
企業間の受発注を効率化する「アイミツ」が事業を拡大中だ。
同サービスではシステム開発からSaaS、人事総務、士業など法人向けのサービスを展開する7万社以上の事業者をジャンルごとに分類。発注企業の担当者が複数サービスを比較検討しやすい仕組みを構築することで、企業間の取引をスムーズにする手助けをしてきた。
2014年のサービス開始から着実に取引数を増やし、これまでに累計で15万件の見積もり依頼に対応。月額課金形式でアイミツを利用する受注企業数も約1000社にまで拡大している。
開発元のユニラボは2012年の設立から7年間は自己資本経営を続けていたものの、2019年にニッセイ・キャピタルなどから初の外部調達を実施。11月16日には事業の成長スピードをさらに加速させるべく、Spiral Capitalや日本郵政キャピタルなど複数の投資家から新たに14.4億円を調達した。
シリーズBとなる本ラウンドでユニラボに出資した投資家陣は以下の通り。なお今回を含めると同社の累計調達額は21億円となる。
- Spiral Capital(リード投資家)
- 日本郵政キャピタル(リード投資家)
- モバイル・インターネットキャピタル
- SBIインベストメント
- 博報堂DYベンチャーズ
- 日本ベンチャーキャピタル
- UB Ventures
- 三菱UFJキャピタル
- 池森ベンチャーサポート

ユニラボはディー・エヌ・エーでECビジネス部長やマーケティング統括執行役員を務めてきた栗山規夫氏が創業したスタートアップ。栗山氏自身が前職時代にたくさんの発注業務を行う中で「企業間の受発注においては、結婚式選びにおけるゼクシィのようなベストプラクティスがまだ存在しない」ことを感じ、自らの手で受発注を変革するインフラを作るべくアイミツを開発した。
企業間の取引をサポートするマッチングサイトはいくつかあれど、アイミツは“総合型”として幅広いジャンルを網羅的にカバーしているのが特徴だ。「B2Bの役務サービス領域は万単位の会社が存在する巨大な市場で、発注頻度が高く、どんな会社でも何かしらのサービスを発注している」(栗山氏)一方で、多重下請け構造になっていて、発注者自身が相見積もりを取りながら適切なサービスを探すのは負担が大きい。
そこでアイミツではジャンルごとに全国に散らばる事業者を特徴に基づいて整理しているだけでなく、コンシェルジュが発注者と受注者の間に入り、効率的なマッチングをサポートしている。

発注者のニーズを踏まえた上で、相性の良さそうな事業者の候補をコンシェルジュが選定し、受注者側に案件の募集を実施。実際に挙手した企業の中から対象を絞りこむので、発注者は最初から温度感が高い企業のみと交渉することが可能だ。
受注者の立場では、コンシェルジュが仲介するため質の良いリードを獲得できるのが最大のメリット。現在アイミツの収益源は受注者からの月額利用料(ミニマムで月額3万円〜)となっているが、すでに約1000社が有料でアイミツを使っている。
直近では新型コロナウイルスの影響でBtoBサービスの新規営業に関してもオンライン化が進み、アイミツの利用者も増加。2020年12月期においても売上高は昨年対比で170%成長しているという。
今回の資金調達は既存事業のさらなる拡大に加えて、2021年の公開に向け開発を進めている新サービス「アイミツCLOUD」へ投資することも大きな目的だ。
既存のアイミツが企業の発注担当者が個人で使うサービスである一方、アイミツCLOUDは中堅企業〜大企業を中心に法人単位で使ってもらうことを見据えているそう。従来は企業内に分散していた受発注に関わるデータやノウハウを一元管理できる受発注SaaSとして、受発注に関わるオペレーションの効率化を後押しするサービスを目指す。
