
フードデリバリーサービスの「Uber Eats」に本日、一風変わったレストランが登場した。「XMEAT」という店名のゴーストレストラン(フードデリバリーのみで展開するレストラン)で、食肉を一切使用せず、植物肉を使ったキーマカレーや担々麺などのメニューを提供する。
XMEATの仕掛け人は、飲食チェーンを展開するきちりホールディングス(以下、きちり)。同社は10月22日に熊本発の植物肉スタートアップ・DAIZと資本提携を発表。XMEATではDAIZが開発する植物肉「ミラクルミート」を使ったメニューを提供する。
ミラクルミートは8月にフレッシュネスバーガーが発売開始したハンバーガー「THE GOOD BURGER」などに採用されている。
XMEATは、フードデリバリーサービスのUber Eatsで、東京都の初台・恵比寿・池袋・北千住エリアのほか、埼玉県・大宮エリアに限定して商品の提供を開始する。11月2日には公式オンラインショップもローンチ予定で、今後は日本でローンチしたばかりのフードデリバリーサービス「Wolt」でも提供を開始する。
提供するのは、植物肉を使ったキーマカレー(税込1380円)や汁なし坦々麺(税込1380円)、ラザニア(税込1780円)、ルーローハン(税込1380円)、ガパオライス(税込1480円)、シシカバブピタパン(税込1380円)など。
また、きちりが運営するハンバーグ専門店「いしがまやハンバーグ」でも、DAIZ製の代替肉を採用した2つのメニューを本日より提供開始した。植物肉と畜産牛を混ぜた“ハーフ&ハーフ”のハンバーグ「プレミアムハンバーグ ライト」(税別1480円〜)と、植物肉を100%使用した「プラントベースミートハンバーグ」(税別1580円〜)だ。

きちりが植物肉を使用したメニューを提供開始した背景には、タンパク質の需要に供給が追い付かなくなる、いわゆる「タンパク質危機」がある。国連の発表によると地球上の人口は2050年までに約100億人に達する。人口増加に加えて新興国の経済成長といった要因により、タンパク質の需要に供給が追い付かなくなるのだ。
きちりの広報担当者はXMEATのローンチといしがまやハンバーグで植物肉を提供開始した理由について「今後、食肉が不足すると価格が高騰し、気軽に美味しい食肉が食べられなくなってしまうかもしれません。そんな時代の到来を見越して、安心安全に美味しく食べられる植物肉のメニューを提供開始しました」と説明する。
きちりは1998年設立。国内外104店舗を運営する外食事業を核とし、外食産業向けの業務支援プラットフォーム「きちりプラットフォーム」の開発や提供なども行う。きちりは今回開始した植物肉メニューの販売で、本年度売上1.5億円を目指すとしている。
DAIZは2015年設立のスタートアップで、熊本に構える工場で植物肉原料を開発する。ニチレイフーズや農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)から累計で約12億円を調達していて、北米市場での展開も目指す。
ミラクルミートはDAIZ最高技術責任者の落合孝次氏が発明し、大豆の食感や風味を本物の食肉に近づける特許技術の「落合式ハイプレッシャー法」を採用することで、従来の大豆由来植物肉よりも味と食感を高めている。