
国内最大級の成長産業領域向け情報プラットフォーム「STARTUP DB」。1万2000社を越える企業の情報を保有するSTARTUP DBのデータを元に、注目のスタートアップの資金調達情報をサマリ形式で紹介する。今回は11月3週の注目資金調達情報だ。
Arent
- 調達額:10億円
- 合計資金調達額:10億円
- 調達先:J&TC Frontier / その他複数の引受先から調達
- 備考:資金調達方法は融資を含む
主に自立型CADの開発・導入コンサルティングを行うスタートアップ。
CAD(Computer Aided Design)とは、コンピュータ支援設計という意味である。図面の作成、デザインの設計作業を効率化する設計支援ツールで、3Dプリントの分野でも用いられる。同社が開発するCADは自立型であることが大きな特徴だ。
多方面で活躍し、大規模プロジェクト参画の経験をもつCAD開発のスペシャリストが多数在籍する同社の開発技術は高く、現場のベテランの経験値や冴えを自立型CADとして実現している。これまでにプラントの配管レイアウトの最適化や、商業施設やビルのガス・空調などの配管の経路設計などに携わっている。この技術を用いて、設計士の作業を減らし、より創造に才能を発揮できる未来の実現を目指す。
2020年11月には、JFEエンジニアリングと東京センチュリーが設立した共同投資ビークルJ&TC Frontierを始めとする複数機関から総額約10億円の資金調達を実施した。
HACARUS
- 調達額:3億9000万円
- 合計資金調達額:13億円
- 調達先:MTG Ventures / PARKINSON Laboratories / みやこキャピタル / りそなキャピタル / 中信ベンチャーキャピタル / 京都銀行 / 大原薬品工業 / 日本政策金融公庫
AIを使ったデータ解析サービスでヘルスケア分野、産業分野などの課題解決を行う京都発のスタートアップ。
「地球上の全ての人を120歳までお連れする」というミッションのもと、2014年にヘルスケアのAIベンチャーとしてスタート。同社の強みは、少量のデータで効率的に動作するスパースモデリングの方法論で、この技術を機械学習に利用することで従来のディープラーニングが抱える膨大な学習データの要求や、学習期における高度な演算機能といった課題の解決を試みている。またAIの意思決定を透明化にも取り組んでおり、これらの取り組みはAIが出した答えの精度ではなく、その答えを導き出した演算過程の説明が求められる医療分野において活躍が期待される。
2020年11月にはMTG Ventures、りそなキャピタル、大原薬品工業、みやこキャピタル、PARKINSON Laboratories、中信ベンチャーキャピタルから13億円の資金調達を完了した。今回調達した資金は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)および創薬支援のR&D強化、ビジネス開発・コンサルタント人材の採用、日本国内向けに開発されたAIソリューションの欧州、北米、東南アジア地域での展開に充当する予定だ。
WARC
- 調達額:3億円
- 合計資金調達額:7億2700万円
- 調達先:STRIVE / イーストベンチャーズ / マネーフォワード / 他個人投資家から調達
- 備考:マネーフォワードとは資本業務提携
2017年に設立され、スタートアップ支援事業を展開する。
主に、スタートアップ立ち上げに関わるコンサルティングサービス、M&Aアドバイザリーサービス、タレントエージェンシーサービス、スタートアップ投資を行う。
共同創業者である山本彰彦氏と石倉壱彦氏は、共にKPMGあずさ監査法人出身で、CFOとしてスタートアップを創業期からエグジットさせた経験をもつ。エグジット経験を持つ2人の創業者を筆頭に、元HRスタートアップのCOOやベンチャー特化の転職エージェントの責任者など、各領域で経験を積んだ人材が集まっており、経営課題の解決や、コーポレート領域を中心にハンズオンでの支援を実施する。
シード期から、レイター期までに渡り成長フェーズに合わせて支援を行うことができる企業は少なく、同社の強みにもなっている。また、スタートアップへの投資も進めており、これまでに「FUND BOARD」運営のKeppleなどへの投資を行なっている。
2020年11月には、マネーフォワード、STRIVE、East Ventures、個人投資家などを引受先とする第三者割当増資により、総額約3億円の資金調達を実施。今回調達した資金は、管理部門特化型の転職サービス「SYNCA」の開発および成長企業支援のための体制強化に投資する方針だ。
ラウンズ
- 調達額:5000万円
- 合計資金調達額:5000万円
- 調達先:KVP / XTech Ventures / 日本スタートアップ支援協会
- 備考:シードラウンド / 日本スタートアップ支援協会は日本スタートアップ支援1号ファンドを通じて出資
リモートでも隣に座っているようにやりとりできるビジネス専用のボイスチャットツール「roundz」を提供するスタートアップ。
「roundz」は、チャットより具体的な話がしたいがWeb会議をするまでもないような、“ちょっとした会話”を気軽に行うことができる点が特徴である。カメラを利用しないことでプライバシーに配慮しており、カレンダーの予定から相手のステータスを自動で表示することで、安心して話しかけることのできる環境を構築している。キーボードを押すと話せるボイスチャット機能や、画面共有機能も搭載。テレワークにおけるコミュニケーションストレスの解決を目指している。
2020年11月には、XTech Ventures、KVP、日本スタートアップ支援協会を引受先として第三者割当増資を実施。約5000万円を調達した。調達した資金は「roundz」のサービス強化のための機能開発・人材採用などに充当する予定だ。
ガレージバンク
- 調達額:4500万円
- 合計資金調達額:4500万円
- 調達先:W ventures / イーストベンチャーズ / 有安伸宏
- 備考:W venturesはリード出資
個人向けセールアンドリースバックの企画・開発を行うスタートアップ。
モノの持つ機能と資産という2つの側面に対し、人が目を向けやすい機能だけではなく、大きな力を持つ資産の価値を、力に変える事をミッションとして活動している。ユーザーの生活をより豊かにするソリューションの提供を目的とし、ユーザーが所有するモノをスマホアプリで鑑定・査定し、その価値をお金に換えるサービス「CASHARi(カシャリ)」を運営している。アプリ上の操作のみで持ち物の査定金額が分かるのに加え、利用期間が終わった際はモノの買い戻しか利用期間の延長、モノの手放しを選択できる点で従来のフリマアプリやレンタルサービス、質屋と差異化されている。
2020年11月にはW ventures、イーストベンチャーズ、有安伸宏を引受先とする第三者割当増資を実施。この調達を通し、CASHARiの開発を推進するとともに、運営体制の強化に取り組む予定だ。また、12月にはTechCrunch Japanが主催する設立3年未満のスタートアップが自らのビジネスアイデアを武器に闘いを広げる「Startup Battle Online 2020」への出場が決定している。