BionicMのメンバー。前列右から2番目が代表取締役社長を務める孫小軍氏。 画像提供 : BionicM
BionicMのメンバー。前列右から2番目が代表取締役社長を務める孫小軍氏 画像提供 : BionicM

「ロボット技術と人間をうまく融合させることで、人々のモビリティ(移動)にパワーをもたらしたいと考えています。まずはニーズが高く、自分自身も課題を感じていた義足の領域から始めて、ゆくゆくは足の不自由な方々のモビリティを拡張するデバイスを作っていくのが目標です」

そう話すのは2018年12月創業の東京大学発スタートアップ・BionicM(バイオニックエム)で代表取締役社長を務める孫小軍氏だ。同社では現在ロボティクス技術を活用した“パワード義足”の製品化に向けて研究開発に取り組んでいる。

BionicMをけん引する孫氏自身、学生時代からの義足ユーザーだ。大学院卒業後は一時、ソニーで技術者として働いていたが、既存の義足の課題を自ら解決するべく、東京大学でロボティクス関連の研究が進む研究室へ進学。2018年にBionicMを創業した。

現在は試作品のブラッシュアップとユーザーテストに取り組んでいる段階で、2021年の実用化が目標。研究開発を加速させる目的で、総額5.5億円の資金調達を8月に実施している。第三者割当増資の引受先は東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、東京大学協創プラットフォーム開発、科学技術振興機構の3社だ。

ユーザーの動きをアシストするパワード義足

BionicMが開発を進めるパワード義足
BionicMが開発を進めるパワード義足

BionicMが現在開発を進めているのは、ロボティクス技術を用いてユーザーの動きをアシストするパワード義足だ。この義足にはさまざまなセンサーが内蔵されていて、人間の動きを読み取り、その動きに合わせてモーターを制御することでユーザーにパワーを与える。