テックタッチが手がけるシステムのイメージ
「テックタッチ」では既存のウェブシステムの画面上に、使い方や入力ルールなどを示す“デジタルガイド”を追加できる

さまざまなウェブシステム上に入力ガイドを設置し、システムの利活用やデータ入力を後押しできるナビゲーションツール「テックタッチ」。同サービスを開発するテックタッチがさらなる事業拡大に向けて17.8億円の資金調達を実施した。

テックタッチが手がけるサービスでは、“既存のシステムの画面上に”操作方法や入力ルールなどを示す独自のデジタルガイドを“後付けで”追加できる。

たとえば自社で導入している顧客管理システムの使い方を項目ごとに示したり、入力ミスが発生しやすいポイントにアラートを出したり。画面上にピンポイントでガイドを表示することで、紙やPDFなどで作成したマニュアルよりもわかりやすく、適切なシステムの使い方をナビゲートできるのが特徴だ。

テックタッチ代表取締役の井無田仲氏によると、利用用途としては大企業が「社内のDX推進」の目的で活用するケースが多い。

経営者が業務効率化やデータ活用による競争力の向上を目指して複数のシステムを導入したものの、現場の従業員が十分に使いこなせずに悩んでしまう。「(社員によってITツールへの理解度も異なる中で)いきなりは使いこなせない、というようなシーンがさまざまな企業で発生している」(井無田氏)状況において、テックタッチの引き合いが増えているという。

また経営においてデータの活用を進めていく上では、前提として「正確なデータ」が社内に蓄積されている必要がある。デジタルツールを導入したはいいものの「正確なデータがなかなか入力されなければ、データドリブン経営が絵に描いた餅となりかねない」(井無田氏)。データの入力精度を上げるための手段としてテックタッチを活用するケースもあるようだ。

テックタッチ代表取締役の井無田仲氏
テックタッチ代表取締役の井無田仲氏

現在テックタッチの導入企業数は100社を突破。国内の利用者数は200万ユーザーを超えた。トヨタ自動車や三菱商事、大日本印刷などエンタープライズ企業の顧客が多く、数万人規模の従業員を対象に活用している企業も増えてきている。「完全マニュアルレス」に向けて、社内のマニュアルを置き換えるかたちで複数システムにテックタッチを取り入れる顧客も出てきた。

近年は面倒な定型操作を自動化するRPAのような機能や、システムの利用動向を可視化して活用されていない機能などを発見する機能なども実装。プロダクトの進化とともに利用用途も広がっており、企業内でのシステム利活用の目的だけでなく、顧客体験向上の目的でも導入されている。企業に加えて官公庁や自治体での活用も少しずつ進み始めた。

テックタッチでは今回調達した資金を活用して組織体制やマーケティングを強化し、3年以内でのエンドユーザー1000万人突破を目指す。同社のプロダクトが「既存のソフトウェアの使い勝手を良くする」性質のものでもあるため、今後は顧客向けにセットでサービスを提供できる余地のあるSaaS事業者などとの連携も強化する計画。SaaSを手がけるスタートアップなどへの出資も検討するという。以下は今回テックタッチに出資した投資家。

  • DNX Ventures
  • 電通ベンチャーズ
  • みずほキャピタル
  • 三菱UFJキャピタル
  • Archetype Ventures
  • BRICKS FUND TOKYO
  • DBJキャピタル
  • NTTドコモ・ベンチャーズ
  • SMBCベンチャーキャピタル
  • Sony Innovation Fund
  • THE CREATIVE FUND