
国内最大級の成長産業領域向け情報プラットフォーム「STARTUP DB」。1万2000社を越える企業の情報を保有するSTARTUP DBのデータを元に、注目のスタートアップの資金調達情報をサマリ形式で紹介する。今回は10月1週の注目資金調達情報だ。
Spiber
- 調達額:59億円
- 合計資金調達額:415億7400万円
- 調達先:Archer Daniels Midland Company
- 備考:資本業務提携
構造タンパク質素材「Brewed Protein」を開発するスタートアップ。
2007年9月、神奈川県にて設立。その後、2008年6月に慶應義塾大学先端生命科学研究所のある山形県鶴岡市に移転。リリース当時ポリエステル以来の大革命と言われた「クモノス」は組み替えた蜘蛛の遺伝子からなる合成タンパク質を発酵、高分子合成する。通常のプラスチックや合成繊維はそれぞれ製造するプロセスや工場は全く異なるが、原料になる遺伝子組み換えしたタンパク質を変えるだけで、一つの工場で多彩な性質を持った合成繊維やプラスチックを作れることが最大の特徴だ。原理的には特定の動物の獣毛やキバの合成タンパク質を使えば、それらと似たような性質を持つプラスチックや繊維を製造できるとされている。
2020年10月には米国の穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド・カンパニー(以下、ADM)と提携、同時にADMを引受先とする第三者割当増資による約59億円の資金調達を実施した。2020年10月時点、同社はタイに工場を建設中、2021年中の稼働を目指している。
電脳交通
- 調達額:5億円
- 合計資金調達額:9億3200万円
- 調達先:JR東日本スタートアップ / JR西日本イノベーションズ / Mobility Technologies / NTTドコモ・ベンチャーズ / いよぎんキャピタル / エムケイ / 三菱商事/ 第一交通産業 / 阿波銀行
- 備考:他、既存投資家を含む
タクシーの配車代行サービスや、IT技術を活用した運行・配車業務効率化システムを開発・提供するスタートアップ。
同社の開発した日本初の「クラウド型タクシーコールセンター」は、全国の小規模タクシー会社向けのコールセンターアウトソーシングサービスだ。同サービスは専用アプリが搭載されたタブレット端末をタクシーに設置し、コールセンターから送られてくる情報により正確かつ最適な配車業務を行えるようにするもので、タクシー事業者は従来のコールセンター運営費用の1/3~1/2程度のコストで24時間365日配車業務を運営することが可能。また、従来の共同無線配車を行う場合では、配車室の電話番号を統一することが一般的だったが、同社のシステムではクライアントの既存の電話番号を継続して利用でき、配車ルールなどもそのまま引き継ぐことができるため、導入障壁も低いことが特徴だ。
2020年10月には、Mobility Technologiesなどの既存投資家に加え、三菱商事、JR東日本スタートアップ、第一交通産業グループ、エムケイ、阿波銀行、いよぎんキャピタルを引受先とする総額5億円の資金調達を実施。調達した資金は、全国への事業展開やサービス機能強化、配車センターの拡充などに充当し、タクシー業界のさらなるDX推進に貢献していく。
NearMe
- 調達額:5億円
- 合計資金調達額:8億1100万円
- ニッセイ・キャピタル / JA三井リース / DBJキャピタル
- 備考:シリーズA
タクシーの相乗りマッチングアプリ「nearMe.TaxiShare」や、様々な送迎をドアツードアで行うオンデマンド型シャトルサービス「nearMe. SmartShuttle」などを提供するスタートアップ。
海外ではUberやGrabなどのユニコーン企業が配車サービスを手がけており、簡単に安くタクシーを使うことが出来る。しかし、日本では同じやり方が法規制の問題で出来ないためにまだ遅れているのがこの分野だ。そこで同社は日本に適したサービス「nearMe.」を開発。このサービスはタクシーを手配するのではなく、同じ方向にタクシーで行く人を見つけマッチングするもの。相乗りを実現することによって、通常の料金よりも安く乗れるのがメリットとなっている。
2020年10月には、ニッセイ・キャピタル、JA三井リース、DBJキャピタルなどを引受先とする5億円の資金調達を実施。調達した資金は、スマートシャトル事業の新規路線立ち上げや人材採用、提供サービスの認知向上のためのマーケティングなどに充当し、さらに事業を加速していく。
モノグサ
- 調達額:4億4000万円
- 合計資金調達額:5億4000万円
- 調達先:UB Ventures / WiL
知識を定着させるために最適な問題を自動で生成してくれる学習アプリ「Monoxer(モノグサ)」を提供しているスタートアップ。
同サービスの特徴として挙げられるのが、”各ユーザーの記憶度に応じて問題の出題頻度や難易度が調整される”ということである。各ユーザーの記憶の定着具合によって、問題の内容は同じでも出題形式が異なっている。記憶度が低い状態の時は比較的問題の難易度を落とし、記憶がある程度定着してきた場合には、記述問題やひっかけ問題などの比較的難易度の高い問題が出題されるようになっている。これにより、各ユーザーの記憶力に応じた問題を自動で出題でき、各々に適した問題を解きながら記憶力の定着を図ることができる。
2020年10月にはWiL及び既存株主であるUB VENTURESを引受先とする総額4億4000万円の第三者割当増資を実施。調達した資金は、主に人材の採用・サービスの強化に活用し、コロナ禍で急務となった、教育業界のデジタルトランスフォーメーションを推進する方針。
みーつけあ
- 調達額:2億4000万円
- 合計資金調達額:4億2800万円
- 調達先:PERSOL INNOVATION FUND / グリーベンチャーズ / ジェネシア・ベンチャーズ / 日本スタートアップ支援協会
介護情報提供・相談サービス「みーつけあ」など、介護のDXを推進するサービスを提供しているスタートアップ。
「みーつけあ」は、介護事業所を見つける際にどこの事業所が適切か、また手続きの方法など介護にまつわる心配事を相談することができるサービスだ。ケアマネージャーを紹介し、適切な事業所へと無料で導くシステムとなっている。そのほか、仕事を探している登録ヘルパーとヘルパーを募集している訪問介護事業所をマッチングするサービス「みーつけあWorkers」や、介護を必要としている利人と介護ができるヘルパーの無料マッチングサービス「みーつけあマッチング」を提供している。
2020年10月にはジェネシア・ベンチャーズ、グリーベンチャーズ、日本スタートアップ支援協会、Persol Innovation Fundと、エンジェル投資家複数名を引受先とする2億4000万円の資金調達を実施。本調達により、事業所開拓のマーケティングに注力し、介護業界のさらなるDX推進を目指す。