
StockXやGOATなど、スタートアップが牽引するスニーカーのリセール市場に、大手ECもいよいよ本格参入するようだ。「1.5秒に1足のスニーカーが売れている」とうたうオンラインマーケットプレイスのeBayは米国時間10月12日、スニーカー販売に対して真贋鑑定を提供することを発表した。これにより、販売者と購入者がより安心してサービスを利用できる体制を構築することをねらう。
真贋鑑定の対象となるのは、新品かつ100ドル以上で販売されるスニーカー。10月中には一部の商品に対して真贋鑑定の提供が開始され、2021年前半には対象となる全てのスニーカーに対して実施される予定だ。
真贋鑑定はeBayとパートナーシップを組んだ専門業者のSneaker Conが実施する。eBayでスニーカーを販売する際には、商品は一度Sneaker Conに発送され、真贋鑑定を実施した後に購入者へと届けられるようになる。真贋鑑定を通過したスニーカーには証としてeBayのタグが取り付けられる。
実はeBayでは、9月から2000ドル以上で販売される時計に対しての真贋鑑定を実施している。真贋鑑定を提供する狙いについて、eBayのシニア・バイス・プレジデントでゼネラルマネージャーのJordan Sweetnam(ジョーダン・スウィートナム)氏は「値段も消費者の熱量も高い商品カテゴリーにおいて、真贋鑑定のニーズは高まっています。eBayでは真贋鑑定の提供を通じて、熱心な販売者や購入者にとって最も魅力的なプラットフォームになることを目指します」と説明する。
米調査会社のCOWENはスニーカーのリセール市場は2030年までに300億ドル(約3兆1600億円)規模に達すると見込んでいる。スニーカーのリセールプラットフォームを展開するスタートアップのStockXとGOATは共に時価総額が1000億円(10億ドル)を超えているユニコーン企業だ。GOATの取引実績は不明だが、2016年にローンチしたStockXの累計取引数は1000万件以上。一方でeBayは2019年に北米で600万足のスニーカーを販売。eBayは真贋鑑定の提供でより安心な取引を実現し、さらなる顧客の獲得を目指す。
ここ日本でも、「Monokabu(モノカブ)」、「SNKRDUNK(スニーカーダンク)」、「KCKC(キクシー)」など、真贋鑑定を提供するスニーカーのリセールプラットフォームは存在する。StockXも6月に日本でのローンチを発表した。スニーカーだけでなく、トレーディングカードに対して真贋鑑定を提供する「magi」や「Clove」といったプラットフォームも登場している。
日本経済新聞は7月、ECにおいて、架空の連絡先を届け出た出品者が偽ブランド品を販売する事例が多発しているため、政府が悪質な出品者の排除を運営者に促し消費者を保護するための新法を検討していると報じた。声優の金田朋子氏が9月にYouTubeで「有名フリマアプリ」で騙されて偽物のスニーカーを購入してしまったことを明かしていたように、ネットではフリマアプリに偽物が出回っているという類の報告が絶えない。eBayによる真贋鑑定の提供は、日本のプラットフォーマーにも消費者保護の姿勢を示す格好となった。