半年で株価が11.8倍に跳ね上がったECプラットフォームの「BASE」。運営するのは2019年10月に上場し、初値が公募割れから始まった新興企業だが、コロナ禍で巣ごもり需要が拡大し、対面販売を主としていた事業者のEC出店も増加したことで、急成長を遂げた。上場初日に約250億円だった時価総額は2020年9月、約2400億円にまで上昇。9月24日には海外投資家向けの公募増資で約120億円を調達し、事業成長をさらに加速させると発表した。
BASEのショップ数は3月末から急速に増え、7月に110万を突破。そこでBASEの客を奪いに行くための策を講じたのが、カナダ発の「黒船」ECプラットフォーム「Shopify」だ。
Shopifyの日本法人は9月29日、BASEからShopifyへの情報移行を簡単操作で実現する新ツール、「BASEショップ情報移行アプリ」を発表。このアプリを使えば、商品情報、カテゴリー情報、注文情報をインポートすることで、ショップを“3ステップ”でBASEからShopifyに簡単に移行できる。
BASEショップ情報移行アプリをリリースした狙いについて、Shopify Japan代表のマーク・ワング氏に話を聞いた。
──BASEショップ情報移行アプリの開発に至った経緯を教えてください。
開発にはパートナー企業である(Webサービスやアプリの受託開発を行う)Get Itと共同で取り組みました。彼らから『出店者のコミュニティーの中に(移行ツールの)ニーズがある』と提案を受け、提供に至りました。
──競合であるBASEをどのように見ていますか。
BASEはフリーミアムですぐに利用開始できるという点で優れています。しかし、趣味ならともかく、真剣にECに取り組むのであれば、より多くの機能が必要になるでしょう。
ショップの移行は時間も手間もかかる大変な作業です。真剣に商売を考えているのなら、最初から多機能なShopifyを使うべきだと思います。
──BASEからShopifyにショップを移行する事業者は多いのでしょうか。
Shopifyは日本では、中・大規模の事業者を中心に利用が進みました。しかし、特にコロナ禍では、小規模な事業者がShopifyを使って新規でECを立ち上げたり、他のプラットフォームから移行してくるケースが増加しました。BASEだけでなく、「STORES」や「カラーミーショップ」などからもです。そのような事業者は簡単にショップを移行するためのツールを必要としていました。
Shopifyはもともと小規模の事業者のために設計されています。フォーチュン500に載るような大企業が利用しているのは、単に我々がとても優れているからです。
世界的に見れば利用者のほとんどは小規模の事業者ですが、日本では少し勘違いされているようです。「ゴーゴーカレー」や「A BATHING APE」のような有名ブランドでなければ使いこなせないのではないかと。決してそんなことはありません。Shopifyは小規模の事業者のために設計されています。
──STORESなどBASE以外のプラットフォームからの移行ツールを提供する予定はありますか。
その可能性はあります。我々は全て(のプラットフォーム)を見ています。
「WooCommerce」「Etsy」「Magento」「BigCommerce」「Squarespace」など、グローバルなプラットフォームからの情報移行機能は提供してきました。
繰り返しになりますが、このツールの目的は、「Shopifyを使ってより真剣にECに取り組む」と決断した人たちの移行を支援することにあるのです。