10月下旬に開始した電動キックボードの公道での実証実験

10月下旬に東京都千代田区の一部からはじまり、福岡県や神奈川県などでも始まった電動キックボードの公道での実証実験。実施するのはLuupmobby rideEXx(エックス)のスタートアップ3社で、いずれもマイクロモビリティ推進協議会のメンバーだ。

自由民主党のMaaS議員連盟が12月4日に開催した「マイクロモビリティプロジェクトチーム」には、同協議会の会長でもあるLuup代表取締役の岡井大輝氏も参加。実証実験で浮上した課題、ならびに「電動キックボードに即したルール作りの要望」を発表した。

最大の課題は“ヘルメット着用義務”

10月下旬に開始した実証実験で得られた何より大きな課題はヘルメットの着用義務だ。岡井氏は「現在の日本の規制に合わせていくと、バイクと比較して低速度なのにも関わらず、ヘルメットを着用しなければならない。これにより、実証実験の参加者が集まりづらくなっています」と話す。

今後も実証実験を重ねていきたい構えだが、ヘルメットの着用義務により、「規模を担保できない」恐れが生じているという。

岡井氏はその他にも、ウィンカーの装着やライトの常時点灯などを義務付ける「保安基準」についても、ユーザーからは「過剰である」と挙げられたと説明する。ナンバープレートの装着義務については、「ナンバープレートが機体の横幅をはみ出しているため、足が当たってしまい、危険だという声があった」と述べる。

“免許やヘルメットが不要なルール作り”を要望

電動キックボードは現行法上では原動機付自転車(原付)として扱われる。公道で走行するには、国土交通省が定める保安部品を取り付け、原動機付自転車登録をし、免許証を携帯する必要がある。そこでマイクロモビリティ推進協議会では下記のとおり、“電動キックボードに即したルール作り”を要望した。

  • ヘルメットの着用は任意
  • 低速制御下(10〜15km未満)での自転車歩行者道の走行
  • 車道走行における適切な速度を設定
  • 運転免許不要による走行
  • 電動キックボードの実態に即した保安基準の設定
  • ナンバープレートに代わる機体識別方法
  • 適切な保険制度

運転免許が必要な場合は、観光地などで外国人の利用を想定すると、ほとんどの人がサービスを利用できない。そして現状、ヘルメットを所有するのは原付やバイクユーザー意外には少なく、さらには既存のナンバープレートは電動キックボードに適したサイズではない。そのため、「電動キックボードに即したルール作りが必要だ」と岡井氏は言う。

今回のマイクロモビリティプロジェクトチームには、議員や岡井氏のほかにも、警察庁、経済産業省、総務省、財務省、そして内閣府の関係者も出席した。

記者は参加者と協議会との質疑応答の際に退室を求められたが、Luupの広報によると、ヘルメットや運転免許を任意化するという要望について、安全性についての懸念の声は挙がらなかった。今回の要望はヘルメットや運転免許に関する最初の議論をするために、それらを任意とする緩和を求める内容だったからだという。協議会では、ヘルメットや運転免許の必要性について、今後の実証実験で検証していきたいと考えている。

10月下旬に開始した実証実験は2021年3月末に終了する。来春以降の予定は発表されていないが、MaaS議連の関係者によると、4月から新たな実証実験が開始することが決定しているという。