり、スキルを発揮したりする場面が増えると考えている。ポジティブかネガティブかの判断は難しいが、これまでの1社に所属して給与を企業から得ることだけが普通ということもなくなってくるのではないか。そうなれば、持っているモノやスキルを個人が積極的にシェアする流れは加速していくだろう」(宮崎氏)

アプリで24時間医師に相談できる「LEBER」は
ユーザー数が増加

 新型コロナ感染症について「経営的にはポジティブな影響が大きい」とするのは、“ドクターシェア”という概念で医師のすきま時間をシェアするプラットフォーム「LEBER(リーバー)」だ。LEBERでは、24時間・365日スマホアプリを通じて医師に相談できる。

 通常は利用毎の課金か月額課金により運営されているLEBERだが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、2月12日からコロナウイルス関連の相談を無料化。その後、ユーザーの不安軽減や医療崩壊防止を目的として、5月31日まで全ての相談を無料化した。また6月以降も、クラウドファンディング「READYFOR」を通じて実施したクラウドファンディングにより、約4万回分の無料相談を継続している。

 LEBERを運営するAGREE(アグリー)公衆衛生室長の多賀世納氏は「一般にオンライン診療は時間を区切って医師が対応する形が多いが、LEBERはチャットボットが質問、問診の多くの部分を担う。このため、医師の時間を減らすことができ、最後の数分を医師が対応すればよいという状態になっている」と説明。「この機能により、医療崩壊を防げるのではないかと専門家からも期待されている」と述べている。

 無料相談などの施策もあって、LEBERの利用は「ユーザー数、相談件数ともに増加した」とのこと。新型コロナ感染拡大前と比べて、4月までの実績で相談件数は4.3倍、登録ユーザー数は7.8倍に伸びたという。またLEBERでは相談件数の増加に合わせて、ホストとなる医師の数も増強した。1月時点で110名だったドクターの数は、現在は270名以上となっている。

AGREE公衆衛生室長 多賀世納氏 提供:AGREEAGREE公衆衛生室長 多賀世納氏 提供:AGREE

 コロナ禍で自治体からの引き合いも増えたというLEBER。既に茨城県とは、県内の約120万世帯、287万人の住民を対象に医療相談を9月30日まで無料で提供するプロジェクトを実施中だ。今後も「自治体を主としたプロジェクトを行っていく」と多賀氏は話している。

 特に、緊急事態宣言の解除に伴い、各地で登校が再開された学校では、子どもの体調・体温管理が重要となっている。AGREEではLEBERを使って体温・体調管理ができるアプリ「LEBER for School」を開発。茨城県つくば市、つくばみらい市の市立小中学校への導入が決定している。

 従来、体温記録の提出は紙で、体調の聞き取りは教師が行い、集計などで労力がかかっている。LEBER for Schoolでは、保護者にアプリを使ってもらい、書類の記載や手渡しの手間なく、保護者がアプリ経由で体温・体調を学校に報告することが可能。学校側は個々の児童・生徒の体温だけではなく、体温の平均や発熱率など、全体の状況を一度に把握できる。

「茨城県をモデルとして、LEBERやLEBER for Schoolの利用を全国へ拡大していく予定だ」と多賀氏は言う。

「シェアリングエコノミーは、ユーザーとホストをマッチングするサービスの総称で、オンラインもあれば対面のものもある。また中には三密状態が発生するものもあると思う」と多賀氏。「対面であっても、ベビーシッターサービスや家事代行サービスなど、リモートワークなどの浸透で必要とされているものもある」として、「健康管理が必要とされる分野で、生活拠点の不安を解消できるサービスを提供したい」と語る。

「リアルのコミュニケーションが必要となるサービスで、ユーザー、ホストの健康管理に、AGREEのサービスを役立ててもらいたい」(多賀氏)

シェアエコノミーは「新たな共助モデル」
柔軟な生き方の受け皿に

 ここまで見てきたとおり、ひとくちにシェアリングサービスといっても、オンラインで提供可能かどうか、オフラインでも三密を回避するために活用できるかどうかといった条件により、新型コロナ感染症の影響による明暗や今後必要と考えられる対応は大きく異なる。

 シェアリングエコノミー協会事務局長の石山アンジュ氏も、「非対面型のシェアエコノミーはそこまで影響を受けておらず、むしろ伸びているプラットフォームもある」との見解を示している。さらに対面型のサービスでも「サービス提供時の接点が一時的なものや、家事代行、ベビーシッターサービスで既に受注歴があり、ホストと利用者の間に一定度の信頼が築けているサービスでは、臨時休校・休園やリモートワークで子育てと家事の負担やコストが高くなっている状況で活用されているケースもある」と分析している。

 またコロナ禍の影響を受け、シェアリングエコノミーが新たな「共助のモデル」として活躍している側面もあると石山氏は指摘する。例えば神戸市とUber Eatsとの連携では、飲食店支援を目的としたテイクアウト利用時のサービス手数料減免などの施策が行われている。このほかにも医療支援、休校・休園に対するユーザー支援や、akippaが実施した、日常生活で車での移動が必要な人への割引クーポン配布といった施策を実施する事業者も出ている。石山氏は「ビジネスモデルとして、緊急時に“所有する人”と“必要とする人”のオンラインでのマッチングや、無料化、手数料変更などが瞬時に可能な点がシェアエコノミーの特徴」とコメントしている。

 また、感染拡大予防のための対策を比較的早い段階で打ち出す事業者も出ている。「教えたい人」と「学びたい人」のマッチングサービスを提供するストリートアカデミーの例では、これまで同社が正式に認めていなかったオンライン講座が4月からサポートされるようになり、6月1日からは正式サービスとしての対応が始まった。新型コロナ感染症の拡大防止のために、各事業者から「さまざまな対応策が出てきている」と石山氏は述べている。

「短期的にはインバウンド顧客中心のシェアサービス、サービス提供時に三密を伴う対面型シェアではダメージが続くと考えられるが、飲食店やデパートなどの事業者と同様、外出自粛の緩和に比例して、徐々に状況は戻っていくだろう」と石山氏は言う。ただし「今後、対面型のシェアサービスでは、衛生面で安全性への配慮や充実はより事業者としてコミットを求められるかもしれない」としている。

 長期的には、「都市部の企業に仕事を依存する働き方、都市に家を購入するといった暮らし方は見直される動きも出てくると考えている」と石山氏は言う。

「働き方や生き方そのものが見直され、より自由で柔軟性の高いライフスタイル、複数の収入源や居場所、コミュニティを持てる受け皿として、シェアリングエコノミーは期待されると思う。例えば住居のあり方として、月額4万円から全国住み放題のシェアサービス『ADDress』のようなモデルや、副業・兼業の受け皿としてシェアリングエコノミーサービスをホストとして利用する人が増えていくと考えられる」(石山氏)