TENTIALが展開するリカバリーウェアブランド「BAKUNE」
TENTIALが展開するリカバリーウェアブランド「BAKUNE」

靴のインソールからマスク、リカバリーウェア、マットレスまで──。ウェルネス領域に特化したD2Cブランド「TENTIAL」を運営するTENTIALでは、約3年半で合計50以上の“健康”にまつわる製品を販売してきた。

中でも主力商品へと成長しているのが、リカバリーウェアの「BAKUNE」シリーズ。2021年2月の販売開始から約2年で15万枚以上を売り上げた。

TENTIALの年商は2021年1月期の時点で4.4億円。直近の売上は公開していないが、BAKUNEを軸とした「SLEEP」カテゴリが全体の売上をけん引する存在になっている。同カテゴリの売上は、2019年にTENTIALブランドの第一弾商品としてリリースしたインソールを含む「FOOT」カテゴリを超えた。

もともとTENTIALはスポーツメディアを軸に成長してきた会社だ。現役のアスリートと連携し、その知見をもとにスポーツのノウハウ記事やスポーツ用品の解説記事を制作することで事業規模を広げてきた。

2019年から始めたTENTIALブランド事業も、メディアとの関わりが大きい。最初の製品としてインソールを開発したのも、自社メディアの分析結果が1つのきっかけとなっている。

データを分析してわかったのが、検索エンジンで「足の悩みを解決する方法」を調べ、サイトを訪問しているユーザーが一定数いたこと。そこで整骨院と連携し、LINEで足の不安を気軽に相談できる場所を設けたところ、1日に30件ほどの相談がきた。TENTIAL代表取締役CEOの中西裕太郎氏はヒアリングを通じてユーザーの課題やインソール市場にチャンスがあることに気づき、製品の開発に取り組んだ。

TENTIALブランドの第一弾商品は2019年から販売を開始したインソールだ
TENTIALブランドはインソールからスタート。現在は50商品以上を展開

50以上の商品を販売する現在でも、基本となる商品開発のプロセスは初期と共通する部分は多い。TENTIALでは直営店を含むオフライン展開にも取り組んでおり、自社製品を取り扱う店舗は300を超えるが、現在も主要な販売チャネルはECだ。自社ECやメディアに蓄積された定量的な購買データと定性的な顧客の声が新商品を開発する際の「アイデアの種」となっている。

こうした“マーケットイン”方式の製造プロセスを採用していることから、「ある程度売れる手応えをつかんだ状態」で開発を始められるのが成長の一因だ。開発スピードも短く、早いものでは3カ月程度で製品化まで実現した例もある。現在もデスクワーク時の姿勢補正に特化した姿勢補正インナーなど、新製品の準備を進めているという。

TENTIALは今後も「健康増進」を軸にウェルネス領域で自社製品のラインアップを拡充していく計画。そのための資金として、ニッセイキャピタル、TBSイノベーション・パートナーズ、豊島、PARAMOUNT BED Healthcare Fund、楽天キャピタルから約6億円を調達した。

あわせてTENTIALでは金融機関などからデットファイナンスで約4億円を調達しており、今回、合計の調達額は約10億円となる。