【11月第1週調達サマリー】住宅ローンテック「いえーる」を展開するiYellが18億5000万円の調達など

国内最大級の成長産業領域向け情報プラットフォーム「STARTUP DB」。1万2000社を越える企業の情報を保有するSTARTUP DBのデータを元に、注目のスタートアップの資金調達情報をサマリ形式で紹介する。今回は11月1週の注目資金調達情報だ。

iYell

  • 調達額:18億5000万円
  • 合計資金調達額:41億7000万円
  • 調達先:十六銀行 / 肥後銀行 / 宮崎銀行 / 山梨中銀経営コンサルティング / Merry Gate ホールディングス / 三菱地所 / 日鉄興和不動産 / 渡辺パイプ / 第一生命保険 / 電通グループ / エヌ・ティ・ティ・データ / イノベーション・エンジン / エレメント / DGベンチャーズ / デジタルベースキャピタル / Global Catalyst Partners Japan / SBIインベストメント / 他3社から調達

テクノロジーと住宅ローンをかけ合わせた住宅ローンテック「いえーる」を展開するスタートアップ。

代表の窪田光洋は青山学院大学経営学部卒業後、新卒でSBIグループのモーゲージバンクに入社。SBI大学院大学にて経営学修士を取得した後、最年少で執行役員に就任した経歴を持つ。同社は住宅ローンのマーケットプレイスを軸とした「iYell 住宅ローンプラットフォーム」を構築している。メインサービスである「いえーる ダンドリ」は、住宅ローン手続きの一括管理機能として、住宅事業者・ユーザーとの三者間チャット機能や、住宅購入までのタスクを見える化するタスク・スケジュール管理機能を備えている。他にも不動産会社の口コミサイト「いえーる コンシェル」、最高の住宅ローンを提案する住宅ローン総合サイト「いえーる 住宅ローン ONLINE」を運営している。

2020年11月、20社を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施し、金融機関の住宅ローン業務効率化DXソリューションの開発を推進する方針だ。

ファイブクロス

  • 調達額:15億円
  • 合計資金調達額:15億円
  • 調達先:出資元不明

グローバルゲームパブリッシング事業を手掛けるスタートアップ。同社は元ディー・エヌ・エー執行役員の顧乾俊氏によって設立された。

主に日本や中国、韓国におけるゲームのローカライズ、カルチャライズ、運営、マーケティング、カスタマーサポートなどのパブリッシング事業を展開していく。

同社は設立と同時に約15億円の資金調達を実施したことを発表した。この調達資金は事業立ち上げの資金として活用される。

QPS研究所

  • 調達額:8億6500万円(融資含む)
  • 合計資金調達額:56億7000万円
  • 調達先:日本政策金融公庫
  • 備考:既存株主による第三者割当増資を含む

九州の地に宇宙産業を根差すことを目指し、小型衛星用アンテナなどを開発する企業。

同社の開発する小型衛星用アンテナは、従来のSAR(合成開口レーダー)衛星の20分の1の質量、100分の1のコストを実現し、100kg級高精細小型SAR衛星の打ち上げに日本で初めて成功したものだ。

現在は、2025年を目標に、36機の小型SAR衛星を打ち上げ、コンストレーションを構築し、約10分ごとの準リアルタイム地上観測データサービスの提供を目指している。

2020年2月には、このサービス実現加速に向けて、JAXAの宇宙関連事業の更なる創出を目指す活動や、九州電力との事業連携を発表している。

2020年11月には、日本政策金融公庫からの融資と既存株主による総額8億6500万円の資金調達を実施。調達した資金は、同社が目指す小型SAR衛星36機体制の実現に向け、3号機~6号機の先行開発と足長部材の先行手配等の資金に充当される予定。

ワンダーフューチャーコーポレーション

  • 調達額:3億5000万円
  • 合計資金調達額:6億8600万円
  • 調達先:サカタインクス / リアルテックジャパン

3D樹脂製タッチパネル、ダメージレス部品実装技術「IHスポットリフロー」などの次世代の実装技術を主力とし、IoT社会を支える“ものづくりのインフラ”を創るスタートアップ。

3D樹脂製のタッチパネルは世界初の技術であり、従来の平面(2次元)形状には無い新しい車載インフォテイメントや、軽量・割れにくい樹脂の特性を活かしたタッチパネルへの適用が可能。また、樹脂等の低耐熱性基材への部品実装を可能とするIHスポットリフローと組み合わせることで、タッチパネル駆動部の各種デバイス実装にも対応する。

従来のはんだリフロー等の実装技術では、基材やデバイスに掛かる熱ダメージと、熱ダメージに耐えるために基材として柔軟性・伸縮性の低いガラスや、高価なポリイミドなどの耐熱性基材の使用が避けられなかった。しかし同社が開発した「IHスポットリフロー」は、IH(電磁誘導)を応用した実装技術で、実装が必要な部分のみを瞬時に、かつ物理的なストレスなくダメージレスに実装が可能だ。この技術により、安価で柔軟性・伸縮性のあるPET・布・紙などの低耐熱性基材に電子部品が実装可能となり、今までにないデバイスの開発が可能になる。

2020年11月には、サカタインクス、リアルテックファンドより総額3億5000万円の資金調達を実施した。この調達資金を活用し、デジタルサイネージなどの低コスト修理を実現する受託サービス「IH-EMS」のさらなる事業拡大を進めていく方針だ。

エー・スター・クォンタム

  • 調達額:3億円
  • 合計資金調達額:3億円
  • 調達先:Abies Ventures / NECキャピタルソリューション / Plug and Play Japan / Plug and Play Tech Center / 三菱UFJキャピタル / 事業創造キャピタル / 電通グループ
  • 備考:シリーズA / 電通との資本業務提携 / 価値共創ベンチャー2号有限責任事業組合はNECキャピタルソリューションなどを通じて、NBCエンジェルファンド2号投資事業有限責任組合は事業創造キャピタルを通じて出資

量子コンピュータのソフトウェア開発を展開するスタートアップ。

2018年7月に創業し、特に物流分野、広告分野の組み合わせ問題を解くための研究開発を行ってきた。世界各国または巨大なIT企業による量子コンピュータに関連する研究開発の激化を背景に、業界が徐々に立ち上がりつつある状況である。今後、同社は量子コンピュータの基盤技術確立に貢献することと、ゲート方式とアニーリング方式のどちらにもかかわる技術を確立し、付加価値を生み出だすためにビジネス利用が可能なソフトウェア開発と早期事業化を目指す。

2020年11月には、Abies Ventures、電通グループ、NECキャピタルソリューションなどが運営する価値共創ベンチャー2号有限責任事業組合、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合、NBCエンジェルファンド2号投資事業有限責任組合、Plug and Play Japanおよび米国Plug and Play Tech Centerを引受先とする第三者割当増資によってシリーズA総額3億円の資金調達を実施。併せて、電通と量子コンピュータを活用したテレビ広告枠の組み合わせ最適化と運用の高速化により、新たなマーケティングソリューションの開発・実装を目指すため業務提携を締結した。