WHILL代表取締役兼CEOの杉江理氏(後方)とプロダクトマネジメント室の執行役員で室長の堀出志野氏(手前)

マイクロモビリティや自動運転システムを開発するスタートアップのWHILLは9月17日、同社が開発する電動車いすの最新型「WHILL Model C2」を発表した。

WHILL Model C2は従来製品の「WHILL Model C」を使用するユーザーの声を反映し、走行性能や使いやすさをアップデートした製品だ。リアサスペンションを加えることで乗り心地を快適にし、段差や悪路での走行をより安定させた。

Model Cは機体を操作するコントローラーやスイッチを両手で操作する必要があったが、WHILL Model C2は片手での操作が可能だ。また、1回の充電で16キロが限度だった走行距離は18キロまで伸びた。

Model C2の価格は47万3000円で、敬老の日である9月21日よりWHILLのウェブサイトで予約発売を開始する。

WHILLは「すべての人の移動をスマートにする」ことを目指すモビリティ領域のスタートアップだ。2012年5月に日本で創業し、米国、カナダ、オランダ、中国にも拠点を構える。設立当時は車いすを開発するハードウェアスタートアップだったが、最近では自動運転システムの開発にも積極的だ。

2019年には、アムステルダム・スキポール空港(オランダ)、羽田空港、ダラス・フォートワース国際空港(米国)、アブダビ国際空港(アラブ首長国連合)、ウィニペグ国際空港(カナダ)、ジョン・F・ケネディ国際空港(米国)の5つの空港で、WHILLが開発する電動車いすの自動運転が実証実験された。

この自動運転システム「WHILL自動運転システム」は、自動運転機能や衝突回避機能を兼ね備えている。6月には羽田空港第1ターミナルへの正式導入が発表され、長距離の歩行に不安を感じ旅客向けに提供にされている。保安検査場付近から搭乗口までを自動運転で走行し、乗客を降ろした後は無人走行で返却される。

8月には慶應義塾大学病院が患者の院内移動に使用するための実証実験を開始。9月には横浜市がみなとみらい21地区での買物、観光、移動といった用途を想定した長期実証実験を開始した。

WHILLは今後、購入とシェアリングを合わせて、3~5年以内に1000万人のユーザーによる利用を目指す。そしてより多くの空港での自動運転システムの導入や機体の提供を視野に事業を加速させる。

9月21日に予約販売が開始されるWHILLの「WHILL Model C2」