
- 新しいユーザーインターフェース「Google TV」
- 導入はとても簡単。4K動画やサラウンドが手軽に楽しめる
- この冬はChromecastを手に入れてホームシアターを始めたい
Googleが新しいメディアストリーミング端末「Chromecast with Google TV」を11月25日に発売した。すでにAndroid TVが搭載されたテレビでストリーミングサービスを楽しんでいる人も多いだろう。ただ、今回新たにリリースされたChromecastには操作性に優れていながら、視聴環境をアップする機能がいろいろ追加されている。
過去のモデルから進化したポイントを確かめながら、ユーザーにどんな体験をもたらすデバイスなのか、詳細をレポートする。

新しいユーザーインターフェース「Google TV」
GoogleのChromecastはテレビやモニター、プロジェクターなど映像機器のHDMI端末に接続して、Wi-Fi経由で映画や音楽、ゲームなどさまざまなコンテンツのストリーミング再生が楽しめるスマートデバイスだ。OS(オペレーティングシステム)にはGoogleのAndroid TVを搭載する。
最初のChromecastが発売された2014年頃は、Android TVを搭載するスマートテレビがまだ少なかったこともあり、家庭の大画面テレビを手軽に“スマート化”できるChromecastが人気を集めた。一方、現在はAndroid TVを搭載するスマートテレビが増えたこともあって、発売当時と比べると注目度はやや落ち着きつつある。
HDMI接続のメディアストリーミング端末と言えば、最大のライバルがアマゾンのFire TV Stickシリーズだ。両者の使い勝手を分けている最大の違いは「ホーム画面」だ。
Fire TV Stickシリーズには端末で楽しめるさまざまなコンテンツが一望できるホーム画面があり、Chromecastシリーズにはなかった。
Chromecastシリーズでは、同じWi-Fiネットワークに接続されているスマートフォンやタブレットなど、Android OS/iOS(iPadOS)を搭載するデバイスをリモコンとして、動画・音楽・ゲームなどのコンテンツをキャストする使い方が基本となっていた。
Wi-Fiを経由して、デバイスの画面をそのままChromecastを介してテレビに映せるミラーリング機能もある。シンプルで無駄がない使い勝手である反面、楽しめるコンテンツやアプリの一覧性についてはホーム画面を搭載するFire TV Stickのようなデバイスがベターであると筆者も感じていた。
今回、グーグルが発売する新しいChromecast with Google TVは、製品の名前にもある「Google TV」という新しいユーザーインターフェースを導入。本体と筐体を分けたBluetoothワイヤレスリモコンによってコンテンツの選択、本体設定などの操作が直感的にできるようになった。リモコンにはマイクも内蔵されており、Googleアシスタントによる音声操作にも対応。約4.4GBの領域をアプリのダウンロードなどに使えるストレージも内蔵する。



導入はとても簡単。4K動画やサラウンドが手軽に楽しめる
最新モデルのChromecast with Google TV(以下:Chromecast)を活用するためにはWi-Fiが使える環境のほか、初期セットアップの時にはGoogle Homeアプリが動くAndroid OS、またはiOS/iPadOSを搭載するデバイスが必要だ。
初期セットアップは、Google Homeアプリの画面に表示される指示に従えば迷わずに進められるだろう。テレビのHDMI端子に接続したChromecastの電源は残念ながらテレビに搭載されているUSB端子からダイレクトに取れないため、別途商品パッケージに付属しているUSBアダプターをコンセントに挿して給電する必要がある。
テレビから複数の電源ケーブルが垂れ下がることになるため、スタイリッシュになったChromecastの新しいデザインの魅力が若干損なわれてしまう点は残念だ。


新しいChromecastも、従来のモデルと同様にYouTubeやNetflix、Amazon Prime Video、dTVにDAZNなど幅広い動画配信サービスに対応している。YouTube MusicやSpotifyなど音楽配信系のサービスも多くがカバーされており、Chromecastにデフォルトで追加されていないアプリは新たにダウンロードすることで楽しめる。
ChromecastもGoogleのAndroid TVをOSに採用しているため、利用できるアプリやサービスのバラエティは基本的にはAndroid TVを搭載するスマートテレビと同じと考えてよい。
ただ、Chromecastは最新のAndroid 10をベースにしたOSを搭載するだけでなく、新しいユーザーインターフェースのGoogle TVや、Googleアシスタントのボイスコントロールが機敏に動作するようにプラットフォームの最適化を図っている。
筆者が自宅で使っている2016年発売のAndroid TVを搭載する4K・HDRテレビよりも、数段速く快適な操作感が得られて満足だ。

Google TVのユーザーインターフェースの特徴は、Chromecastで利用できるコンテンツの一覧性が高くなった以外にもある。
ユーザーの視聴履歴を学習しながらコンテンツをレコメンドしてくれる「おすすめ」や、ユーザーのGoogleアカウントでつながっているブラウザから「観たいものリスト」に追加した作品を「ライブラリ」の中にブックマークを付けて放り込める便利な機能が加わった。上手く使いこなせば、ユーザーの興味を喚起するコンテンツに次々と巡り会える。

もしGoogleアシスタントを搭載するスマートスピーカーも手元にあれば、Chromecastに付属するリモコンを使わずに、スマートスピーカーに話しかけてYouTubeやNetflixから再生したいコンテンツを呼び出すこともできる。ChromecastとGoogle Nestスピーカーをグループ化して、複数の部屋で同じ音楽コンテンツを同時に再生することも可能だ。
ChromecastはBluetoothオーディオにも対応している。ストリーミング再生中の動画や音楽コンテンツがイヤホンやスピーカーなど、Bluetooth対応のワイヤレスオーディオ機器に飛ばせるので、例えばテレビから少し離れたキッチンなどで作業をしながらコンテンツを楽しみたいときには最適だ。

この冬はChromecastを手に入れてホームシアターを始めたい
新型コロナウィルス感染症の影響が長引く中、迫る年末年始も自宅で楽しく過ごせるように、ホームシアターの本格導入を検討している方に、映像は高画質な4K/HDR、音声は没入感あふれるドルビーアトモスに対応する新しいChromecastをおすすめしたい。
テレビにプロジェクター、サウンドバーやアンプとスピーカーのセットをわが家に一式揃えれば、Chromecastを中心に迫力たっぷりのシアター環境が導入できる。Chromecast with Google TVの価格が7600円(税込)と手頃なところも魅力的だ。
新搭載のユーザーインターフェースとリモコンにより操作性が格段にアップしているので、筆者のように今はリビングで数年前に発売されたAndroid TVを使っているという方も、新しいChromecastを導入して快適なスマートテレビ環境に“乗り換え”る価値が十分にあると思う。