
- ケータリング事業での知見活かした“オンライン飲み会専用”フードボックス
- オンライン飲み会の可能性、4カ月で120回利用した企業も
コロナ禍で広がった“オンライン飲み会”の体験を向上させるためのサービスとして、オンライン飲み会専用のフードボックス「nonpi foodbox(ノンピフードボックス)」が急速に利用企業を増やしている。
nonpi foodboxは飲み会に参加する社員の自宅(もしくは希望する住所)に、オンライン飲み会用に設計された食事とドリンクの入ったボックスが届く法人向けのサービス。2020年8月のリリースから約4カ月で1000社以上に活用されており、忘年会シーズンの12月には現時点で800社が“オンライン忘年会”に向けて注文しているという。
ケータリング事業での知見活かした“オンライン飲み会専用”フードボックス
サービスを運営するのはフードテック企業のノンピだ。同社ではこれまで藤子・F・不二雄ミュージアム内の「ミュージアムカフェ」や埼玉スタジアム2002の「VIEW BOX」、三菱地所本社内カフェテリアの「SPARKLE」など食に関連する空間プロデュースの数々を担当。並行して約10年間にわたり法人向けのケータリングサービスも手がけてきた。
同社のウリはチーム内にGoogleの社員食堂で総料理⾧を務めていたメンバーや外資系ホテルの元シェフらが所属し、本格的なフードメニューを提供していること。ケータリングサービスは官公庁や外資系企業をはじめ、年間約1万件の提供実績がある。
nonpi foodboxはこのケータリング事業で培ったノウハウを活用して開発されたものだ。
一口サイズで食べやすい「ピンチョス 4本セット」、さまざまな味が楽しめる「9種アラカルト」、飲み会のシメに持って来いの「お茶漬け」に加えて、ビールやソフトドリンクなどから自由に選べる飲み物3本が特製のボックスに入って指定の住所に届く。
通常5000円のスタンダードプラン(12月末開催分までは3500円)のほか、オンライン新年会やオンライン忘年会用の特別プラン(ともに4500円)も用意。直近では「ザ・プレミアム・モルツプラン」のように企業とコラボしたプランも始めた。


具体的な利用フローとしては、まず幹事が開催7営業日前までに参加人数やプラン、日時などをサービスサイト上で入力する。その後参加者用のフォームが発行されるので、各参加者が住所や配達時間、希望のドリンクなどを回答。受付が完了すると、指定の日時にクール便でフードボックスが配送される。
参加者の配送先住所や希望配送時間の取りまとめ、希望ドリンクのオーダーを幹事自身がする必要がないため、負担が少ないのもポイント。決済方法も請求書払いとカード決済から選べる。
菌検査やラベル貼りを始めとした一連の配送オペレーションについても、ケータリング事業の知見を用いて仕組み化を進めてきた。一部のメニューは外部の食品工場ともタッグを組み、工場の遊休資産を活用してOEM形式で製造。質を担保しつつ、1日に2万食まで提供できる体制を整えている。
サービス立ち上げの背景や、メニューの試行錯誤などについては8月のローンチ時にも詳しく紹介した通りだ。
オンライン飲み会の可能性、4カ月で120回利用した企業も
nonpi foodboxはもともとリモート環境での飲み会や、3密を回避した上での飲み会のニーズが増えることを見越して開発された。ノンピ取締役副社長を務める上形秀一郎氏によると、実際にユーザーが同サービスを使い始めるのはそのような経緯が多いそうだ。
ただ数カ月間サービスを運営しながらユーザーの反応を見る中で、徐々に「リアルな飲み会を超えた、オンライン飲み会ならではの可能性」を感じるようになってきているという。
「オンライン飲み会を試してみた企業から『むしろオンラインの方がいいね』という声を聞く機会が増えてきました。小さいお子さんがいる人やお酒が苦手な人などがオンライン開催になることで飲み会の参加率が上がったり、Zoomのブレイクアウトルーム機能(参加者を小部屋に分けられる仕組み)を使うことで、普段接点のないメンバーと話せる機会が生まれたり。デジタルツールの発展によって、今まで変わってこなかった飲み会の体験が変わり始めている。そこに大きな可能性を感じています」(上形氏)
上形氏の話では、1番多い企業はこの4カ月で120回もフードボックスを注文しているとのこと。利用回数が50回を超える顧客も複数社存在するそうで、オンライン飲み会のスタイルが定着し始めている企業は一定数あるようだ。

またリリース当初と比べて会社のオフィシャルな会合の場で用いられるケースも増えている。エンタープライズ企業の利用も多く、1300人規模の全社総会での活用実績があるほか、今月には1500人規模の忘年会での注文も入っているという。
これから忘年会や新年会が開催されるシーズンになるが、今年はオンラインでの実施を検討する企業も多いだろう。nonpi foodboxに限らず「飲み会のオンライン化」を支えるサービスには、新たなビジネスチャンスが生まれそうだ。